Twitchで「耳マイク舐め配信」が人気。セクシー系人気配信者がASMRカテゴリーに殴り込み
配信プラットフォームTwitchで、セクシー配信者による「マイク舐め配信」が人気だ。配信の場となる同サイトASMRカテゴリーは、今月6月13日ごろから視聴者数の急上昇を見せている。その理由は、人気セクシー系配信者のASMRカテゴリー本格参入にあるようだ。
Twitchのセクシー系配信者を取り巻く状況については、先月5月に大きな動きがあった。セクシー系人気配信者の広告収益の無効化を発端として、コミュニティで議論が勃発。Twitchがセクシー系配信を許容する旨の声明を発表し、「プール、お風呂、ビーチ」カテゴリーを新設するなど、Twitch上の“お色気コンテンツ”をめぐるさまざまな変化が起きたのだ(関連記事)。そして今、セクシー系配信者の間で新たなムーブメントが発生しつつある。それが「耳マイク舐めセクシー衣装ASMR配信」だ。
「ASMR」は平たくいえば、耳元で鳴っているような音声を通じて快感を得るという趣旨の動画ジャンルだ。日本ではいわゆる「音フェチ」といった名称でも知られている。同ジャンルでは咀嚼音や摩擦音、耳かきの音といった題材がよく見られる。記事執筆現在、TwitchのASMRカテゴリーは、全体で約5万7000人の視聴者を集める盛況を誇っている。Twitchメタデータの分析サイトSullyGnomeによれば、同カテゴリーの平均視聴者数はここ半年間、1万人前後で推移していた。すなわち、現在同カテゴリーにはいつもの約5倍以上のオーディエンスが集っているということだ。実際に配信チャンネル一覧を見てみると、セクシーな衣装を身につけた女性が、耳をかたどったマイク(バイノーラルマイク)を舐め回す配信が目立つ。
なかでも人気を集めているのが、セクシー系配信者Kaitlyn “Amouranth” Siragusa氏の配信だ。前述の通り先月Twitchではセクシー配信にまつわるさまざまな動きがあり、同氏はまさにその中心となった人気配信者。セクシーさを全面に押し出した配信をおこなっていたAmouranth氏の広告収益が突如無効化されたのだ。その際には「Twitchが性的コンテンツの取り締まりに乗り出したのではないか」と、配信者含むコミュニティの話題を呼んだ(関連記事)。
Amouranth氏は現在のようなASMR配信も時たまおこなう一方で、ビキニなどの水着を身に付けてプールに入りながら雑談するというスタイルを主軸にしていた。この配信スタイルはHot Tub Livestreamとして浸透し、数多くのセクシー系配信者の間でトレンド化していた。結果として、Twitchは「プール、お風呂、ビーチ」カテゴリーを新設。「配信ガイドラインに反さないかぎり、セクシーな見た目での配信を許容する」という方針を発表した(関連記事)。
「プール、お風呂、ビーチ」カテゴリー新設時は、Amouranth氏などセクシー系配信者をはじめ、男性や架空のキャラクター、ネットミーム、果ては海洋動物までが配信を開始し、お祭りのような盛り上がりを見せていた。しかしながら、現在はかなりの落ち着きを見せており、同カテゴリーでもっとも人気の配信は海洋生物救助団体が配信する「プールで遊ぶカワウソ」の映像だ。
一方で、ASMRカテゴリーについては、前述のように爆発的な盛り上がりを見せている。この原因と考えられるのは、セクシー系配信者の中でも人気のAmouranth氏、およびIndiefoxx氏の同カテゴリー本格参入だ。この2名の視聴者数をあわせると約4万6000人。約5万7000人の現在視聴者数のうち、大多数をこのふたりが締めている。マイクに向かってささやいたり、物音を配信する“通常の”ASMR配信も存在するものの、同カテゴリーの配信者の多くがマイクをペロペロと舐め回している。配信者の健康が心配になる光景だ。
SullyGnomeのデータによれば、どうやらこうしたセクシー系ASMRの増加と視聴者数の爆発は、Amouranth氏、およびIndiefoxx氏の同カテゴリーを中心とした配信の開始と相関関係があるようだ。もともと同カテゴリーで人気を集めているチャンネルは、ややセクシーな要素を含むものが多かった。しかし、露骨なセクシー衣装などを身に付けての配信は比較的少ない。そして、上述の両氏とも、先週までの主戦場は「プール、お風呂、ビーチ」カテゴリーだった。つまり、ASMRカテゴリーに、本格派(?)人気セクシー系配信者が主戦場を移したかたちだ。
はやくもSNS上では、「次の配信メタは耳マイク舐めASMRだな」と揶揄する声もあがっているほか、「プールでの水着配信よりも露骨に性的ではないか」といった懸念のコメントも投稿されている。筆者が実際にAmouranth氏、およびIndiefoxx氏の配信を確認したところ、たしかに肌の露出度は下がっているものの、性的な露骨さについては強くなっている印象はあった。筆者も記事執筆のために映像を確認したが、ほとんど下着姿でマイクをなめて喘ぎつつトークをする両名の配信を視聴する際には、家族が自室に入ってこないかとても気を使った。主観ではあるものの、ポルノコンテンツを見ているかのような気まずさを感じた。
人気配信者の主導により、「耳舐め」という新しいトレンドが発生しつつあるセクシー系配信。ある意味で創造性を発揮した結果ではあるだろう。しかしながら、こうした性的コンテンツがエスカレートしていけば、配信プラットフォームにとってまた新しい論争の種となってしまう可能性は否定できない。今後どのようにセクシー系配信が発達していくのか、コミュニティの興味と懸念は尽きなさそうだ。
【UPDATE 2021/06/18 17:28】
Amouranth氏は以前よりASMRカテゴリーでの配信自体は実施していたものの、最近になって「マイク舐め」を軸としたASMRカテゴリー配信を集中的におこなうようになった点を踏まえ、文面を一部加筆・修正いたしました。