パン屋経営ダンジョン探索アクションRPG『Aeruta(アルタ)』はどんどん面白くなり今こそ遊びどき。ゲームがかわいいしかわいいし、新要素もコラボもゲームに超マッチ
弊誌ではアップデートに先駆け、同アップデートの内容を含むバージョンを先行プレイする機会を得た。

グラビティゲームアライズ株式会社は2月12日、ハイブリッドアクションRPG『Aeruta(アルタ)』にて、アップデートVer.1.2.0を配信予定だ。今回のアップデートでは、DuskDogStudioが手がける2Dローグライトアクション『ポータルダンジョン』とのコラボコンテンツが追加されるほか、新システム「掲示板(Request Board)」、本編エンディング後の後日談を描く「ショートストーリー」が実装予定。そのほか、不具合の修正やゲームバランスの調整が行われる。全体としては、複数の新要素がまとめて導入される、ボリュームのあるアップデートとなっている。
弊誌ではアップデートに先駆け、同アップデートの内容を含むバージョンを先行プレイする機会を得た。結論として、本アップデートは冒険とパン屋経営のサイクルをより快適に整えると同時に、異なる作品の要素を『Aeruta(アルタ)』の世界観で包み込み、違和感なく溶け合わせた完成度の高いコラボレーションでもあった。
以下では、まず本作の基本的な遊びや魅力を中心に紹介したうえで、記事後半にてVer.1.2.0で追加された要素が既存の体験をどのように広げているのかを、先行プレイで感じた印象とあわせて触れていく。
大爆発で始まる“二足のわらじ”
『Aeruta(アルタ)』は、ダンジョン探索によるアクション要素と、パン屋を営むシミュレーション要素を組み合わせたハイブリッドアクションRPGだ。プレイヤーはキツネの少女チャヤを操作し、ダンジョンで素材を集め、街に戻ってパンを焼き、販売し、その収益をもとに装備や設備を整えながら物語を進めていく。

本作の主人公であるチャヤは、新人冒険者だ。この世界には、かつて「アルタクリスタル」を携えた勇者たちが災厄を退けたという伝説があり、チャヤもまた、それに憧れて冒険者の道を選んでいる。
物語の転機となるのは、冒険者ギルドの依頼でたどり着いた「コムギ広場」にあるパン屋での出来事だ。チャヤはひょんなことからオーブン、ひいては店そのものを破壊した疑いをかけられ、修理代を返すため、パン屋で住み込みで働くことになる。こうして彼女は、冒険者でありながらパン屋の店員でもある、少しちぐはぐな日常を送ることになるのだ。
愛すべき見習い冒険者
そうした世界観のなかで、やはり強烈に印象に残るのが主人公チャヤの存在だ。実を言うと、チャヤの立ち絵を初めて見た瞬間から、筆者はチャヤに一目惚れをしている。不気味がる前に、彼女の立ち絵を見てほしい。

真剣な顔をしているのにどこか愛嬌があり、指を口に添える仕草からは“かわいい”が溢れているではないか。また、肌の露出は決して少なくないものの、下品さを感じさせることはなく、どこか絵本の登場人物を思わせるような安心感すら漂う。本作が台北ゲームショウ2026で「ベストビジュアルアート賞(Best Visual Art)」大賞を受賞したのも納得しかない。審査員の方々には、はなまるをあげたい(関連記事)。
しかし、チャヤというキャラクターの魅力は、その愛らしいビジュアルだけにとどまらない。彼女は少しお人好しで勢いに任せて行動してしまうタイプで、冒頭から武器をなくしたり、広場の人々が崇拝する存在を、正当防衛とはいえ撃退したりとお茶目な一面も多い。しかし根はとにかく優しく、困っている相手を見過ごせない、勇者然としたキャラクターなのだ。
同時にチャヤを取り巻く仲間たちも個性派ぞろいだ。病弱な体(?)体でコムギ広場の建築を一手に担う建築士ボリオや、不器用ながらも実直な騎士シヴァ、ミステリアスでたわわなメルリーナ、パン作りに励む相棒イーフィなど、見た目も性格もにぎやかで可愛らしい面々がそろっている。
ただし本作の仲間たちは、物語を和ませるだけの存在ではない。彼らはときに、チャヤに理想と現実で折り合いがつかないこともあると示したり、「本当にここが自分の居場所なのか」と問い直したりする。盲目的にチャヤの考え方を肯定する者がいないのは、物語の主役として特別扱いするのではなく、一人の人間として見ているからだろう。そうした状況のなかでも常に前を向き、自分にできることを探し続けるチャヤの姿は、仲間たちだけでなく、物語を追う筆者の背中までそっと押してくれる。
慌ただしくも快適なパン屋パート
チャヤの生活の中心になるのが、コムギ広場でパン屋を切り盛りするシミュレーションパートだ。プレイヤーはチャヤを操作し、画面越しに香りが漂ってきそうな焼き立てパンを並べ、会計をこなし、ときには客が落としたゴミを拾いながら、店を回していく。

店に来るなり、おもむろにゴミをぽいぽい捨てる客には出禁の二文字が頭をよぎるが、こうした細かな仕事も含めて、操作は驚くほど快適にまとめられている。基本的に掃除も品出しも同じボタンで完結し、会計も連続処理が可能なため、テンポは崩れにくい。慌ただしさはあるが煩雑さはなく、作業ではなく店を回している感覚が前に出る設計だ。
パン屋で得た収益は、装備の強化だけでなく、広場の建築や店の改築にも使われていく。設備が整えば売り上げが伸び、その結果として戦闘面での選択肢も増える。本作は戦うためにパンを焼き、パンを焼くために戦うのだ。
歯応えと優しさが同居する戦闘パート
パン屋が多忙を極める一方で、チャヤのもうひとつの顔が“冒険者”である。日常と地続きのままダンジョンへ向かい、モンスターと向き合い、素材を持ち帰る。『Aeruta(アルタ)』の戦闘は、物語や生活から切り離されておらず、パン屋経営と循環する形で組み込まれている生活の一部なのだ。ここからは、その戦闘システムについて触れていこう。
本作の戦闘は、横スクロール型の2Dアクションとして展開される。操作自体は直感的で、通常攻撃やスキル、回避行動を使い分けながら進んでいくが、敵モンスターの攻撃は想像以上に激しく痛い。序盤の筆者のように、ボタンを連打しているだけでは通用せず、間合いを取り、相手の動きを見て対応する必要がある。可愛らしいビジュアルから想像するよりも、戦闘はずっと歯応えがあるのだ。

とはいえ、本作は理不尽さでプレイヤーを追い詰めるタイプのゲームではない。ダンジョンで倒された場合、その場で復活するか、撤退するかを選択できる。復活には、パンを売ることで蓄積される「パンエナジー」を消費するが、撤退を選んでも、それまでに集めた素材は失われない。難易度も「カジュアル」と「ノーマル」の2段階が用意されており、システム設定から切り替え可能だ。筆者はノーマルで挑んでいるが、正直かなりの頻度でモンスターにやられている。それでも「次こそ!」と思えるのは、チャヤの前向きさに引っ張られている部分もあるが、失敗が次の一手にちゃんと繋がる、このゲームのバランス感覚が絶妙だからだろう。
さらに本作では、パン作りと戦闘の成長が明確に結びついている。新たなパンの開発や既存レシピの強化によって得られるスキルポイントは、武器ごとに個別で割り振ることができ、プレイスタイルに応じた成長が可能だ。また、パン屋で蓄積されるパンエナジーは一時的なステータス強化に使用できるほか、開発したパンそのものを回復アイテムとして冒険に持ち込むこともできる。加えてパン屋で得たコインを使って基本ステータスを強化することもできるなど、育成のあらゆる要素がパン屋の営みと直結している。改めて言うが、本作は戦うためにパンを焼き、パンを焼くために戦うのだ。
冒険と暮らしをつなぐ「掲示板」
ここまで見てきたように、『Aeruta(アルタ)』は、冒険とパン屋経営がひとつのサイクルとして噛み合うことで成り立っているゲームだ。だからこそ、アップデートVer.1.2.0によって新要素が加わったとき、このサイクルがどのように変化するのか、あるいはどう広がるのかは気になるところだろう。
そうした視点で見ると、今回のVer.1.2.0は、本作の根幹にある体験を崩すことなく、既存の流れを拡張する“らしさ”のあるアップデートだと感じられた。
今回のアップデートでまず印象に残ったのが、住民たちの悩みや頼みごとが並ぶ新要素「掲示板(Request Board)」だった。些細なお願いから目を疑う依頼までが広場に張り出され、達成することでコインや各種素材といった報酬を入手できる。
内容はモンスター討伐といった戦闘寄りのものだけでなく、特定条件のパンを並べて販売するといったパン屋経営と直結したものも多く、基本はいつものプレイサイクルの延長で達成できる設計だ。そのためクエストをこなしている感覚はほとんどなく、遊びの流れに小さな目標が加わったような心地よさがある。

特に印象的だったのが報酬の存在感だ。本作は建築や強化で常にリソースが枯渇しがちだが、掲示板の依頼を進めていくことで資金や素材がしっかり補われ、プレイの詰まりが自然と解消されやすくなった。単なるサブクエストにとどまらず、ゲーム全体の循環を支える仕組みとして機能している感触だ。遊びやすさと達成感を同時に底上げしてくれるこの掲示板からは、プレイヤーに気持ちよく世界を楽しんでほしいという制作チームの意図が強く伝わってくる。
シンクロ率100%『ポータルダンジョン』コラボ
この心地よさは、『ポータルダンジョン』とのコラボコンテンツからも感じられる。『ポータルダンジョン』は横スクロール型のローグライトアクションだ。複数の個性豊かなキャラクターを操作しながら、ランダム性のあるステージを攻略していく構成となっており、アイテム収集とスキル強化を重ねることでビルドが大きく変化していく点が特徴となっている。最大4人での協力プレイにも対応しており、テンポの良い戦闘と成長要素が噛み合った設計が支持を集めてきた。
今回のコラボでは、ゲストキャラクターやコラボ限定ボス1体、新たなパティ1種が登場するほか、専用のオリジナルシナリオも用意されている。さらに連動要素として、パティ用の装飾品4種に加え、新たなパン1種と素材1種も追加されており、そのすべてが本作のドット表現と世界観へ驚くほど自然に馴染んでいるのだ。新たに追加された専用ダンジョンも既存の冒険ルートの延長線上として自然と組み込まれており、違和感がまるでない。実際、筆者自身も途中までコラボ要素だと気づかなかったほどで、この世界にもともと存在していたかのような馴染み方には完成度の高さを感じさせられた。

Ver.1.2.0では、そのほかにも操作性の改善やバランス調整が随所に施されているほか、エンディング後を彩る「ショートストーリー」も用意されている。これから物語に触れる人にとっては体験の広がりとして、すでにクリアしたプレイヤーにとっては再び『Aeruta(アルタ)』の世界へ戻る動機として、物語の余韻を味わわせてくれるだろう。
このように今回のアップデートVer.1.2.0は、新要素を足してボリュームを増やすというより、冒険とパン屋経営のサイクルをより気持ちよく回し続けられるよう整え、広げていく方向に調整された内容だった。そこから伝わってきたのは、アップデート単体にとどまらず、作品全体を通してプレイヤーにストレスなく『Aeruta(アルタ)』の世界を楽しんでもらいたいという、制作チームの焼きたてパンにも勝る“温かさ”である。遊びやすさへの配慮はもちろん、物語やキャラクターたちの魅力に自然と触れられる導線が随所に用意されており、「この世界を好きになってほしい」という思いが一貫して込められているように感じられた。
もし本作を未プレイの方がいたら、まずは公式PVだけでも目を通してほしい。きっと『Aeruta(アルタ)』の世界へ、足を踏み入れたくなるはずだから。
『Aeruta(アルタ)』は、PC(Steam)向けに配信中。
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