『ライフ イズ ストレンジ リユニオン』は初代作のファンにこそプレイしてほしい。人生は奇妙なだけでなく可能性に満ちていることを感じさせてくれる最終章
本作はマックスとクロエのダブル主人公制ともいえるストーリーになっており、最強の2人の新たな冒険が大きくフィーチャーされている。

超能力を駆使して謎を解き明かしていくアドベンチャーゲーム『ライフ イズ ストレンジ』シリーズの最新作として、『ライフ イズ ストレンジ リユニオン』が発売された。本作は作品名に「リユニオン(再会)」と題されているように、シリーズ第1作目に登場した主人公マックスとその相棒クロエの再会が大きなテーマとなっている。実際にプレイしたところ、本作はマックスとクロエのダブル主人公制ともいえるストーリーになっており、最強の2人の新たな冒険が大きくフィーチャーされていると感じた。筆者はマックスとクロエの切なくも尊い関係性が『ライフ イズ ストレンジ』の肝であると考えているので、2人の新たな交流を見られるだけで純粋に楽しい。
本稿では『ライフ イズ ストレンジ』シリーズを通じてプレイしている筆者の観点から、『ライフ イズ ストレンジ リユニオン』でどのようにマックスとクロエの再会が語られたのかを紹介したい。2人の物語は本作が最終章と題されており、それがどのような味わいをもたらしているかも言及していく。なお、本稿はスクウェア・エニックスの『ライフ イズ ストレンジ』チームから提供されたPS5版ソフトをプレイしたうえで執筆している。
本稿には『ライフ イズ ストレンジ』シリーズ過去作のネタバレが含まれているので注意してほしい。もちろん、本作は単体でも楽しめるようになっているが、シリーズを最大限楽しむためには個人的には以下の順番でプレイすることをおすすめする。
- 『ライフ イズ ストレンジ』
- 『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム』
- 『ライフ イズ ストレンジ ダブルエクスポージャー』
- 『ライフ イズ ストレンジ リユニオン』

大人になってもマックスとクロエは最強のコンビ
前作の『ライフ イズ ストレンジ ダブルエクスポージャー』でもマックスは主人公だったが、クロエがメインストーリーに絡むことはなかった。マックスとクロエは疎遠になっており、本作の冒頭でもマックスはクロエへのメールの返信を躊躇っている。ところが、本作ではクロエは迷いを断ち切り、マックスのもとへとやって来る。これだけでもエモーショナルだが、危機に瀕していたマックスを助けようともしてくれるところがいい。最強コンビの復活だ。
たしかに、異なるキャリアを選んだ友人同士が疎遠になってしまうことは一般的にはよくあることだ。しかし、『ライフ イズ ストレンジ』のマックスとクロエに限ってはそれはないだろう。たしかに悲劇を抱えて一緒にいるのは辛いのかもしれないが、マックスとクロエの2人は互いに深く結びついている。それは自分の魂の半身とあったようなものだ。自分の足りないところを埋め合わせることができる。寄り添って生きていけるマックスとクロエの稀有な関係性の尊さ。これが『ライフ イズ ストレンジ』ファンが見たいものであり、それを本作は久しぶりに見せてくれた。
であるからこそ、最新作の『ライフ イズ ストレンジ リユニオン』でプレイ開始直後からクロエのパートでプレイできたことは嬉しかった。相変わらずの口の悪さは置いておいて、バンドのマネージャーとして各種調整をこなすクロエの姿に彼女の成長を感じたものだ。クロエがマックスを尋ねようと思ったのには理由が存在する。白昼夢のように繰り返し起こる不思議な現象がクロエを消耗させ、マックスのことも気がかりとなってきた。マックスのクロエのことを考える際の表情が慈悲と切なさにあふれていて、 2人の仲が完全に終わっていないことをプレイヤーに実感させるものにふさわしかった。


マックスとクロエの再会は、『ライフ イズ ストレンジ』で登場する超能力についてより一層考えさせられるようになった。たとえば、超能力は使うべきであるのかといった倫理的な問題や、超能力を使ってもすべてを助けることはできないという罪悪感。そうしたマックスが抱える問題に向き合い、ときにはユーモラスに笑ってくれるのはクロエだけだ。作中では事件解決のために怪しい人物の鞄を奪うシーンがあるのだが、マックスが能力の発動に躊躇しているなかでクロエが妙に乗り気なのがおもしろい。
マックスにしても、クロエにしても、この2人が一緒にいることによって初めて楽しくなる出来事が次から次へと描写されていく。マックスとクロエは本当の意味で最高のパートナーで、相手の悲しみを癒し、お互いの悲しみを共有して前へ進んでいくことができる。再開後にマックスとクロエはイチャつきながら、お互いが一緒にいることこそが大切だと思うようになっていく様子がひたすらに美しかった。ファンとしてはこれが見たかったのだ。


序盤からクロエがプレイアブルキャラクターとして登場するため、本作はマックスとクロエの2人が実質的なダブル主人公のようだ。2人が単独で主人公を務めることは過去作にもあったが、同一作品でのダブル主人公制は初。 事件解決のなかで別行動することもあるのだが、それぞれが主人公としてキャラが立っている。時間を巻き戻せるマックスはもちろん、『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム』でクロエが披露していたバックトークが本作でも使えるようになっていたのには驚いた。本作が「マックスとクロエの最終章」と謳われているように、2人が登場したタイトルの完結作となっているかのような雰囲気があった。お互いの得意分野を活かして、事件解決の謎に迫っていくのは高揚感がある。
マックスの居場所であるカレドン大学に忍び寄る変化の兆し
マックスは写真家として成長しており、いまでは大学で講師をしている。ストーリー冒頭では有望な写真家としてニューヨークで個展を開くことになっているが、勤務先のカレドン大学が崩壊してしまう未来に遭遇してしまったために個展を中止して事件の解決に挑む。前作の『ライフ イズ ストレンジ ダブルエクスポージャー』でひどい目にあったとはいえ、カレドン大学はマックスにとってはもはや大切な場所の一部だ。
リベラルアーツ系大学としての自由な校風はマックスの性格にフィットし、充実した日々を送っている。しかし、前作『ライフ イズ ストレンジ ダブルエクスポージャー』での事件が尾を引いており、大学は変わろうとしている。こうした不穏な動きは一介の講師であるマックスの権限を超えたもので、基本的には成す術がない。こうした無力感に苛まれるマックスの姿は、初代作でスクールカーストができあがっていた地元の高校で苦しむマックスの姿を思い起こさせた。
マックスの能力によるとカレドン大学は数日後に火災によって多くの被害を出し、そこには教え子たちだけでなく、同僚の教員として仲の良いモーゼスやもはや説明不要の相棒クロエも犠牲者となってしまう未来を知ってしまう。シリーズ初代作の『ライフ イズ ストレンジ』は、超能力を使ったとしても大切なものを失う話だった。ある大切なものを救えても、もうひとつの大切なものは救えないかもしれない。どちらを犠牲にしてどちらを救うべきなのかなんて、普通の人間には背負えないものだ。
しかし、マックスたちは諦めない。マックスの能力を知っているカレドン大学の教員であるモーゼスとともに、大学の火災を止めようと奔走する。マックスは大学の学生が主催している秘密結社パーティーに侵入して暴動につながる証拠を探す一方で、クロエは街のバーで怪しい話しを聞き込んでいく。それは、たとえマックスが超能力者でもできないことであり、仲間として最高に頼りになるクロエがいてくれたからだ。そのクロエがマックスのことを最大限に信用してくれることは言動の端々にあらわれており、それがまたプレイヤーの胸を打つ。ストーリーの終盤は大学と周辺住民の大規模な衝突となるため、その直接的な犯人探しがゲームの肝となる部分だ。


それでも力に溺れることなく、辛い選択をできたのはマックスとクロエが最高の相棒だったからだ。クロエはマックスの力を恐れずに、いつだって信じている。初代作ではプレイヤーの選択肢によっては最高の親友であり続けるし、ときには恋愛感情をぶつけ合うカップルのような存在へと変わっていく。ゲーム開始時にマックスとクロエの関係性をプレイヤーが選ぶ場面があり、そちらに左右されるようだが、筆者はマックスとクロエが過去に恋人関係だったことを選択した。その選択をした甲斐があって、2人はカップルのように振る舞うシーンが多くなり、筆者にとっては眼福だった。人間関係が抜本的に変化するのが特徴的な『ライフ イズ ストレンジ』において、プレイヤーの数だけマックスとクロエの関係性がある。公式の考える正史一辺倒ではなく、プレイヤーの選んだ関係性の続きを見せてくれたことを評価したい。

マックスのクロエの最終章としての本作はどうだったか?
クリアまで約12時間かかったが、シリーズファン待望のクロエが序盤から主人公のひとりとして登場してから加速度的におもしろくなっていった。マックスとクロエの再会はもちろん、距離感に戸惑ったとしても昔を思い出すように睦まじくなっていく2人の姿が秀逸。過去にあったことを乗り越えて前へ進んでいこうとする2人の意識はポジティブで、そのことはカレドン大学を襲う危機を解決する原動力ともなっている。別れを繰り返したからこそわかる2人だけの感覚のようなものも表現されており、それが『ライフ イズ ストレンジ』の歴史を感じさせる。


『ライフ イズ ストレンジ リユニオン』で『ライフ イズ ストレンジ』におけるマックスとクロエの物語は最終幕を迎えたが、これからは私たちの見ることのないところで2人の人生は続いていく。マックスの能力を考えると再び過酷な事態に遭遇することもあるかもしれない。それは小舟で川をわたるような心細いことかもしれないが、マックスとクロエの2人ならばきっと生き抜いていけるだろう。マックスとクロエの最強カップルの行く末が気になりながらも、2人の物語が一旦完結したことに筆者は満足感を覚えている。とくに、初代作の『ライフ イズ ストレンジ』のファンだった場合は、マックスとクロエのコンビを再び堪能可能な『ライフ イズ ストレンジ リユニオン』はおすすめの出来栄えとなっている。
『ライフ イズ ストレンジ リユニオン』は、PC(Steam)/PS5/Xbox Series X|Sで発売中。
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