「ファンのアドバイスでゲームは改善するわけない」という考えに反論いっぱい集まる。『マイクラ』生みの親も”ユーザー目線大事”と示す

とある海外ユーザーがSNS上に「ファンのアドバイスを聞いてよくなったゲームの例はある?」という質問を投稿。それに対し、SNSユーザーから多数の返信が寄せられ、具体例として多くのタイトルが挙げられている。

とある海外ユーザーがSNS上に「ファンのアドバイスを聞いてよくなったゲームの例はある?」という質問を投稿。それに対し、SNSユーザーから多数の返信が寄せられ、具体例として多くのタイトルが挙げられ盛り上がりを見せているようだ。

その発端となっているのは、Xユーザー@LilithLovett氏による以下のポストである。ポストには海外フォーラム上の書き込みとみられるスクリーンショットが添付されており、“起こるわけないこと”を示すネットミーム画像と共に「開発者がファンのアドバイスを受けてゲームを改善する」「(そして)ゲームは成功を収める」と綴られている。つまり「開発者がユーザーのアドバイスからゲームを改善して、成功することはありえない」といった考えだろう。

一方そうした考えに対して、@LilithLovett氏は「それが実際に起こった例を挙げてほしい」と呼び掛けている。この投稿には本稿執筆時点で約3000RP、および約3000件のリプライが寄せられ、盛り上がりを見せている。さまざまな“成功例”が挙げられたほか、中には開発者やゲームの公式アカウントの反応も見られる。

“持ち直し”の代表例

ポストに対する返信では、実際に「ファンのアドバイスを受けて良くなったゲーム」の具体例が多数挙げられている。特によく見られるのが『No Man’s Sky』の名前だ。同作は2016年8月にリリースされた宇宙を舞台とするオープンワールドアクションゲーム。リリース前は無数の探索可能な惑星が登場するといった野心的な宣伝もありユーザーからの期待が集まったものの、リリースされてからは内容の薄さやコンテンツの不十分さなどで大きな批判を呼んだ。

しかし開発元のHello Gamesはこうしたファンからの評価を受け止め、継続的に無料アップデートを実施していくことを約束。コミュニティの声を聞きながら、本作に必要なコンテンツを見極め、着実にゲームをブラッシュアップ。そうしてもともと「不評」だったSteamストアのレビューステータスは、発売から約8年経った本稿執筆時点で約24万件中79%が好評とする「やや好評」ステータスまで盛り返している。「ファンのアドバイス」を受けて、そしてもちろん懸命な開発な末、改善されたゲームの好例といえるだろう。

『No Man’s Sky』

また、『サイバーパンク2077』の名前も多く挙げられている。同作も多大な期待を受けて2020年にリリースされたものの、リリース当初は主にPS4/Xbox Oneといった旧世代のコンソール版におけるパフォーマンスの低さが多数指摘された。またPC版においても不具合などに対するユーザー指摘が多く見られ、Steamユーザーレビューの評価も低迷した作品だ。開発元のCD PROJEKTはこの批判を受け止め、度重なる無料大型アップデートでパフォーマンス改善や不具合修正のほか、新規コンテンツを実装するなどの改善を実施。その後リリースされた大型拡張コンテンツも好評を博し、現在の本作のSteamユーザーレビューは本稿執筆時点で約68万件中84%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得している。

『サイバーパンク2077』

そうしてユーザーによって「ファンのアドバイスを受けて良くなったゲーム」が多数挙げられている中、開発者自身が反応を寄せる例も。たとえば『PAYDAY 3』の公式アカウントも返信を寄せた。2023年9月にリリースされた同作は、発売当初サーバーの不安定さから来るマッチメイキングエラーが多発。常時オンラインを要求されるというのもあり、まともにプレイできない状況が続いているとしてユーザーからの批判を多く集めた。しかし1年にわたりアップデートとコンテンツ追加がおこなわれてきたこともあり、直近のレビューは好評を博し、Steamストアレビューのステータスは「賛否両論」にまで回復している(関連記事)。引き続き課題もあるものの、持ち直しに向かって着実に進んでいるゲームだろう。

“クリエイティブモード”にまつわる意外な反応

そして意外にも『マインクラフト』の生みの親として知られるNotch氏も「ファンのアドバイスを受けて良くなったゲーム」として自身のタイトルである『マインクラフト』を挙げ、反応を寄せている。同氏によれば、プレイヤーが建物のデザインをするのが得意で、それを楽しんでいるということを知るまでは“クリエイティブモード”を残すことを考えていなかったという。クリエイティブモードとは、ダメージを受けることがなく、空を飛んだり無数のブロックを使ったりして、建築を自由に楽しめるモードだ。Notch氏の当初の想定では、本作で建築だけが楽しまれることは予想外だったようである。

Notch氏は上述の投稿で、自身のことを「機能的な建物(functional housing)を建てるタイプのプレイヤー」とやや皮肉気味に述べている。つまり同氏は建物のデザインにこだわるタイプではなかったようで、凝った建物を建築して楽しむユーザーの反応を見てクリエイティブモードを残すことにしたようだ。もしクリエイティブモードが同氏の予定通り削除されていたら、ユーザーからの遊ばれ方も違っていたかもしれない。

『マインクラフト』

ちなみに発端となったポストを投稿した@LilithLovett氏も例として『ヘルダイバー2』『Warframe』の名前を挙げている。このほかにも同氏のポストには、ファンのアドバイスを受けて改善されたゲームとして、さまざまな例が寄せられているようだ。

このほか、たとえばSteamでは、ユーザーからのフィードバックを受けながら早期アクセスの開発形態も主流になっており、「ファンのアドバイス」は開発において重要視される傾向もあるだろう。一方で、アドバイスといってもその内容はさまざま考えられることには留意したい。過去にはユーザーからのフィードバックでは、“こうすべきだった”といったアイデアよりも、“ここが悪い”という批判の方が開発に役立ちやすいといった開発者の声もみられた(関連記事)。実際の開発においてどのようなアドバイスが役立つのかはケースバイケースかもしれない。またアドバイスを反映してどこまで実装するのか、実際に改善できるのかも、開発方針や予算や規模などによるだろう。

とはいえいずれにせよ、当初批判を浴びても、長期間あるいは度重なるアップデートで改善を見せたゲームはユーザーの印象に残っている様子。「ファンのアドバイス」がゲームを改善することはありえないといった考えには、多くの反論も寄せられた格好だ。

Jun Namba
Jun Namba

埼玉生まれBioWare育ちです。悪そうなやつはだいたいおま国でした。RPG全般が好きですが、下手の横好きでいろいろなジャンルに手を出しています。

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