Steam近代ストラテジー『Victoria 3』日本語対応で発売、絶好調スタート。ただし日本語品質には不満の声も

 

Paradox Interactiveは10月26日、『Victoria 3』を発売した。対応プラットフォームはPC(Steam/公式サイト)。高評価タイトルの新作となる本作は、かなり好調な滑り出しを見せているようだ。

『Victoria 3』はストラテジーゲームだ。舞台となるのは19世紀から20世紀にかけての近代世界。プレイヤーはこの時代の任意の国を選択し、国家を運営する。非戦を貫き伝統を守り続けるのもよし、産業化を推し進め拡大を目指すもよし。国家の運営方針はプレイヤー次第だ。

国家の運営においては、経済の維持・発展がもちろん重要となる。課税や輸出入を上手くコントロールすれば、国力を高められるだろう。また産業の発展には労働力が不可欠。労働者のニーズも踏まえた、バランスのよい国内運営を心掛ける必要がある。

世界を舞台にする本作では、もちろん国外を見据えた戦略も重要だ。軍事力・経済力、時には“はったり”を使いこなして、国際関係における優位性を確保。国内外の両面に目を配りながら列強諸国に名を連ね、その地位を盤石にするのだ。


本作を手がけるのはParadox Development Studio。『Hearts of Iron』や『Europa Universalis』シリーズ、『Stellaris』など、ストラテジーゲーム開発に定評のあるスタジオだ。また『Victoria』シリーズ前作にあたる『Victoria 2』も同スタジオが手がけ、2010年にリリース。Steamストアレビューでは約1万3000件中92%が好評とする「非常に好評」のステータスを獲得している。経済や国際関係が複雑に絡み合うシステムの奥深さなどが、好評を受けているようだ。ちなみに本スタジオは昨年、再編成となったことが発表された。『Victoria 3』の開発はPDS Redチームが手がけているとのことだ。

そしてこのたび発売となった『Victoria 3』は、高評価ストラテジーゲームの待望の新作となるわけだ。そして本作はSteamでのリリース後、瞬く間に数多くのプレイヤーを集めている。リリース直後には6万人近い同時接続プレイヤー数を記録し、そのままピーク時には7万人を突破。直近でも4万人ほどがプレイしているようである。かなり好調なスタートといえるだろう(SteamDB)。


一方で評価については、Steamユーザーレビューでは本稿執筆時点で約1600件中72%の好評を集め、「やや好評」のステータスを獲得。複雑ながらも奥深い内政面でのシステムが引き続き評価を集めている様子だ。一方で、簡略化された戦闘システムやUIなどに不満を感じるユーザーも見られる。また日本のユーザーからは、翻訳品質についての不満も上がっているようだ。

本作は、Paradox Development Studio作品のPC版においては、久しぶりに公式日本語対応のもとリリースされたタイトルだ。過去には、株式会社サイバーフロントが本スタジオの複数の作品の国内販売を担当していた。しかし同社は2013年に解散。以降、本スタジオのタイトルのPC版は長らく日本語非対応でのリリースが続いていた。ただ本スタジオの作品は一部ファンからの人気も根強く、有志の日本語化Modが多くの後継作品に向けて制作されていた側面もあった。

一方で今年の5月には『Stellaris』PC版の公式日本語対応が実現。有志の日本語化データが引き継がれ、以降は公式翻訳チームのもとでローカライズがおこなわれると伝えられていた。また『Hearts of Iron IV』についても先日、同様に有志の日本語化Modを引き継いで公式日本語対応を果たしていた。

そして『Victoria 3』では、ついにリリース時の公式日本語対応を果たしたわけだ。しかし、先述のとおり、翻訳品質には不満を感じるユーザーも見られる。また先だって公式日本語化を果たした『Hearts of Iron IV』についても、翻訳やフォントなどにユーザーからの不満の声が上がっていた。

『Hearts of Iron IV』


日本語ローカライズに注力され始めたParadox Development Studio作品。一方で『Victoria 3』も含めて、翻訳などの品質については今後の改善を待つ必要がありそうだ。なお本スタジオの作品は長期間アップデートを重ねて、じっくりゲームシステムを磨いていく側面もある。不評を投じたユーザーレビューには、「時間の経過と共に改善されると確信している」との意見も見られる。華々しい出発を飾った『Victoria 3』には、日本語ローカライズの品質を含め、ユーザーの声を取り入れた今後の改善も期待されるところだろう。