オープンワールド猫ゲームのネコ表現がたまらん。ヤドカリソウルライクには毒沼があります。『ANIMAL WELL』は探索が楽しい。今週のゲーミング


Now Gamingは毎週日曜日、各ライターがその週にプレイしたゲームについて、ゆるく書きちらすコーナーです。440回目です。がんばっていきましょう。

ほのぼのネコゲー


今週は『Little Kitty, Big City』をプレイ。寝ぼけてマンションの高層階から落下してしまったネコとなり、家に帰ることを目指すゲームです。マップは日本風の街で、広大というほどではないがオープンな環境。家に帰るには、建物の壁にあるツタをよじ登るために十分なスタミナをつける必要があり、街を自由に探索し、魚を見つけて食べることが主目標となる。ただ、街にはサブクエストをくれる動物たちがおり、彼らとの交流がむしろメインコンテンツといえる。

街はいかにも日本っぽくて雰囲気良し。ネコ目線での裏道的な部分も多く、探索しがいのある環境となっている。なにより、水に触れてイカ耳になったり、キュウリを見て飛び上がって驚いたり、また段ボール箱に飛び込めたり、前足で植木鉢をポイっと払って落とせたりなど、かわいいネコ表現がたまらん。小規模な作品ながらネコ的な意味で密度が濃く、開発者のネコ愛が感じられます。
by. Taijiro Yamanaka

パズルアクション風メトロイドヴァニア


今週は『ANIMAL WELL』を遊んでいました。本作は謎の迷宮を探索し、アイテムの入手と活用によって先へ進んでいく探索型の2Dパズルアクションゲームです。大きなジャンルとしては、いわゆるメトロイドヴァニアに近いといえるでしょう。ただし本作は、ゲームプレイから説明が省かれています。ゲーム序盤では泡を出せる道具が手に入りますが、泡に関するチュートリアルなどはありません。泡がどういった性質で、何に使えるのか。本作ではプレイヤーが道具の用途を模索。アイテムの活用方法を発見して、探索を進めていくのです。

パズル要素がメインの一つではありますが、基本的に謎解きの難易度は控えめ。個人的には長時間詰まるポイントが少なくサクサク進み、道具の使い方がわかった瞬間と新しいマップの探索が楽しい作品だと感じています。主人公に攻撃能力がなく、戦闘は主要素ではないのですが、襲われるシーンなどは存在。閃きを要する謎解きの合間には、ほどほどにシビアなジャンプアクションも待ち構えています。アクションの比重が重めなので、パズルや謎解きに期待しすぎると、思わぬアクションに足を取られるかもしれません。
by. Keiichi Yokoyama


ダンジョンで試される語彙力とタイピング力


『Cryptmaster』をプレイしていました。Steam上で行われているゲームイベントLudonaraConで発売が発表されたので気になり購入。「言葉」がすべてを支配するダンジョンを探索するアドベンチャーゲームです。本作は移動以外のほぼすべてのコマンドを直接入力するシステム。会話に対する返答も単語であればなんでも入力できてしまうので、語彙力と想像力を試されている感覚。それに対するゲームの反応も豊かで会話シーンもほぼフルボイス(ただし英語)。こんな単語にも反応してくれるんだと驚くことが多いです。

本作の戦闘はリアルタイムモードとターンベースモードがあり、筆者は前者を選択。戦闘コマンドも同様に直接タイピングが必要なのでZAP、HIT、JABとコマンドを打ち込んで戦うのですが、強い行動はだいたい文字数も多いため、焦ってコマンド名をタイピングミスしたりすることもしばしば。昔よく遊んだタイピングゲームみたいで懐かしい気持ちになります。本作の他にもLudonaraConでは雰囲気の良さそうなナラティブ系のゲームがたくさんラインナップ。13日まで開催されるということなので是非チェックしてみてください。
by. Jun Namba


脳筋卒業


『Hades II』を遊んでいました。前作はさらっと遊んだ程度で積んでおり続編前に本腰を入れて……と思っていたらサプライズ早期アクセス配信開始。何事も後回しにしない方がいいですね……。どうせならと新作から遊んでいますが、前作に引き続き手触りがとてもいい。きびきびと動き、エフェクトが派手ながらも視認性も上手く確保されたアクションが魅力的です。なお敵の物量は前作よりも多い印象。対するプレイヤー側にも範囲広めの攻撃が基本で備わっているので、蹴散らしまくりのバトルになっており楽しいです。

大きな新要素としてはMPのようなリソースとなる「マナ」が登場。各アクションの強攻撃などに用いることが可能で、エリア移動で全回復するため戦闘ごとに出しきることができます。また魔女である新主人公メリノエは敵の足止めエリアを生成する「魔陣」など、前作主人公ザグレウスとはひと味違う能力を所持。そんな魔法能力について当初は脳筋戦法であまり使わなかったのですが、気まぐれで魔陣強化系のビルドを目指してみると意外と強くて楽しい。足止めされた敵が次々と溶けていくことに味を占めて、魔陣を連発できるようにマナ回復系の能力を付けたりと、伸ばす能力を選択する楽しみも広がった気がします。なお早期アクセス配信開始直後ながら翻訳品質もばっちりで、ストーリー面も楽しめています。ヘカテさんが良いキャラしている。
by. Hideaki Fujiwara



そうそう、そろそろ毒沼がほしかったんだよ


ヤドカリソウルライクこと『Another Crab’s Treasure』を遊んでいました。PRは結構バズり重視でちょっと構えていたのですが、なかなか出来が良くて驚いてます。さすが『Going Under』作っただけある。

内容としては、本当に丁寧なソウルライクという感じ。結構敵は容赦なく、死ぬ時はマジですぐ死ぬ。待ち伏せや嫌がらせじみたトラップもちょいちょいあるが、ほどほどなのでその塩梅がよい。「海底」舞台ということもあり、人間がポイ捨てしたゴミとかがそこらにあって、それがいい感じにギミックになっている「トイ・ストーリー」的な世界観もかわいよく良い。毒沼もちゃんとあります。地味ながらもちゃんと毒沼しており、毒沼ポイント高い。

個人的に好感をもったのは、まんまソウルライクォピーにせず、世界観にあわせた独自要素にしている点。パリィを積極的に入れたり、盾だけ使い捨てシステムにしたり。プラットフォーマー要素も混ぜ込んでいて、ちゃんと自分たちの色として出しているのが好き。めちゃくちゃ評価が高いという期待値で遊ぶと肩透かしそうですが、かわいい世界観のほどよいソウルライクとしては、かなりおすすめしやすいのではないでしょうか。ただし日本語ローカライズはあんまり好きじゃないです。死亡時のWatery Grave=水中墓地は、意図的か事故かわかりませんが、自分はしっくりきません。
by. Ayuo Kawase