地底探索×工場自動化シム『Techtonica』初の大型アプデv0.2では“工場の作りやすさ”が大幅アップ。発破採掘・発破加工などダイナミックな玄人向け新設備も
デベロッパーのFire Hose Gamesは12月15日、『Techtonica(テクトニカ)』の大型アップデート「v0.2 Building Update」を配信開始した。
このたび弊誌では、Fire Hose Gamesより事前に同アップデートのテストビルドを先行体験する機会をいただいた。本稿では、アップデート後の本作をプレイした感触を交えつつ、実装されたさまざまな新要素について紹介していく。
まずは『Techtonica』の紹介から。本作は、異界の惑星Calyxの地底を舞台とする、一人称視点の工場自動化シミュレーションゲームだ。プレイヤーは、惑星調査隊員としてこの惑星に降り立った「グランドブレイカー」。プレイヤーが冷凍睡眠から目覚めるとCalyxの地底は原因不明の災害に見舞われ、かつて稼働していた工場が跡形もなく消え去っていた。プレイヤーは、残された生産ターミナルと信号発信機復旧のため、いちから工場を再建していく。
本作では、「工場自動化シミュレーション」「地底を探索してまわる冒険的要素」「停止してしまった惑星調査活動の真相を解き明かしていくミステリアスなストーリー」といった要素が盛り込まれている。工場自動化に必要なベルトコンベアやインサータ、採掘や加工をおこなう機器についても、災害後に放棄されてしまったスクラップを調査(スキャン)することで技術を取り戻していく。地底探索と自動化を進めつつ、災害の謎を究明していくのだ。暗い地底にはネオンのように輝く発光植物も無数に生い茂っている。復旧作業の合間に、植物をスキャンして惑星調査に励むといった楽しみ方も可能だ。
横長設計が特徴の新生産ターミナル登場
続いて、アップデートでの新要素について紹介していこう。「PT XRAY」は、今回のアップデートで加わった新生産ターミナルだ。既存の生産ターミナルLIMAとVICTORが高層建てであったのに対し、XRAY は接地面積が広く、横長な外観となっている。また、周辺一帯にはキョダイミドリナベが生い茂り、緑色の光で照らし出されている点も印象的だ。PT XRAYは「ベース・ビルディング」に関連した技術ツリーをアンロックする主要拠点とされている。
PT XRAYは、アイテム搬入口の代わりにモノレール貨物地点が備え付けられている点も特徴の一つだ。生産ノルマの自動搬入ラインを構築したい場合は、専用のモノレールシステムを構築しておこう。また、同ターミナルの生産タスクは、PT VICTORでの生産タスクと並行して進行可能とされている。これまでの生産タスクが未完了なプレイヤーでも、PT XRAYの所在地を発見し次第、すぐに最新コンテンツにアクセスできるだろう。
また、PT XRAYでの技術ツリー拡張に伴いUIが刷新。各生産ターミナルごとのタブ切り替えが可能となり、一部既存の研究技術は解禁されるターミナルも変更されている。これは、後述の新マシンと大量の新素材追加や、本アップデートとともに実施されたFTUE(初心者のプレイ体験)向上に向けた取り組みによるものとのこと。
筆者が実際のプレイで確認してみたところ、プランターや脱穀機といったマシンが従来よりも早い段階で製造可能となる印象を受けた。PT VICTORの生産ノルマ数も緩和されているようだ。PT XRAYの登場に合わせて、プレイヤーがよりテンポよくゲームを進められるように、といった意図の調整なのだろう。アイテム製造時の必要素材についても調整が加わっており、いくつかのアイテムは「植物物質のフレーム」から「植物物質の繊維」といったように要求素材のTier(加工段階)がひとつ下がっている。こちらも製造時の作業工程が緩和されたかたちだ。
爆発を動力源とする新マシン「発破採掘機」&「発破溶鉱炉」登場
PT XRAYの実装に合わせて、新たな採掘機/溶鉱炉として「発破(Blast)」系統が追加された。これらのマシンは、採掘バクダンを燃料として稼働する。一定時間おきに、爆炎を吹き上げるダイナミックなアニメーションと共に掘削/精錬がおこなわれるのだ。生成するアイテムも従来の採掘機/溶鉱炉とは異なり、鉱脈に設置した発破採掘機からは新素材の金属塊(チャンク)が入手可能。金属塊を発破溶鉱炉で精錬すれば、中間素材となる厚い金属板(スラブ)を鋳造することができる。
これ以外にも、発破溶鉱炉用の精錬素材、金属板や鋼を利用する新アイテムが約40種類追加されている。高Tierのアイテムについては製造時のレシピ(必要素材)が複数用意されているものもある。これまでのプレイで大量に製造品を貯蔵していたプレイヤーもしっかりと恩恵が受けられる仕様だ。
さらに発破系統のマシンは、本作においてこれまでにない、ユニークな燃料消費の仕様をもっている。マシンの内部で採掘バクダンを炸裂させるという性質上、アイテムを生み出す際には、投入されていた燃料(採掘バクダン)を一度に全て消費してしまうのだ。加えて、一回の炸裂時に生み出す最大アイテム数は、技術ツリーの取得状況に応じて規定されている。したがって、従来の採掘機/溶鉱炉のように常に上限まで燃料を供給し続けた場合、必要以上に採掘バクダンを消費してしまう。結果として、燃料ひとつあたりのコストパフォーマンスが悪化する、といった仕組みだ。適切な運用には、加工される材料とバクダンの割合の厳密な管理が必要になるわけだ。
こうした発破系統の開発コンセプトは、12月12日にFire Hose Games公式Youtubeチャンネルで公開された、開発者Vlogにて詳しく紹介されている。同動画内でのコメントによれば、(採掘バクダンが比較的安価に大量生産できるアイテムであることをふまえて)本仕様は生産ラインの最適化を目指すプレイヤー向けの“チャレンジ”的な要素であるとのこと。無駄を省いた効率的な生産ラインの設計は、本作のような工場自動化ゲームの醍醐味のひとつだ。腕に覚えのあるプレイヤーは、ベルトコンベアやインサータの速度/タイミングを計算して、理想的な生産ライン構築に挑戦してみるのもよいだろう。
新要素「ベース・ビルディング」多数の生産拠点跡地も出現
本アップデートの目玉として、大量の建造物ピースと照明/装飾アイテムが追加された。建造物ピースは、鉄骨や鉄筋コンクリート風の外観で、3×3や5×1などの規格で製造可能。柱や壁、床として使える四角形のピースをはじめとして、L字型の支え、コの字型のゲートなどさまざまな形状のピースが存在する。また、鉄でできたキャットウォーク、落下防止の手すり(鉄柵)といったピースを組み合わせれば、生産ライン上に点検用通路を設けることも可能だ。製造時に必要な材料は、石灰岩をベースとする「セメント」や「コンクリート」、大量の鉄のインゴットから作り出す「鋼のインゴット」など、本アップデートで追加された新素材が中心となっている。
建造物ピースは、いずれも導電性をそなえているため、配置済みの配電フロアをそっくりそのまま入れ替えても、既存の生産ラインの稼働はしっかり維持することができる。これにあわせて、既存の階段ピースの3Dモデルも刷新されており、他のピースと同様に導電性をそなえる仕様が加わった。これまでの本作において、高低差のある地点間で送電する際には、電圧調整器や高電圧ケーブルといったオブジェクトの設置/配線が必須であった。本アップデート以降は、階段や柱を繋げるだけで通電完了。コンパクトかつスムーズに配電可能となる嬉しい調整だ。
壁や天井へ配置可能な新形状の照明「ウォールライト」や「ファンランプ/ハンギングランプ」は装飾としても仕える一方、実用性も高い。従来の照明はすべて接地式であったため、新形状の照明は配置場所の自由度が広がり、より省スペースという点が魅力的だ。
また、Calyxの発光植物を植えられる鉢植えの「フロアポット」は、文字通り工場に“華”を添えてくれる装飾アイテムだ。こちらは、筆者の個人的なイチオシアイテムだ。筆者はPT VICTOR近辺に生産ラインを構築する過程で、泣く泣く伐採したシズクフヨウ(水色の美しい葉が特徴の巨大植物)があった。少々小振りとなってしまったが、今後は工場内いろんな場所にシズクフヨウを置いて回る予定だ。
建造物ピースのアンロックには、マップ上に追加された大規模な生産拠点跡を発見し、調査(スキャン)する必要がある。本稿では、多数追加された生産拠点跡のなかから一箇所のみ、その外観を写した一枚を紹介する。こちらは本アップデートで加わった新たなストーリー展開を進めていくことで辿り着けるだろう。
『Techtonica』には、工場自動化の要素に加えてCalyxの地底を開拓し、未知の領域を掘り当てる、といった地底探索の楽しみもあるため。内部の詳細や所在地などは、実際のプレイにて確かめてもらいたい。構造に使用されているピースは、すべて本アップデートのベース・ビルディングで追加されたものなので、自分の作り上げたい工場全体像のインスピレーションが得られるかも知れない。
以上、盛り沢山の新要素のほか、多数のバグ修正やベース・ビルディングに対応した建築のスマートスナップ再構築などの調整も加わっている。詳細なパッチノートは、本作のSteamストアページ上のニュースにて公開されている。気になった方はそちらを参照されたい。
『Techtonica』はPC(Steam)/Xbox One/Xbox Series X|S向けに早期アクセス配信中。PC/Xbox Game Pass向けにも提供中だ。本作は、Steamストアにて12月22日より開催されるWinter Sale 2023でのセール実施予定。期間中の1月5日3時まで、20%オフの2720円で購入可能だ。