新作メトロイドヴァニア『Twilight Monk』は、2Dアクションなのにプレイ感覚はRPG。不思議体験

パブリッシャーのグラビティゲームアライズは、2.5DアクションRPG『Twilight Monk(トワイライトモンク)』を2025年3月に発売する。対応プラットフォームはPC(Steam)/Nintendo Switch。発売に先駆けて、開催中のSteam Nextフェスにて、3月4日まで期間限定の体験版が配信中だ。
本記事では体験版をプレイして触れられた内容をお伝えしていく。あくまで体験版でプレイできる内容の紹介であり、実際にリリースされる内容と異なる可能性があることはあらかじめご承知いただきたい。
『Twilight Monk』は、見下ろし視点のフィールド探索とメトロイドヴァニアが融合した武術アクションRPGだ。舞台となるのは、さまざまな種族が共存する空想の世界「スペリア」。デーモンハンターの末裔であり、「黄昏の僧侶」と呼ばれる主人公「ラジエル」は、闇に覆われてしまったスペリアの平和を取り戻すため冒険へと旅立つのだ。なお本作は、デベロッパーのAquatic Moon Gamesが展開する小説やコミックなどのメディアミックス作品「Twilight Monk」に連なるゲーム作品という位置付けとなっている。
メトロイドヴァニアなのにプレイ感覚は昔ながらのRPG
本作の最大の特徴は、メトロイドヴァニアとしての横スクロールアクションに、昔ながらのRPGが見事に融合している点だろう。筆者としては、戦闘とダンジョンが2Dアクションで描かれるRPGをプレイしている感覚であった。
プレイ開始すると、主人公がいる三日月島で謎の爆発が発生するところから物語は始まる。爆発の場所へ向かうために、まずは横スクロールダンジョンパートのチュートリアルだ。主人公は武器である「幻影の柱」を初めから所有しており、柱による攻撃とジャンプを駆使して、道中にいるモンスターを倒しながら先へと進んでいく。四角い部屋が縦横に連なるダンジョン構造、ジャンプしても届かない足場、今は壊せない岩や隠し通路などメトロイドヴァニアらしい要素を一通り体験できるだろう。途中にある神社では回復とセーブでき、その先では最初のボス戦に突入するものの、落ち着いて戦えば難しくはないはずだ。


ボス撃破後のイベントで、新たな移動アクションとして2段ジャンプを習得する。そのまま村へと向かうことになるが、来た道を右へと戻って2段ジャンプで探索することをおすすめしたい。その先にはすぐに本作のHPである「スピリット」の欠片があり、欠片を集めることでスピリットが一つ増えるのだ。スピリットは3つから始まり、筆者はこの欠片を見逃していたため体験版の終盤で苦労することとなった。
ダンジョンから村に入ると横スクロールから一転して見下ろし視点で描かれる。360度に移動できるようになり、昔ながらのRPGのように村人や動物に話しかけたり、ショップなどの建物に入ることが可能だ。また、村ではモンスター図鑑が解放され、モンスターごとに規定数倒すと報酬が貰える要素もある。そのほか、お金で修理できる施設もあり、死んでもその場で一度復活できるポーションなどの販売価格も高いため、敵を倒すモチベーションとなるRPG要素と言えるだろう。

村から出るとそのまま見下ろし視点のワールドマップとなる。闇に覆われた暗い世界でありながらも幻想的で、ダンジョンと比べて自由に動ける解放感が得られたのが印象的だ。ワールドマップ上では、モンスターがランダムに出現と消滅を繰り返しており、近くに出現すると大抵は逃げきれず戦闘に突入する。RPGにおけるシンボルエンカウントだ。
戦闘はダンジョンの一部屋のような地下もある専用のフィールドに移行し、横スクロールアクションでおこなう。広いフィールドに敵が10体程度配置されており、すべて撃破せずともフィールドの左右から出ることで戦闘終了となる。敵を倒すとお金と経験値を獲得し、レベルアップすれば攻撃力が上がっていくのでRPGのような稼ぎにも利用できるだろう。とはいえ、チュートリアルより敵の攻撃も激しく、体験版の範囲では回復手段も乏しい。もし死んでしまうと最終セーブからやり直しとなるため、要所に配置されている神社でこまめに回復とセーブしておきたい。ちなみに、戦闘フィールドは現在のエリアに応じて複数パターン用意されているようで、敵が出現せず宝箱のみのボーナスステージも確認できた。

また、ワールドマップには拠点やダンジョンが点在しており、現在の行先は地図に「!」マークが表示されている。「!」マークを訪れるとストーリー進行して、イベントアイテムを入手する。イベントアイテムを持っていると、ストーリーダンジョンに入れるようになり攻略していくという流れはRPGでおなじみの要素だろう。そのほか、ストーリーでは訪れることのない寄り道ダンジョンもあり、そちらは強めの敵が出てくることも「あるある」と思わず嬉しくなってしまった。
このように、イベントとダンジョン攻略を繰り返して新たなエリアを訪れるというのが大まかな流れである。また、ストーリーダンジョンのボスを倒すと新たな移動アクションを習得するというサイクルもあり、以前のダンジョンで行けなかったルートを探索できるというのは従来のメトロイドヴァニアの要素だ。体験版では2段ジャンプ、ダッシュ、スライディングの移動アクションが確認でき、残り5つの移動アクションがありそうだ。

なお、体験版の最後に戦う二人組のボス戦で筆者は苦戦してしまった。遠距離主体と突進主体に分かれており、この時点でもスピリットが3つだったため2回しかミスが許されず、ことごとくやられてしまうのだ。10回前後の挑戦でなんとか撃破できたものの、スピリットが増えていたり復活できるポーションを持っていればもう少し余裕を持って立ち回ることができただろう。このボス戦後に寄り道ダンジョンなどを探索するとスピリットが5つまで増えたため、探索による強化の重要性を実感する出来事であった。そのほか、戦闘によるレベル上げや高額なポーションの購入なども立ち回りに関わっており、本作の本質はまさにRPGなのだ。
「幻影の柱」を中心とした独特でカスタマイズ性の高いアクション
戦闘やダンジョン探索において、アクションの中心となる武器「幻影の柱」(以下、柱)も本作の特徴だ。柱には鎖が付いており、通常攻撃では鎖を掴んで柱を投げつける。敵が使う剣などよりもリーチが長く、大抵は安全圏から一方的に攻撃することができて気持ちいい。なお、上下攻撃はできないものの、ジャンプ中の通常攻撃は柱が表示されている間に当たり判定も上下するため、高所にいる敵も攻撃しやすい。
この柱は地上のどこにでも設置することができ、設置した柱を足場として高所に上るといったことも可能だ。設置した柱は遠く離れて遮蔽物があっても呼び戻すことができ、ブーメランのように回転しながら戻ってくる柱には攻撃判定もある。設置した柱とプレイヤーで敵を挟んでまとめて攻撃するという使い方もできるだろう。また、設置した柱には敵からの遠距離攻撃を一度だけ防ぐ効果もあり、ジャンプして避けるよりも柱で防御した方が隙が少なく攻撃に移れる場面もあった。そのほか、設置した柱により扉が開くというギミックもあり、アクションと探索が柱を中心にデザインされているのだ。

柱による攻撃のほか、「戦技」というサブ武器も用意されている。戦技は「エンバー」というMPのようなリソースを消費する特殊攻撃だ。ダガーを投げる遠距離攻撃や爆弾を投げるものなどさまざまな種類があり、ストーリー進行とともに解禁されていく。一度に使える戦技は一つだけだがリアルタイムに付け替えることが可能だ。エンバーはダンジョン内のオブジェクトを壊したり敵を倒すことで回復するので、状況に応じて上手く使い分けていこう。ちなみにエンバーと異なり、HPである「スピリット」の回復アイテムは敵や宝箱から稀にしか出てこない。
また、これらのアクションを拡張する「護符」という要素もある。護符はいわゆるパッシブ効果を付与するもので、装備することで効果を発揮する。たとえば、「石の足の護符」を装備すると設置した柱を蹴ることができる。蹴った柱により遠方へ攻撃できるようになるとともに、往復で多段ヒットするため以降はメイン攻撃手段となるほど強力であった。


護符にはそのほか、通常攻撃のリーチを伸ばす、戦技を強化する、移動速度アップなどさまざまな種類があり、探索の過程で見つけたりショップで購入することができる。しかし、当初は護符を一つしか装備できず、上述した石の足の護符に占有されてしまうだろう。護符の装備スロットはモンスター図鑑の報酬としてアンロックされ、複数装備できるようになるのだ。敵を倒すことで経験値やお金だけでなく、モンスター図鑑報酬による強化にも繋がっており、これもRPG要素を感じるだろう。護符は28種、装備スロットは7つあるようで、プレイヤーによって異なるカスタマイズも楽しめそうだ。
体験版では触れられなかった気になる要素の数々
体験版では2つ目のエリアの途中までプレイでき、3つの移動アクションを習得する。筆者はこの状態で以前のダンジョンを再訪して行けなかったルートを探索してみたものの、地図に表示される探索状況をコンプリートできたダンジョンは一つもなかった。製品版で習得できる移動アクションが待ち遠しくなる。また、探索の過程で青い宝石を入手することがあり、2つ目のエリアで宝石を必要とする拠点も見つけたのだが、必要数に足りず詳細不明で気になる要素であった。

そのほか、メニュー画面には「召喚」「ファミリア」といった全く触れることのなかった要素もあった。ストアページやトレイラーからは、「使い魔」としてプレイヤーの近くを浮遊する剣がサポート攻撃している場面を見ることができ、いつ解禁されてどのような能力を持っているのか楽しみである。前述した戦技や護符も体験版では一部であり、製品版で解禁されるアクションやカスタマイズにも期待が持てるだろう。
体験版をプレイして、メトロイドヴァニアとRPGの相性の良さに驚いた。RPGのようなストーリー進行と寄り道要素や強化要素が、メトロイドヴァニア特有の探索要素と融合することで、プレイヤーに多彩な攻略の自由度を提供しているのだ。あくまで筆者個人の希望として、今後のメトロイドヴァニアのスタンダードになってほしいと思える体験版であった。
『Twilight Monk』は、PC(Steam)/Nintendo Switch向けに2025年3月に発売予定。Steam Nextフェスにて、3月4日まで期間限定の体験版が配信中だ。