「『モンスターハンター』新作の発売を年末に早めたら稼げるのでは」とのカプコン株主意見が「天才」と皮肉られる。言うだけなら簡単

カプコンは株主総会での質疑応答の概要を公開。「『モンスターハンターワイルズ』の発売を年末に前倒しすれば今年度の利益アップが見込める」との株主意見が注目を集めている。

カプコンは6月20日、第45期 定時株主総会を開催した。先日7月23日には株主総会での質疑応答の概要が公開。このなかで明かされた、株主から寄せられた「『モンスターハンターワイルズ』の発売を年末に前倒しすれば今年度の利益アップが見込める」との意見が注目を集めている。突拍子もない考えだとして、皮肉な見方も寄せられているようだ。

カプコンの第45期 定時株主総会では、ある質問にて「(同社の)今年度の注目タイトルが少ない」といった見解が伝えられた。カプコン側は過去9年にわたり、新作タイトルの多少にかかわらず営業利益の10%増益を達成してきたと返答。新作だけでなくリピートタイトルも売上を支えているとして、注目の新作タイトルの本数にかかわらず売上には懸念がないことを示している。


そして別の質問として「2025 年発売としているモンハン最新作をクリスマス商戦の 2024 年 12 月に前倒しすることで今年度決算が上振れになり、十分利益の確保が達成できるのではないか」との意見が寄せられた。カプコンは『モンスターハンターワイルズ』を2025年内の発売予定であると発表しているものの、今年度の注目タイトルを増やすために同作のリリースをもっと早められないのかという素朴な疑問だろう。

この質問について、ゲームジャーナリストのStephen Totilo氏が注目を寄せている。同氏は先述の“売上前倒しアイデア”を引用しつつ、フォロワーのゲーム開発者に向けて「なぜこの方法を思いつかなかったの?」と冗談交じりに質問。開発者やゲームメーカーとしては「そう簡単に発売は早められない」ことは大前提としつつ、この質問への意見を募っているようだ。


Totilo氏の投稿にはさまざまな反応が寄せられており、返信は大喜利やネットミームのように賑わっている。たとえばあるユーザーは「今年は『モンスターハンター』シリーズ作品を1本といわず2本リリースしてみればどう?売上2倍だよ」とのアイデアを投稿。「毎月『モンスターハンター』をリリースすれば売上は無限だ」との意見まである。とんでもない考えばかりであり、いわば上述の質問を“同じくらい的外れな考え”とみなして皮肉っているとみられる。

実際のところ、昨今ではゲーム開発が大規模化・長期化している。カプコンも計画を立てて発売時期を2025年に設定したわけで、「稼げるから早めよう」という意見が通るほど簡単ではないわけだ。ゲーム開発の大変さを軽視しているという点で、この株主意見は皮肉られているのかもしれない。

またユーザーの中には、株主の言いなりになってリリースを早め、もしクオリティが低いまま発売することになったら今度は「なぜこんな粗末な状態で発売したのか?」という批判が同じ株主から寄せられるだろうとの考えを説いている。いずれにせよ今回の質問は開発元やメーカーを振り回しうる意見として、さまざまなユーザーや業界人から皮肉や批判が寄せられている格好だ。

なおユーザー反応の中でも、ゲームスタジオGrey Alien GamesのJake Birkett氏は、今回の質問についてとんでもない意見(preposterous)としつつも、ゲームの開発期間自体は長引かないように制御すべきとの考えを述べている。これまで同氏はインディーゲームを15作品リリースしてきたものの、開発が短期間で済んだゲームもあれば非常に長引いたゲームもあったという。発売を無理に前倒しするかどうかはともかく、開発期間は短めに抑えるのが理想といった経験談だろう。


また昨今では発表から、実際にゲームプレイ映像が公開されリリースされるまでに長期間を要する大作も散見され、もどかしいとするユーザー意見もみられる(関連記事)。発売延期を重ねる作品も散見され、発表した大作は長引かせずに発売してほしいといった考えは株主目線でもあるのかもしれない。『モンスターハンター ワイルズ』は発売予定時期こそ発表されていないもののゲームプレイ映像が複数公開されており(関連記事1関連記事2)、すでに“完成間近”といった印象から先述の素朴な疑問が生じた可能性もありそうだ。

とはいえいずれにせよ、2025年のどこで発売されるかも未定のゲームを、2024年12月に前倒しするという考えは突拍子もない意見といえるだろう。カプコン側は先述の質問に対して「発売時期については、準備が整いしだい発表する予定ですので、ご期待いただきたいと思います」と返答し、前倒しする計画はなさそうなことを示している。一方で、毎期の営業利益10%増益の目標に取り組んでいくとも強調。同社は例年増益続きの好調を見せており、『モンスターハンターワイルズ』の発売を“前倒し”せずとも目標を達成する勝算があるようだ。

モンスターハンターワイルズ』はPC/PS5/Xbox Series X|S向けに2025年に発売予定だ。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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