「Steamウィンターセール2021」で現実を忘れるほど熱中できるゲーム9選

今月6日まで開催されるSteamウィンターセールも折り返し地点。今年のオススメ記事では、「現実を忘れるほど熱中できるゲーム」をテーマにライターいち押しタイトルをピックアップした。

今月6日まで開催されるSteamウィンターセールも折り返し地点。正月をともに過ごすゲームは見つかっただろうか。新年といえば、気持ちをリセットして次のステージへ切り替えるよい機会だ。頭の中身を切り替えるには、いちど何もかも忘れて思い切りゲームに没頭するのがいちばん。そこで今年のオススメ記事では、「現実を忘れるほど熱中できるゲーム」をテーマにライターいち押しタイトルをピックアップした。壮大な世界観で異邦気分を味わえる作品や、ついつい止め時を失う中毒作。あるいは脳を空っぽにできる禅ゲーまで、さまざまなジャンルで没頭できるゲームをラインナップしている。正月ボケ上等、年始からフルスロットルでゲームに打ち込み、今年の現実にも立ち向かっていこう。
 

Ratropolis

1064円(1520円、30%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク
 

 
『Ratropolis』は、デッキビルド型のカジュアルなタワーディフェンスゲームだ。プレイヤーはネズミの指導者となり、ウェーブ形式で都市に迫り来る敵を次々と撃退。領土を広げ、建物を建築し、大都市ラトロポリスの建国を目指す。

本作の特徴は、資金生成・建築・軍事力拡大といったタワーディフェンスゲームの要となる行動を、すべてカードデッキを通じておこなう点にある。初期カードこそ固定であるものの、商人から購入できるカードのラインナップや宝箱の報酬はランダムに変化する。タワーディフェンスゲームは強力な戦術が固定化され単調になりがちだが、これらのランダム要素によってリプレイ性が高められている。さらに6タイプの指導者や3種のステージ、プレイングによって解放されていく新たなカードがもたらす変化が相まって、毎回異なる戦術が楽しめるだろう。

ゲームはリアルタイムで進行していくため、デッキ回しにもたつけばすぐに都市は壊滅してしまう。常に適切な判断力が求められ、適度な緊張感と隣り合わせになるゲームバランスは、タワーディフェンス熟練者であっても歯応えを感じられるものだ。1プレイは30分程度だが、もう1戦、もう1戦と繰り返しているうち、知らぬ間に時が経っていることだろう。ちなみにネズミたちがステージ上でせかせかと動き回る姿や、500枚以上のカードは可愛らしくデザインされている。日頃戦略ゲームをプレイしないネズミフリークな方にもおすすめだ。

by. Tetsuya Yoshimoto

 

ファタモルガーナの館(The House in Fata Morgana) 

1000円(2000円、50%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク) 
 

 
「あなた」は気づけば、とある古ぼけた屋敷にいた。あなたには記憶がなく、自分が何者なのか、生きているのかさえも分からない。そんなあなたは、あなたを旦那様と慕うひとりの女中に導かれ、さまざまな時代に起こった呪われた屋敷の出来事を目撃していく。その歴史に潜むのは人間の罪業か。狂気か。はたまた絶望か。

『ファタモルガーナの館』は、「西洋浪漫サスペンスホラー」と称されるビジュアルノベルゲームだ。さまざまな時代で葛藤する者たちを演者として、過酷な運命が交差する悲劇の物語が綴られる。重厚なテキストには、ゴシック様式で描写される舞台風景や登場人物、ポルトガル語の歌曲が半数以上を占めるノスタルジックなBGMを挿入。それらで構築される煌びやかな平穏は、人間の業がなしうる惨劇によって儚くも崩れ去る。ジェットコースターの如くふいに落下し叩きつけられる衝撃の展開に、心に太い棘を刺され、抉られた。その棘を引き抜かんと、夜な夜な読み進めてしまった次第である。

本作は2016年にリリースされた作品だ。少し古めに思うかもしれないが、巧みな伏線を張り巡らしミスリードを誘う絶妙な構成の物語は、決して色褪せることはないだろう。本編のボリュームは15時間前後。ぜひネタバレを見ずに「あなた」の物語の結末を追ってほしい。

by. Tetsuya Yoshimoto
 

Fallout 76 

1584円(4800円、67%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク) 
 

 

核戦争後の荒廃したアメリカを描く『Fallout』シリーズの8作目。世界観やシナリオの深さもさることながら、シリーズ初であるオンライン要素が独特の居心地の良さを形成しているタイトルだ。他人と積極的に関わることはしたくないけれど、近くに誰かがいる安心感は嫌いじゃない。そんなほどほどの距離感を求める現代人へ特におすすめしたい。

他プレイヤーとの関わりはエモートによる挨拶程度。パーティーを組むとさまざまな恩恵はあるものの、チームプレイは強要されないため好きなことをやっていて構わない。ボイスチャットで暴言が飛び交うような状況もほとんどなく、まれに誤って指名手配されたプレイヤーが「Kill me !!」と叫んでいるくらいである(不徳をはたらいたプレイヤーは指名手配され、始末されるまで賞金首となってしまう)。

拠点であるC.A.M.P.についても同様だ。他人の拠点に立ち入っても怒られることはないし、どうしても入られたくない場所には鍵をかけておくことができるので、誰とも関わりたくなければ拠点でひとりの時間を過ごすこともできる。拠点は自分の好きなように建築することができ、よそのC.A.M.P.を観光に行くのも楽しい。

殺伐とした世界観のなかでクラフトや探索にいそしみ、まれに遭遇するプレイヤーとゆるい挨拶を交わす。この奇妙な穏やかさが心地いい。アパラチアという世界に入り込み、「生活」に没頭できるタイトルとして、ぜひ『Fallout 76』をプレイしていただきたい。
by. Aki Nogishi

 

Workers & Resources: Soviet Republic. 

2056円(2570円、20%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク) 
 

 

『Workers & Resources: Soviet Republic.』はソ連スタイルの都市建設シムだ。広大な土地と資金を祖国から与えられたプレイヤーは、イチから共産主義国家を発展させていくこととなる。 

本作の熱中できるポイントは、緻密な計画による都市建設にある。数多ある都市建設シムの例にもれず、何も考えずに施設を建てていくと資源も外貨も枯渇し、都市の拡張がままならなくなってしまうのだ。まずは国のメイン産業を何にするかを考え、最終的な形態を見据えながら都市の発展を進めていく必要がある。また、ゲーム内の物価はリアルタイムで変動するため、ずっと同じものを輸出していくというわけにもいかない。共産主義国家を作るのに資本のことを考えなければならないのは皮肉な話に聞こえるかもしれないが、皆が幸福な社会を実現するためには、まずは外貨が必要なのである。 

いわゆる「西側」の都市建設シムとの違いは、「東側」の人民たちは“文化的”な欲求が強い点である。パブや映画館などの娯楽が不足していると住民たちは国を脱出してしまうし、学校を建設しないと無教養な人民が増え、穀潰しが生まれてしまう。人民の力で国を運営し、自給自足を目指す共産主義国家では、人民の幸福度や教育も重要というわけだ。 

何よりも楽しいのはソ連らしいモニュメントの建設や、プロパガンダ放送で人民を教育しているときである。街にレーニン像を建て、放送を聞いた人民の忠誠度を上がっていくのを見れば、きっとあなたも現実を忘れ、幸福な指導者の気持ちになれるはずだ。 
by. Aki Nogishi
 

The Henry Stickmin Collection

1216円(1520円、20%オフ、有志日本語Modあり)(Steamストアリンク
 

 

『Among Us』クリエイターの過去作、とお伝えすれば興をそそるだろうか。『The Henry Stickmin Collection』は、古きよきFlash時代の人気ゲームを再録・新規書き下ろししたADVだ。分岐する選択肢を選びミッション達成を目指すクラシカルな構成。しかし本作には、単なるインターネット老人会向け福祉にとどまらない魅力がある。

先述の『Among Us』にて、多彩なキルモーションに目を惹かれた人は少なくないだろう。『The Henry Stickmin』シリーズには、そのルーツとなる遺伝子が濃厚に流れている。何といっても醍醐味は多彩すぎる「失敗モーション」。すべての選択肢に対して固有のアニメーションがつけられており、そのミニマルなダイナミックさは思わず全部見たくなる秀作ばかりだ。格闘、爆破、悪ノリパロディてんこ盛り。棒人間がやたら暴力的に動き回る楽しさは、ある時代のGIFアニメを漁っていた世代にも刺さるはず。周回前提の親切設計も効いており、気付いたら息をするようにマラソンしている。懐かしくも古びないインタラクティブ・アニメーションで、脳を空っぽにしてみるのはいかがだろうか。
By. Yuki Kurosawa

 

Chrono Ark

1211円(1730円、30%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク
 

 
『Chrono Ark』は、パーティーを編成して時計塔の起動を目指す、高難易度デッキ構築型ローグライトRPGだ。直接的な戦闘能力はもたないものの、何やら時間に関連する能力がありそうな主人公・ルーシーは固定枠。残りのPTメンバーを個性豊かなキャラクターの中から選び、迫りくる霧から逃れつつ敵と戦うことになる。ルーシーを含め、各キャラクターにはそれぞれパッシブスキルと専用のカードプールが設定されている。各キャラクターをレベルアップさせると、専用カードが手に入りステータスも向上。また、デッキとマナはパーティーで共有になっている。

本作の特徴はシビアな難易度にある。ローグライトでは、運に恵まれた結果ビルドが早々に揃い、パワープレイでクリアまで辿り着けることがある。本作でもそうした豪運は一応存在するものの、生半可なコンボではボスの前にあっけなく散るだろう。中盤以降に登場するボスはそれぞれ凶悪な特性をもっており、対応できなければ死に直結するからだ。そのため、本作では入手したリソースを活かし、状況になんとか対応するシビアな戦いが繰り広げられる。通常の敵すら気を抜くとPTが壊滅するほどの強さを誇っているものの、全滅する度に次はもっと上手くやれるような気がしてくる。ランダム要素に踊らされているのか、あるいは対応できれば生き残れるためか。ともあれ、気づけば次の周へ向かい、全滅を繰り返しているのは確かだ。
by. Keiichi Yokoyama

 

Heave Ho

505円(1010円、50%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク

 
『Heave Ho』は、奇妙な2本の腕が生えた生物を操作して、ステージクリアを目指す協力プレイ対応の2Dアクションゲームだ。ゴールへたどり着く方法は、ジャンプやダッシュではなく、2本の腕を使ってステージのあちこちを掴むこと。左右の腕にはボタンがそれぞれ別に割り当てられており、壁を腕で交互に掴んで登っていったり、足場の端を掴んで振り子のように体を揺らし、大きくゴールに向かって飛んだりなど、ステージを自由に攻略できる。

また、最大4人での協力プレイの場合には他のプレイヤーも掴む対象となり、手と手を繋いで一緒にゴールを目指して進んでいける。ただし、真ん中のプレイヤーがうっかり手を放してしまったり、崖を掴んでいるプレイヤーがタイミングを誤ったりすると、奈落の底へ落ちるのも一緒。シンプルな操作方法になっているものの、左右を間違って操作するなど協力プレイでは何かと事故も起きやすく、そうしたハプニングによってソロよりも楽しいゲームプレイが繰り広げられる。残念ながら、本作はオンラインマルチプレイには対応していない。しかし、オフラインかRemote Play Togetherで、奇妙な2本の腕の生き物を操作するゲームに付き合ってくれる友人がいるなら、時間を忘れて熱中できるだろう。
by. Keiichi Yokoyama
 

Thumper

399円(1999円、80%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク

 
『Thumper』は、暗い空間に延々と伸びるレール上を疾走するリズムゲームだ。BGMに合わせて通過するThump(ノート)やカーブ、障害物などのオブジェクトをヒットするように、自機であるメタリックな甲虫を操作する。そのBGMは低音轟く太鼓をメインとしており、サイケデリックかつ禍々しいビジュアルとも相まって、本作ならではのダークな世界観を表現。ほかの多くのリズムゲームとはかなり趣が異なる。

各種オブジェクトはBGMのリズムに合わせて配置されており、これがレールを走る圧倒的なスピード感にも繋がっている。裏拍を細かく利用していることが特徴的で、分かりやすいメロディーもないため難易度は高めだが、プレイを重ねている内に、独特のノリやパターンが存在することに気づくはず。目押しではなく、太鼓のリズムの中でそれを感じながら上手く突破できた時の爽快感はたまらない。

ひとつのステージは全体で見ると結構長いが、20を超えるセクションで区切られている。ただ、BGMを含めシームレスに進行するため止め時が難しく、またセクションごとにプレイ評価が下されることもあってやり込みたくなる。寝る前にちょっとだけ、と始めたらいつの間にか空が白んできた、なんてことも。息もつかせぬゲームプレイと、ユニークなステージ環境が組み合わさったことで生まれる没入感によって、つい時間を忘れ没頭してしまう作品なのだ。同時セール中のサントラもオススメである。
By. Taijiro Yamanaka
 

Hades

2056円(2570円・20%オフ・日本語なし)(Steamストアリンク
 

 
疲れ果てて気力ゼロになった時にはゲームに走るクセがあり、以前は『Dead Cells』、少し前までは『Neon Abyss』がファーストチョイスだったが、最近は『Hades』一択となっている。偶然にもローグライク要素のあるアクションゲームばかり。死んでもロスがないことが気楽で良いのだろう。

本作は、ギリシャ神話をテーマにしたアクションゲームで、冥界の神ハデスの息子ザグレウスが主人公。親父への反発やとある目的で、地下世界からの脱出を目指して家出するという、妙に人間味ある内容である。武器は剣や弓、槍などから選択。次々に湧き出るモンスターを倒しながら部屋を進み、親父が差し向けたボスにも立ち向かい、地上へと歩みを進めていく。道中ではさまざまな神が登場しランダムでスキルを授けてくれるほか、恒久的な強化に繋がるアイテムも獲得可能。敵は固く手強いため、何度も死んでは実家の館に戻されることになるが、能力を強化しながら挑戦を繰り返すのだ。

似たスタイルの作品はほかにも存在するが、本作はアクションゲームとしてのクオリティの高さはもとより、コンテンツの豊富さが尋常じゃない。アンロック要素の種類だけでなく、登場する神々や会話のバリエーションも膨大。毎回新たな展開が待っており、また会話はユーモア溢れる内容で楽しい。本作をプレイしていると疲れていたことを忘れ、集中力が復活して仕事に戻れるのである。
By. Taijiro Yamanaka

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