ローグライク狩猟アクション『FINAL KNIGHT』はいつの間にかゲームループに虜になる「要素てんこ盛りゲーム」。いろんな部分で強くなれる
パブリッシャーのGRAVITYは1月13日、2oclocksoftが手がける『FINAL KNIGHT』の早期アクセス配信を開始した。対応プラットフォームはPC(Steam)で、ゲーム内は日本語表示に対応している。
『FINAL KNIGHT』は横スクロールのアクションゲームだ。プレイヤーは9つのクラスのキャラを組み合わせてパーティーを編成。いつでも操作を切り替えられる2人のプレイアブルキャラと、直接操作はできないNPCの2人を合わせて4人パーティーを組み、クエストに挑んでいく。
筆者は今回、早期アクセス配信に先がけ本作を遊ぶ機会をいただいた。本作はSteamストアページの説明で、「パーティベースのベルトスクロールアクションローグライクゲーム」と称されているように、さまざまなジャンルの要素が盛り込まれた作品だ。本稿ではそんな『FINAL KNIGHT』をプレイした感想を紹介し、その魅力を伝えていく。なお筆者が体験したのは開発中のバージョンであり、最新バージョンとは一部仕様が異なっている可能性があることをご了承いただきたい。
ザクザク感が楽しいバトル
本作のゲームプレイを始めると、まず9つのクラスから自分の操作キャラを選び、チュートリアルを体験することになる。操作キャラは後で自由に変えられるため、そこまで深く悩む必要はない。筆者は大体どんなゲームでも、まずは近接物理特化の脳筋キャラで遊ぶことにしている。そのため今回は一番それらしいバーバリアンをチョイスすることにした。
チュートリアルをプレイしてまず感じたのは、2Dアクションゲームとしての面白さである。キャラクターは連発できる通常攻撃のほかに、回避アクションやスキルを実行可能。スキルをキャンセルして回避を出せるなど、動作は軽快だ。筆者が選んだバーバリアンは通常攻撃の範囲が広く、わらわらとやってくる敵をまとめて薙ぎ払うことができた。デカい斧で敵をぶった切っていくのはシンプルに楽しく、脳筋感をばっちり味わえている。
そんな本作のバトルの目玉となるのが、各クラスがそれぞれもっている究極スキルである。究極スキルの効果はクラスで異なり、いずれも強力。バーバリアンなら、通常攻撃をはるかに上回る威力の攻撃を広範囲に繰り出すことができる。クールダウンは長めに設定されているが、それでも十数秒程度で再使用が可能になる。また本作にはいわゆるMPのようなリソースは存在しないため、クールダウンさえ終われば遠慮なくぶっ放すことができる仕様である。
ボスにボコボコにされる
そうこうしているうちにチュートリアルを終え、拠点画面に移動。本作は拠点でパーティー編成をおこなったりしつつ、クエストをこなしていく形式で進行する。筆者はひとまず最初のクエストを引き受け、冒険に出発。バーバリアンで敵の群れを薙ぎ払い、最初のクエストは問題なくクリアすることができた。しかし続くクエストで早くも壁に直面する。新たに引き受けたクエストの目標は、オーガーを討伐することだ。しかし道中のザコ敵に回復役が出るなど敵が強化されており、まあまあ苦戦。さらに苦労してたどり着いたボスのオーガーが、これまたやたら強いのである。
オーガーの体力は約3万4000という設定。こちら側は一回の攻撃で与えられるダメージが数十程度なので、敵の圧倒的な体力を前に、筆者は早くも戦意喪失気味になってしまった。さらにオーガーは攻撃も強烈で、2回か3回も殴られるとこちらはダウンしてしまう。オーガーの猛攻を受けた筆者のパーティーはあっという間に全滅してしまった。拠点に戻された筆者は、ソウルライクもかくやという難易度の急上昇っぷりに困惑。軽い絶望感を味わっていた。
陣形?なにこれ?
困った筆者は、本作のいろんな要素を見て回ることに。すると陣形なるシステムが用意されていることに気がついた。本作にはさまざまな陣形が用意されており、配置次第でキャラの能力が変動するようだ。さっそく今使っている陣形を確認してみると、自由陣形というものが設定されていた。説明文では「特にボーナスはない」と明記されている。どうやらせっかくいろんな陣形が用意されているのに、これまで弱い陣形で戦ってしまっていたようだ。しかも設定をよく見ると、回復スキルなどもたないファイターが回復役として配置されている。これでは序盤のボスにも苦戦するはずである。
筆者はいろんな陣形を見比べ、「盾の陣」なる陣形を採用。説明文によると前衛2人が接近戦をおこない、後衛が攻撃やサポートをおこなう陣形だという。ボーナスも攻守にバランスがよさそうで、実戦に期待が高まる。また編成をいじるうちに、用意されているキャラクターはクラスが違うだけでなく、いろんな特性をもっていることにも気がついた。本作のキャラはそれぞれ人間やエルフ、ドワーフなど種族があり、また一部のRPGなどでお馴染みの、秩序・中立・混沌および善・中立・悪の属性が設定。組み合わせ次第でパーティーにさまざまなバフ効果が生じるのだ。
さらにスキルも単独で使うのではなく、ほかのクラスの技と組み合わせることで高い効果を発揮するようになっていた。たとえば筆者が最初に選んだバーバリアンの究極スキルをよく確認したところ、ノックバック状態の敵に対してはダメージが2倍になるという効果をもっていた。つまりほかのキャラの技で敵をノックバックさせ、すかさずバーバリアンの究極スキルを打つことで、ダメージを大幅に伸ばすことができるわけだ。組み合わせ次第で火力不足も一気に解消できそうで、期待が高まる。
さらにバーバリアンの究極スキルは攻撃後、敵を空中に打ち上げる性能をもっている。空中コンボに特化した性能のキャラがいれば、さらにダメージを伸ばすことができそうだ。「このキャラとこのキャラのスキルを組み合わせると強いんじゃないか?ああでも、秩序・悪と混沌・善で相性悪そうだ……」などと自分なりの編成を考えるのは、悩ましくも楽しい。
いろいろなキャラを使ってみたくなるが、今回はボス戦で苦戦しているため、とりあえず単体攻撃力が高いキャラが欲しい。そこでまず、単体攻撃に特化しているというアサシンを加入させることに。バーバリアンとアサシンのふたりを操作キャラに設定して、敵をスタンさせられるハンマラーと魔法が使えるウィザードをNPCとして配置。こうして編成を整えて、ふたたびオーガー討伐クエストに挑むことにする。
戦術ってすごい
クエストの道中のザコ戦では、引き続き攻撃範囲が広いバーバリアンを主に操作していく。一方、敵にヒーラーなどやっかいなユニットが現れたときは、操作をアサシンに切り替えてピンポイントで排除することに。この新戦術が効果てきめんで、道中のザコ戦は前回挑戦時よりもかなりスムーズに突破できた。上手く戦えてる感が味わえており、戦闘の楽しさも数段アップ。新パーティーに手ごたえを覚えつつ、ふたたびオーガー戦となる。
オーガー戦では、単体攻撃に優れたアサシンを主に操作。敵の背後から攻撃することでダメージが2倍になる「バックスタブ」などのスキルを駆使しつつ、攻撃を重ねていく。アサシンは狭い攻撃範囲ながら攻撃力はかなりのもので、クリティカルの調子がよいときはあっという間に数千単位のダメージを与えられる。またオーガーの攻撃は相変わらず強烈だったが、冷静にモーションを観察するとかなり大振り。前兆がわかりやすく、回避するのは難しくないことに気がついた。味方NPCは攻撃を避けきれずダウンすることもあるが、しばらく時間が経つと復活が可能になる。そのため味方が倒れているときは無理せず回避に徹し、復活したら味方を囮にふたたび背後から攻撃していくことにした。
そうしてダメージを重ねていくうちに、オーガーがスタン。スタンを見込んで編入したハンマラーが仕事をしたかたちである。すかさず総攻撃を繰り出すと体力をすべて削り、あっさり撃破することができた。ゲームにおいて、一度なすすべもなく負けた相手に快勝するほど爽快なこともそうそうない。首尾よくリベンジに成功した筆者は、心地よい達成感に包まれていた。まあそもそも初戦で惨敗した原因は、筆者が陣形システムを無視して好き勝手に戦っていたせいではあるのだが。
クラフト要素もあり
オーガーを撃破するとオーガーの素材が手に入り、拠点で装備を製作することが可能になっていた。装備は大剣やランスなど各武器種のほか、ヘルメットや上半身など防具の各部位が存在。装備にはそれぞれいわゆるパッシブスキルが設定されており、たとえば「見破り」スキル付きの装備を身に着けると1レベルごとにクリティカル率が上昇。「回避性能」スキルならば回避モーションの移動距離が上昇する。要は、ハンティングアクションゲームなどでよく見られるシステムが導入されているわけだ。
本作ではクエスト中にも武器やスキルなどがランダムでドロップするが、こうしたドロップ品は使えるのはそのクエスト限り。拠点に戻るとなくなってしまう。つまりこの辺りが本作のローグライク要素となっている。一方、クエスト報酬で手に入れた装備や、拠点でクラフトした装備はなくならず、使いまわしが可能である。
筆者がプレイした範囲では、クラフトできる装備はクエスト中にドロップする装備と比べると、性能は控えめだった。しかしクラフトした装備はなんといってもなくならないし、ドロップ運に頼る必要もない。筆者はさっそく手元の素材でいくつか装備を作り、キャラに配布。パーティーを強化しつつ、続くクエストを順調にこなしていった。
あれこれいじるのが楽しい
しかしクエストをこなしていくうちに敵もさらに強くなり、ちょっと苦戦がちに。今回の悩みは、パーティーの戦いに安定感がないことだった。勝つときはあっさり勝てるのだが、味方もわりとよくダウン。プレイヤーキャラが回避に失敗して倒されると、そのまま全滅することも少なくないのである。パーティーが攻撃的すぎるのが原因だと判断した筆者は、ふたたび編成を変更。ハンマラーとウィザードを外し、より守備的なブラックガードとクレリックを加入させた。攻撃はプレイヤー操るバーバリアンとアサシンに委ね、これまでより耐久性を重視した構成である。
クエストに出て、早速新パーティーを実験。狙いどおり戦いの安定感はぐっと上昇しており、誰も倒されずにバトルを完了できることが大幅に増えていた。一方で、やはり敵のせん滅速度は低下気味。ザコ敵が大量に出てくると、火力不足で押され気味になってしまうのが課題だった。理想的な編成を実現するのは、まだまだ試行錯誤が必要なようである。
ここまで来ると筆者はいろいろ思案するのがすっかり楽しくなり、「次はあの編成を試してみたいけど、そのためにはこの装備を作りたい。だからあのモンスターを狩りに行こう」などと考えるようになっていた。本作のゲームループにすっかり引き込まれたわけである。
いろんな要素が混じりあって、独自の味わいを生む
本作をプレイして感じたのは、『FINAL KNIGHT』は「いろんなやり方で強くなれるゲーム」ということだ。とにかくいろんな要素が用意されているので、筆者はプレイ当初少し圧倒されるところもあった。しかしひとつひとつはほかのゲームでもよく見る要素で、いったん慣れてしまえばわかりやすい。
強敵に遭遇したら、敵のモーションを見極めて回避の精度をあげてもよいし、パーティー編成を練り直してもよい。クエストを周回して装備や素材を集めてもよいし、ランダムドロップする武器やスキルの運が向くまでリトライするのもありだろう。こうした要素は互いに独立しながらも関連しあっており、要素同士が噛み合ってシナジーを生み始めると、一気に強くなれるのだ。
始めから全部のシステムを使いこなす必要もなく、筆者のように始めは気楽にプレイし、壁にぶつかったので別の要素を触ってみる、といった遊び方でも十分楽しめるだろう。もちろんがっつりビルドを研究して、最強のパーティーを目指すのもまた一興である。試行錯誤しつつパーティーを育てていくのが好きな人には、ぜひともオススメしたい作品だ。
『FINAL KNIGHT』はPC(Steam)向けに早期アクセス配信中だ。ゲーム内は日本語表示に対応している。