海賊オープンワールド『シー・オブ・レムナンツ』はすべてが「自由」だけど、世界は優しくない。イカサマも、NPCを生かすも殺すも自由。巨大ガニに船を破壊されるのも、また自由
『シー・オブ・レムナンツ』は、海賊の世界を題材としたシングルプレイのオープンワールドRPGだ。主人公の人形は記憶を失った船乗りとして、人形たちが集う島「オートピア」に流れ着く。

NetEase Games傘下のJoker Studioが手がける、海洋オープンワールドRPG『シー・オブ・レムナンツ』。ゲーム内は日本語表記に対応しており、PC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/iOS/Android向けに2026年内のリリースを予定している。
今回弊誌は、2月5日から12日まで開催されていた本作のPC(Steam)向けのクローズドテストに参加する機会に恵まれた。非常に多くの要素で構成された本作だが、そのすべてに“自由”が満ちていることが非常に印象的だった。ある程度のゲームとしての基盤はありつつも、自由な体験を届けようとしている。いかに自由なのか。その要素は多岐にわたるため、それぞれを紐解いていこう。
あらためてゲーム概要を説明しよう。『シー・オブ・レムナンツ』は、海賊の世界を題材としたシングルプレイのオープンワールドRPGだ。主人公の人形は記憶を失った船乗りとして、人形たちが集う島「オートピア」に流れ着く。そしてオートピアやその周辺の島の人々との交流を経て海賊団を作り上げ、記憶を求める旅に身を投じることになるのだ。記憶を求める旅のなかで主人公が下す決断は、オートピアの結末に影響を与えることもある。また、主人公と行動をともにする少女「R.S」に隠された秘密など、ストーリーを通してさまざまな謎も明らかになっていく。

攻略“自由”のサブクエ、NPCの処分も“自由”に決めてよし
仲間を集め、自慢の船に乗り込んで航海の旅に出かければ、すぐにこの世界がたくさんの冒険に満ちていることに気づくだろう。特に個性豊かな島々に暮らす人々から届く“変わったサブクエスト”の数々は、目についたものからこなしているだけで時間があっという間に過ぎ去ってしまう。悩んだ末、なんとなく気が向いたものだけをクリアしていくことに。
この方がより気ままな海賊暮らしにふさわしい気がするし、本編の息抜きにもピッタリだ。ちなみにサブクエストはメインシナリオとは直接関係しないため、興味がなければスルーしてしまってももちろん問題はなし。自分にあったスタイルで冒険を進められるのはありがたい。

また、冒険の拠点であるオートピアにおいても人々からの依頼を受けることがあるのだが、こちらもユニークな内容のものが多い。たとえばオートピアの裏路地の女王アニーからは窃盗犯の対処を頼まれるのだが、犯人の処分の方法はプレイヤーが選択することになる。相応の罰を与えることで許すこともできるし、許しがたい行いに対してはオートピアから永遠に追放することもできる。
筆者は一度ある窃盗犯を見逃してみたものの、数日後に同じ人物がふたたび窃盗を繰り返しているのを目撃したときにはなんともやるせない気持ちになってしまい、逡巡の末に追放を選択してしまった。果たしてこの選択は、正しかったのだろうか。自由でいることには相応の責任が付きまとうということを思い知らされた一幕だ。

バトルの順番を“自由”に変えられる必殺技
本作の陸上における戦闘は、ターン制RPGシステムで展開される。事前に入力したコマンドをもとにお互いがアクションを行っていくという伝統的なシステムを土台としながらも、実はここにもプレイヤーの自由に決められる要素が存在する。戦闘を通して溜めたゲージを使うことで各キャラごとに固有となる必殺技を放てるのだが、この必殺技は行動順を無視して即発動することができるのだ。

キャラによっては固有の能力でも連撃を行えるため、自身へのバフ→通常攻撃→固有能力で追撃→ゲージが溜まって必殺技……という1人コンボが成立することもあり、かなり爽快。また上記のように、溜まったら即発動!という攻撃的な運用方法に加えて、保持しておいた回復系の必殺技を相手の大技の直後に発動し即座に回復、という運用も個人的なお気に入りの1つ。本作ならではのシステムではないが、戦術的。いずれにせよこのシステムは、本作の自由さの演出に一役買ってくれている。
人形を“自由”自在に組み替えるキャラクリ
そして本作の自由を真っ先に感じることができるのが、ゲームを始めてすぐに訪れるキャラクタークリエイト画面だ。Joker Studioの代表作である『IdentityV 第五人格(以下、第五人格)』の特徴である人形をモチーフとしたアートスタイルは本作にも受け継がれており、まさしく人形を組み立てるがごとく思い通りのキャラクターを生み出すことができる。体形や髪形を始め、メイク、顔のパーツのパラメーター、衣装といった細部までを自由自在に変更できるのが嬉しい。

特筆すべきは、そうして生み出したキャラクターがストーリーにおいて多彩な表情を見せてくれること。本作のキャラクタークリエイトはかなり自由度が高いにも関わらず、表情やポーズが破綻するような場面は一切確認できなかった。『第五人格』ではゴシックホラーの世界観を表現するための不気味さの象徴として人形が用いられていた印象があったが、本作の人形たちからは滑稽さやひょうきんさ、軽快さといったイメージが連想させられるのが非常に興味深い。Joker Studioは、本作をもって人形というアートスタイルの新たな側面を開拓したと言っていいだろう。



欠点を補うも長所を伸ばすも“自由”な育成
主人公を含めたパーティーメンバーは、冒険を通じて成長していく。なかでもキャラクターのレベルをそれぞれ5と10に到達させることで可能となる転職は、使えるスキルやステータスに影響を及ぼす重要な要素だ。ランダムに提示される3択のなかからスキルと職業を選択する形式であり、パーティー内での相性や倒したいボスに応じたスタイルに臨機応変に変えていくことが肝要となる。また、各キャラクターやスキルは組み合わせによって相乗効果を発動させることもあるため、選択の幅は無限大だ。

なお、キャラクターの育成は冒険が終わるごとにリセットとなるため、周回ごとに展開が変わるローグライト的な側面も楽しめた。育成リセットと聞くと身構えてしまうかもしれないが、育成自体は周回を重ねるごとにどんどん楽になっていくため、自由に育成を楽しめる要素という位置づけとなっている。気軽にやり直して、自由な冒険に新たな風を送り込もう。
勝敗を“自由”に決められるイカサマ
冒険の合間には、多種多様なミニゲームがプレイヤーを楽しませてくれる。もちろん小細工なしの真っ向勝負を挑んでもいいが、相手の隙をついてイカサマを成功させれば勝敗の結果はこちらの掌の上。相手が場に出したカードの裏を見透かして勝てる手を後出し、ボードゲームでゴール直前の相手の駒と自分の駒を入れ替えるなど、良心がとがめない限りはやりたい放題だ。普段はPRGを善人プレイで進めがちな筆者だが、本作ではその魅力に抗えず可能な場面ではすべてイカサマを働いてしまった。こうしたイカサマがゲーム全体に与える影響は軽微だが、ルールに縛られない海賊になりきれるという本作のコンセプトを見事に表現するという点で、本作にとって必須の要素だと感じた。

“自由”に生きる海の人間たちのストーリー
本作のストーリーは一本のシナリオを追いかけていくリニアなつくりだが、そこには海に生きる人間たちの自由な生き様が描かれている。本作は記憶をテーマの1つとしていることもあり、主人公を含めて記憶を失ったキャラクターがたびたびストーリーに登場する。だがキャラクターたちはみなその境遇に打ちのめされるようなことはなく、むしろそのおかげで責任や義務から解放された享楽的な暮らしを楽しめている節すらある。記憶をテーマに扱うタイトルはシリアスなシナリオに傾くことも多いなかで、本作は記憶というテーマの新たな描き方を創出していると感じた。

なかでも中盤に登場するある男は、もともと海賊やならず者を取り締まる兵士を束ねる立場にあったものの、今では記憶を失ってならず者たちに交じって生活を送っている。ところがならず者たちのお祭りの最中に記憶を取り戻した彼は、彼らのお祭りを妨害するという本来の任務を思い出してしまう。兵士としての任務とならず者としての記憶の狭間で彼がとった行動は、「砲撃」と称してお祭りにド派手な花火を打ち上げるという粋なもの。自由という言葉の意味を口ではなく行動で示した、個人的に最も心を打たれたエピソードだ。

もちろん、そんな“自由”には代償がつきもの
どこに行くかも自由、何をするのも自由、何もかもが思い通りになるこの海において、もはやプレイヤーを阻むものはない。今回は、海に浮かぶ巨大な宝島を目指して出航。情報によるとこの海域には強力なボスも潜んでいるようだが、先ほど船の強化を済ませたばかりだし、なにより自由を愛し、自由に愛された筆者の旅を阻むものの存在など、想像もつかない。意気揚々と帆を張り、目的地に向かうと……。

突如宝島が持ち上がり、姿を現したのは巨大なカニ。一目で尋常の敵ではないとわかるその威容に内心ビビるも、しっぽを巻いて逃げ出すなどということは海賊の誇りにかけて許されない。覚悟を決めて戦闘を開始し、新調したばかりの大砲から雨あられと砲弾を浴びせまくる。幸いダメージはそれなりに入り、強化した船体が相手からの強烈な攻撃をなんとか許容範囲に抑えてくれてもいる。
船体の装甲は左右に分かれており、一方の耐久値が限界を迎えた場合は反対側の装甲を敵に向けることで時間による回復が図れる。さらには戦闘の援護を行ってくれる味方の船の登場もあり、「もしかしたら勝てるのかもしれない」という考えもよぎる。しかしそんな甘い予想は、ボスの体力を半分まで削ったあたりで脆くも崩れ去ることになる。

体力を削られ焦ったのか、突如ボスが狂暴化。文字通り怒涛の如く押し寄せる猛攻に、ダメージをギリギリで耐えしのいでいた船体もさすがに悲鳴を上げ始める。共に戦ってくれていた味方の船はすでに跡形もなく吹き飛ばされ、船体はもうボロボロ。とどめとばかりに繰り出された海面を叩きつける渾身の一撃で、我らが海賊船も戦闘不能となってしまった。圧倒的な敗北を迎えたわけだが、筆者の心は意外にも清々しい気持ちで満たされていた。それは、「自由を掲げて旅をするのであれば、それにふさわしい強さが必要」という現実を実力で理解させられたからだ。悔しさこそあれど、恨むような気持は一切ない。船を強化して、いつか必ずリベンジを果たしたいところだ。

海賊が海賊らしく“自由”に生きる世界
自由度の高い探索型RPGとやりごたえのある海戦に加えて、ローグライトの要素も取り入れている本作。一見すると異色の組み合わせだが、今回のテストを通じてそのすべてが海賊が自由に生きる世界の表現のために設計されていることが伝わってきた。現時点で自由で気ままな海賊暮らしを完成させつつある本作、リリースに向けてどこまでブラッシュアップされるかを見守っていきたいところだ。
『シー・オブ・レムナンツ』は、PC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S/iOS/Android向けに2026年リリース予定だ。
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