『Celeste』開発者、新作『Earthblade』の開発中止を表明。『Celeste』IPをめぐる開発者離脱が「作ることそのものへのプレッシャー」に気づかせたとして

Extremely OK Gamesは現地時間1月22日、『Earthblade』の開発を中止すると発表した。本作は『Celeste』の開発者による新作メトロイドヴァニアアクションゲームとして注目を集めていた。

Extremely OK Gamesは現地時間1月22日、『Earthblade』の開発を中止すると発表した。中止に至った背景についても詳細に説明されている。

本作は、メトロイドヴァニアジャンルの探索型アクションゲームだ。アクションゲーム『Celeste』や対戦アクションゲーム『TowerFall』の開発者である、Maddy Thorson氏とNoel Berry氏によるスタジオExtremely OK Games(以下、EXOK)が手がけていた。本作の主人公は、長き旅路を経て地球へ戻ってきたNévoa。シームレスに繋がった広大な世界を探索し、激しい戦いを繰り広げながら「バラバラになった地球の歴史」をつなぎあわせていくゲームとして開発されていた。


本作は2021年4月にティザー画像と共に発表され、2022年12月にThe Game Awards 2022にて正式発表。当初は2024年にリリース予定とされていたものの、2024年3月に発売が2025年以降に延期されることが告知された(関連記事123)。

しかし今回、本作の開発中止が発表され、Maddy氏により理由についても詳細に説明されている。中止の要因ではないものの、きっかけとなったのはEXOKの創設メンバーであり、本作のアートディレクターを務めていたPedro Medeiros氏のスタジオ離脱だという。同氏は『Celeste』および『TowerFall』にてピクセル/UIアーティストを担当していた人物でもあり、『Celeste』の知的財産権を巡って意見の相違があり、同氏とMaddy氏およびNoel氏との間には亀裂が生じていたそうだ。最終的には和解したものの、別々の道を歩むべきという結論に至り、Pedro氏はスタジオを離脱することとなった。

とはいえMaddy氏は、Pedro氏の離脱は開発中止の要因ではないと述べている。というのもMaddy氏とNoel氏はPedro氏の離脱をきっかけに、『Earthblade』を完成させるために奮闘し続けることが正しいのかどうか真剣に考え直すことになったそうだ。『Earthblade』は、長期にわたる開発プロセスを経ても、想定していたほど開発は進んでいなかったという。開発を続ければ素晴らしいゲームになるという確信はあるものの、苦痛も生じていたそうだ。

またMaddy氏は、『Celeste』の成功は、『Earthblade』をより大規模で高品質なゲームに仕上げなければならないというプレッシャーを生み、同氏を疲弊させた大きな要因だったと綴っている。開発中止にはいろいろ思うところがあるとしつつも、いっそ安心すらしたと心情を吐露した。

そのためMaddy氏は、Pedro氏の離脱は中止の要因ではなく、むしろEXOKが道を踏み外していたことを明確にし、敗北を認める機会を与えてくれたと考えているという。くわえて同氏は、開発中止の責任はすべてMaddy氏とNoel氏にあるとしており、もし開発中止に怒りを覚えることがあっても、Pedro氏に矛先を向けることはあるまじき行為だと強調している。

『Celeste』の開発陣が手がける新作として、2021年の発表時から大きな期待を受けてきた『Earthblade』。長き開発期間を経たものの、残念ながら中止の決断がとられた格好だ。なおEXOKのチームおよびMaddy氏とNoel氏は『Earthblade』の開発から得た多くの教訓をすべて活かし、本作の開発を白紙に戻したうえで小規模なプロジェクトに向けて集中したいと考えているそうだ。再びプロトタイピングをおこない、今後は自分たちのペースで探求していくとのこと。『Celeste』や『TowerFall』の開発当初に近い方法で、ゲーム開発のアプローチを再発見したいという。

また今後もAmora Bettany氏、Lena Raine氏、Chevy Ray Johnston氏、そして昨年新スタッフとして合流したKyle Pulver氏のほか、オーディオチームPower-Up Audioとの協力も続けていくとのこと。Maddy氏は、『Celeste』よりもコアチームを拡大させたことは『Earthblade』では失敗に終わったとしつつも、チームは解散せず前向きに新作開発に臨むようだ。中止を乗り越えたEXOKが生み出す、次回作に注目したい。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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