Steamの9月発売DLC売上トップ5を、『Hearts of Iron IV』などParadoxタイトルが独占。Valveも驚く“前代未聞の結果”

Valveは10月27日、2022年9月のSteamトップリリース作品を公開した。9月のリストではトップ20作品のほかに、売上上位のDLCが紹介される「トップDLC」にも興味深い結果が表れたようだ。

Valveは10月27日、2022年9月のSteamトップリリース作品を公開した。リリース後2週間の売上を元に、毎月の売上上位作品が紹介される恒例行事だ。9月のリストではトップ20作品のほかに、売上上位のDLCが紹介される「トップDLC」にも興味深い結果が表れたようだ。


まず、今月のトップ20作品については国内メーカーが手がける作品が複数見られる。木村拓哉さんが主役を演じるアクションADVシリーズ『JUDGE EYES:死神の遺言 Remastered』『LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶』がPC(Steam)版登場によりランクイン。また人気漫画の対戦格闘ゲーム『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル R』もランキング入りしている。いずれもSteamユーザーレビューにおいて「非常に好評」~「圧倒的に好評」のステータスを獲得しており、国内外のユーザーたちから好評を集めている様子だ。

そしてトップDLCにも興味深い結果が表れている。9月の売上上位は、すべてParadox Interactive(以下、Paradox)がパブリッシングを手がけるタイトルのDLCとなったようだ。具体的には『Crusader Kings III』『Hearts of Iron IV』『Cities: Skylines』『Stellaris』『Europa Universalis IV』の5タイトルの新DLCがランクインしている。


ParadoxのタイトルがトップDLCを独占したことに対して、Steam運営元のValveも反応。ブログ記事にて本カテゴリにおいて「前代未聞の結果」であるとコメントしている。また同記事では、2013年発売の『Europa Universalis IV』や2015年発売の『Cities: Skylines』といった、リリース後何年も経過したタイトルが人気コンテンツをリリースし続けている点を“素晴らしい”と評価している。またValveは、毎年恒例のParadoxのファン交流イベント「PDXCON」が9月にストックホルムでオフライン開催された点に言及。久方ぶりのオフライン開催による盛り上がりと、DLCの売上の盛り上がりが重なるとの見解を述べている。

『Crusader Kings III』『Hearts of Iron IV』『Stellaris』『Europa Universalis IV』については、Paradoxの子会社であるParadox Development Studio(以下、PDS)が手がけている。PDSが手がけるタイトルは、アップデートやDLC配信を重ねてじっくりとゲームシステムを変化させていくことで知られている。

またColossal Orderが手がける『Cities: Skylines』についても、アップデートやDLCが数多く配信。ユーザーコミュニティによるMod制作も盛んにおこなわれている。そうした理由もあってか、同タイトルも根強い人気を誇っている様子だ。リリース後長らく経過したタイトルのDLCが大きな売り上げを見せているのは、そうした理由から一定数のプレイヤーベースを確保できているためだろう。

『Cities: Skylines』 – DLC「Plazas & Promenades」


なおParadoxは2021年10月に、未発表の複数の新作タイトルを開発中止し、有望なプロジェクトにリソースを集中させる方針を発表(関連記事)。あわせて、同社の得意とするストラテジー・シミュレーションゲームに注力する旨も伝えられていた。また2021年初めには、PDSの開発チームの再編も実施。2022年にはさらなる再編成がおこなわれ、現在PDSでは4つのチームが傘下スタジオと協力しつつ、それぞれの主力タイトルを担当する態勢で開発が進められているという。

PDXCONにあわせるように、複数のDLCが一挙リリースされた背景には、そうした開発体制の見直しによる環境変化も寄与しているかもしれない。いずれにせよ人気タイトルに向けた各DLCは、好調な売れ行きを示したようだ。なおユーザー評価については、やや賛否の分かれるDLCもあった様子だ。

ただ『Europa Universalis IV』のDLC「Lions of the North」については、現在86%のSteamユーザーが好評とする「非常に好評」のステータスを獲得している。昨年発売された同作DLC「Leviathan」では「圧倒的に不評」ステータスのユーザー評価を受け、ゲームディレクターが謝罪する事態となっていた。「Lions of the North」と「Leviathan」でDLCの価格とボリュームは異なるものの、ひとまず昨年の汚名をはらす形となったようだ。

『Europa Universalis IV』 – DLC「Lions of the North」


PDSが手がける作品としては、10月26日に『Victoria 3』が発売されたばかり。Steamユーザーレビューでは賛否が分かれている点はあるものの、同時接続プレイヤー数の面では好調なスタートを切っている(関連記事)。同作も含めて、Paradoxの主力タイトルには今後もさらなる展開が続いていくことだろう。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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