『サイバーパンク2077』絶好調を受け、開発者が生配信で感極まる。リリース時の“どん底状態”を振り返り
『サイバーパンク2077』では先日より、アップデートやアニメ展開などの影響を受けてかプレイヤー数が急増している。ふたたび作品に注がれた脚光を受け、同作開発者がリリース時を振り返りつつ現在の心境を明かしている。TheGamerが伝えている。
『サイバーパンク2077』は、CD PROJEKT REDが開発したオープンワールドゲームだ。巨大な未来都市ナイトシティを舞台の中心として、主人公であるVが陰謀に巻き込まれ奔走する様が描かれる。本作はリリース後に極めて好調なセールスを記録したものの、コンソール版を中心とした最適化不足や大量のバグが指摘され、返金対応にまで発展した。また、PC版においても不具合などに対するユーザー指摘が見られ、Steamユーザーレビューでの評価などにも影響が見られた。
しかし、本作は継続的なアップデートにより評価面も持ち直しつつある。昨年11月26日には、同日までの30日間のSteamユーザーレビュー集計ステータスが「非常に好評」に。また今年2月には大型アップデートも実施され、ゲーム内のさまざまな要素が見直され、次世代機対応もはたされた。さらに直近では世界観を同じくするアニメ「サイバーパンク エッジランナーズ」がNetflixにて配信開始され、好評を獲得。先んじて実施されたアップデートとの相乗効果もあってか、Steamでの本作同時接続プレイヤー数は急上昇を見せている(関連記事1、関連記事2)。
リリース直後の厳しい状況から、堂々の復活を果たしたともいえる本作。開発者のPaweł Sasko氏は自身のTwitchチャンネル配信にて、現在の心境を語っている。同氏は本作のリードクエストデザイナーを務めた人物。現在は前任のMateusz Tomaszkiewicz氏に代わり、クエストディレクターを担当している(関連記事)。
Sasko氏は配信にて、本作リリース当時の状況を振り返った。開発に7年近く費やした本作ながら、リリース時の反響は先述のとおりであった。Sasko氏の当時のパートナーは、同氏の様子を「Wrecked」と表したそうだ。この言葉は「(船が)難破する」といった意味のほか、「くじけて失意のどん底にいる」といった状態を指すニュアンスももつ言葉だ。長年開発に身をささげてきたタイトルが、リリース時に大きな批判を浴びたことに打ちひしがれていたのだろう。続けて同氏は「(本作が)持ち直して本当に良かった」と、感極まった様子で繰り返している。
本作のリリースに関しては、過去にCD PROJEKTの共同設立者であるMarcin Iwiński氏が、PS4/Xbox One版『サイバーパンク2077』が同社の望む水準を満たすものではなかったことを明かしていた(関連記事)。あわせてIwiński氏は、リリースの決定を下したのはIwiński氏ならびに取締役会であったとコメント。経営判断によって、開発チームのコントロールが及ばない状態でのリリースとなった可能性を示唆していた。リリース当時のSasko氏がどん底のような状態にあったことには、そうした背景もあるのかもしれない。
なおSasko氏は過去にもTwitch配信にて、視聴者の質問に答えるかたちで『サイバーパンク 2077』開発時の状況を伝えていた。その際に同氏は、本作の開発では非常に野心的な目標を据えており、その実現を目指して開発チームが努力を続けていたことを述べていた。そして本作には、そうした開発時の苦労に加えて、複数回にわたってアップデートも実施されてきた。評価やプレイヤー数も大きく持ち直し、開発チームの長年の苦労が実を結んだ形となるわけだ。
ちなみにSasko氏は以前の配信について、海外掲示板Redditにてやや大げさに取り沙汰された人物だ(関連記事)。同氏が少々感情的に開発側としての考えを伝える様子が切り抜かれて、「泣いている」などと揶揄されてしまったのだ。今回の配信もReddit上に動画が投稿されたものの、幸い前回のような恣意的な取り上げられ方はしなかったようだ。スレッド内には同氏の想いに理解を示すユーザーが多く見られる。またスレッド内には、開発者が経営判断に振り回されていたと考える意見も散見される。また、「人生の7~8年をかけて開発を続けた」というSasko氏の発言に感銘を示すユーザーもおり、今回は同氏の発言や気持ちに寄り添う者が多い傾向が見受けられる。
なお今回の本作の“持ち直し”においては、関連作品であるアニメ「サイバーパンク エッジランナーズ」がプレイヤー数急増の起爆剤となったであろう点にも注目したい。先日の『サイバーパンク 2077』アップデートの配信は現地時間9月6日で、Netflixでアニメが配信開始されたのは現地時間9月12日のことだ。Steamでの最大同時接続プレイヤー数を見てみると、アップデート配信直後もある程度の増加を見せているものの、アニメの配信直後からさらにプレイヤー数の増加傾向が強まっている様子がわかる(SteamDB)。
オンラインでのアップデート配信が可能となった昨今のゲームタイトルでは、発売後にアップデートを重ねてゲームを大きく改善していく、というのは時おり見られる開発方針だ。改善やコンテンツ追加で、評価や人気を増すケースもしばしばだろう。一方で本作では、ゲーム本編のアップデートもさることながら、アニメ配信との“合せ技”によってプレイヤー数が急増を見せたという点は注目すべきだろう。
そして先日には本作の大型拡張パック「仮初めの自由」が2023年に配信予定であることも明かされた。新規プレイヤーのほか、この機会に遊びなおして本作への印象を変えたプレイヤーも一定数いることだろう。メディアミックスの成功ののちに配信される初の大型拡張パックが、どのようにファンたちを盛り上げるかも注目したいところだ。
『サイバーパンク2077』は、PC/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに販売中。そして拡張パック「仮初めの自由」は、PC/PS5/Xbox Series X|S向けに2023年配信予定だ。そして同作がふたたび脚光を浴びる起爆剤となったアニメ「サイバーパンク エッジランナーズ」は、Netflix向けに現在配信されている。