『NBA 2K24』紹介。スポーツ観戦苦手なバスケ門外漢が、気づいたらNBAの世界にハマったその過程

『NBA 2K24』は、アメリカのプロバスケットボールリーグNBA/WNBA公認のバスケットボールゲーム「NBA 2K」の最新作だ。本作の魅力は実在のNBA/WNBAの選手たちを使ってリーグさながらの試合を遊べるというところにある。

パブリッシャーの2Kから出ているバスケットボールゲーム『NBA 2K24』は、アメリカのプロバスケットボールリーグNBA/WNBA公認のバスケットボールゲーム「NBA 2K」の最新作だ。本作の魅力は実在のNBA/WNBAの選手たちを使ってリーグさながらの試合を遊べるというところにある。

https://www.youtube.com/watch?v=OJS1BVniz5c

実際のNBAさながらの試合体験ができることが魅力の本作だが、スポーツ音痴な筆者はこのゲームをプレイする前、バスケットボール自体に苦手意識を持っており、NBA観戦、さらにはスポーツ観戦にまったくもって興味がない人間であった。しかし、今現在本作をプレイした筆者は動画サイトにてNBAゲームのハイライト動画などを必死に見ている。本稿では、そんなバスケ門外漢である筆者が、なぜ本作のプレイを経て、バスケへの扉を一気に開いたのか紹介していこう。

「マイキャリア」ではじまるレイカーズの一員としてのプロライフ

「NBA 2K」シリーズのメインモードのひとつと言ってもいいのが、「マイキャリア」だ。このモードは、自身で主人公を作りあげ、指定したNBAリーグに入団。チームメンバー、CEO、コーチなどとの交流を経て、一人前のバスケットボールプレイヤーになる。他のゲームでいうところのいわばストーリーモードといったところだろう。メニュー画面の1番上におかれているというのもあり、何から手を付けていいかわからなかった筆者は早速「マイキャリア」をプレイ開始した。

主人公の見た目を作り終えると、ポジションや体型、そしてキャラクターの能力値のポテンシャル割り振りへと移る。バスケ知識のない筆者は、感覚でポジションをポイントガードに選択。身長と体型はそこそこに、ポテンシャルは「とりあえず3ポイントシュート決めれば勝てる」の一点張りで3ポイントシュートと、スタミナなどに値を振り、ディフェンス能力はまったく値を振らない極端にオフェンシブな選手を作成。伸ばしたい能力などを考え自由なビルドが組めるのが本作のキャラメイクの魅力の1つだが、どの能力値をどうやって振るのかわからないという人はポジションに応じて目指したい選手や、方向性などに適した能力値などが振られる「NBAテンプレートビルド」や「コミュニティビルド」もあるため、そちらもおすすめだ。

 


値を割り振ったら、チーム選択へと移り、いよいよリーグが始まる。筆者は本作のカバー選手にもなっているコービー・ブライアントが所属していたチーム、ロサンゼルス・レイカーズを選択。現在のレイカーズは、4度のNBA最優秀選手賞やNBA全体での通算得点1位など数々の記録を持つ「キング・ジェームズ」こと、レブロン・ジェームズや、歴代3人目の日本人NBA選手、八村塁など、バスケ門外漢の筆者でも名前を聞いたことがある選手も所属しているチーム。長い歴史を持ち、現在もリーグ上位に君臨するチームへの入団は、楽しみでもあり大きなプレッシャーだ。

38歳とNBA選手の中では大ベテランだが、未だに記録を更新し続けるレブロン

八村は日本人史上初のドラフト1巡目指名を受けた選手だ


マイキャリアの主人公は、祖父・父ともNBA選手の三世代選手で、レブロン以来もっとも期待されている選手として、レイカーズからドラフト指名を受ける。本作のマイキャリアでは、大型ルーキーとしての1年間を過ごし、NBA史上最強の選手「GOAT(Greatest Of All Time)」を目指すサクセスストーリーを体験できるものとなっている。晴れてレイカーズの一員になった主人公の初戦はデンバー・ナゲッツとの試合であった。

デンバー・ナゲッツは実際のNBAで昨年優勝したチーム。主要メンバーのニコラ・ヨキッチは連続2シーズンでのMVP受賞をしており、レジェンド級選手に肩を並べる存在。初戦の相手としてはかなりの強豪チームと当たってしまったのだが、当時の筆者はそんなことはつゆ知らず、「とにかく点を決めて勝とう!」の一点張り。ボールをもらえばすぐにドリブルして、無理やりシュート。そんな強引なプレイで点は決まらず、ボールはリング下へとリバウンドし、ナゲッツの得点源へとなってしまった。


本作では試合でのプレイヤーの動きを評価するシステムとして、「チームメンバーからの評価」が試合中常に表示される。DからD+、C-へと段階があり、シュートを決めれば大きく評価アップ、美しいパスやシュートのアシスト、ディフェンスの上手さなども評価される。一方、適してないシュートスタイルでシュートを外したり、効果的でないディフェンスや、ターンオーバー(オフェンス中のパスミスや相手にボールを取られること)は評価を下げてしまう。中でもファウルは特に評価を下げてしまう行為であり、攻めた動きを続けた筆者はその強引なプレイにより、ファウルを連発。結果、その試合ではD-という最低の評価に落ちてしまった。

試合全体を意識したら、一気にわかるNBAの面白さ

大型ルーキーである主人公の初戦は、バスケのルールもよく分からない筆者の自分本位で強引なプレイのせいで、チームメイトに大きく迷惑をかけてしまった。しかし、まだ初戦。「チームメンバーからの評価」というシステムがあるおかげで、試合中の立ち回りの良し悪しがわかった筆者は「チームメイトの評価をAにする」を目標にすこしずつ試合中の立ち回りの変化を意識した。まず、自分から強引なシュートや、ボールを奪うような行為はしないこと。メンバーへのパス回しや、パスの回しやすいポジションの意識、ディフェンスの立ち回りの改善を中心に、試合を進めていった。

自分が強引に試合を引っ張っていくのではなく、試合全体の流れを見て、広い視点でゲームを進めていくと、本作に対して見えてくる世界が変わっていく。攻守どちらとも圧倒的な上手さを見せつけるレブロンの実力や、八村のオフェンス時の決定力のあるシュートなど、チームメンバーひとりひとりの事がよく理解できるようになっていったのだ。

また、レブロンや八村など、プレイ前から知っていた選手だけでなく、試合を重ねるうちに知っていった選手もいる。たとえば、白いヘッドバンドと眉毛が特徴的なアンソニー・デイビスは、巨大な図体でありながらスピードもある存在感抜群の選手。シュートをミスしてリバウンドしたときや、ゴール前のせめぎあいで一人飛び出して点を取りにいく姿に、何度助けられたことかわからない。そしてもう一人、プレイしていて筆者の目を引いた選手がオースティン・リーブスだ。彼のスキルの巧さと点を取りに行くタフな姿勢は素人目でみてもわかり、とにかく困ったらリーブスにパスをし、連携を取り合っていった。

コービーにも認められた経歴を持つデイビス

左からリーブス、主人公、レブロン


このように、試合を通していく中で、筆者はこの2人の選手に強い興味を抱き、選手の情報や、実際のNBAゲームのハイライト動画などを見るようになっていった。そうすると、驚くことに実際の試合での選手の動きが、ゲーム内にかなり精密に再現されているのだ。本作のPS5/Xbox Series X|S版では、新技術として「ProPLAY™」なるものが導入されている。これは、選手にモーションキャプチャーを使ってもらい、動きを再現していた旧来の技術に取って代わったもので、実際のNBA上での試合をキャプチャし、ゲームに取り込む技術。デイビスの存在感のあるプレイングや、リーブスのスキルの巧さなどは、この「ProPLAY™」によって、ゲーム内にしっかりと反映されていたのだ。

この技術によって、現実の試合とゲームとの境界線はさらに薄くなり、筆者のようなNBA門外漢でも、現実のNBAゲームや選手に興味を持つようになっていった。本作で登場する選手は実際のNBAで大活躍する選手たち。全員にしっかりとしたバックボーンがある「誰もモブキャラがいない世界」での体験は、筆者にNBAに対する知的探究心を植え付けていったのである。そして、現実のNBAの情報で得た知識がゲームに使えるようになるのも、本作の面白い点だ。選手への理解が広まるほど、この状況でこの選手にパスを下せば決めてくれる、この選手を抑えていればこの試合は勝ちやすくなるなど、いつの間にかどんどんとNBA知識を蓄えていたのだ。

こういった現実と密接にリンクさせた攻略法により、「チームメンバーからの評価」は、最低であったD-からCへ、CからBへと少しずつ上がっていき、試合のパフォーマンス次第では、Aに届きそうになる瞬間も増えていった。また、本作ではワークアウトやチームとの練習、スタジアム外ではストリートバスケなどを楽しむことができ、そういったNBAゲーム外の部分で次第に経験値や技術を積み、試合にも応用していったのだ。

チームの練習ルームでは、メンバーたちとの交流もできる


現実さながらの興奮を覚える試合ですっかりNBAの虜に

いよいよ経験や技術も活かせるようになり、「次の試合でA評価を貰うぞ!」と意気込んでいた矢先、次の試合の対戦相手がダラス・マーベリックスに決まる。チームの主力となるのは、主人公と同じポイントガードの選手、ルカ・ドンチッチだ。このドンチッチ、実は今年8月に行われたバスケットボール男子日本代表国際強化試合にて、スロベニア代表として日本代表に立ちふさがった選手。「ルカ・マジック」と呼ばれる魔法のようなパス捌きと、特徴的なステップバックシュートなど、高い技術力とフィジカルで日本代表を翻弄した選手だ。

ルカ・ドンチッチ


明らかに格上であるドンチッチとのマッチアップの直前、なんと筆者が信頼をおいているオースティン・リーブスが怪我により試合を欠場。大きな不安を残したまま、試合は始まってしまった。試合序盤から、ドンチッチは現実の試合同様、圧倒的な技術力を見せ筆者を翻弄していった。負けじと筆者も、チームメンバーからパスを貰い、点を取りに行く。初戦では強引な貰い方をしていたが、適したポジショニングなどを理解した今は、ゴール下で仲間からのパスを受け取り、点数と評価を貰っていった。

点数はほぼ拮抗状態のまま第4クォーター、試合時間は残り10分へ。このとき筆者は、試合の前半であまりにアクティブに動きすぎた結果、スタミナ切れを起こしベンチへと外される。苦虫を噛み潰したような顔で試合を眺めていたが、残り3分になり選手交代へ。これが最後のチャンスだと、精一杯動くものの、試合終了1分前、筆者のディフェンスミスにより、ドンチッチに3ポイントを決められてしまい、点差が開いてしまった。試合は残り15秒、このままでは負けてしまうという空気の中、オフェンスへと移ったタイミングで、全力のスプリントでゴール下まで移動。仲間からのパスを受け取って、レイアップシュートを決め同点へと持ち込んだ。試合終了まで残り3秒の時に起こった逆転劇に筆者は思わず腕を上げて喜んだ。


そのまま試合は3分間の延長戦へ。パスでの連携を意識し、シュートを着実に決め、マーベリックス戦は無事勝利を納めることができた。そして、この試合で、自分の中での目標であったA評価を獲得。強い達成感と深い安堵に包まれた試合経験となった。このときには、バスケに苦手意識があり、スポーツ観戦も好きではなかった筆者は、さまざまなNBA関連の動画を見ながら、どのような立ち回りがゲームに活かせるかを考えるようになっていた。現実と密接にリンクした本作が、スポーツに対して興味がなかった自分を初めてNBAの世界へと誘ってくれたのだ。


「マンバモーメント™」モードでレイカーズ黄金期を体で味わう

バスケのことも少しずつ理解し、好きな選手も増えた筆者は現在のレイカーズだけでなく、過去のレイカーズの試合も気になった。NBA発足前から存在し、リーグ自体が下火だった時代から、リーグ全体の盛り上がりを支えたレイカーズ。長い歴史を持つレイカーズの歴代選手の中で、最も評価されている選手のひとりと言ってもいいのが「ブラックマンバ」と言われたレジェンド、コービー・ブライアントだ。本作に搭載されているモード「マンバモーメント™」モードは、7つあるコービーの伝説の試合を再現したモードとなっており、「ブラックマンバ」の伝説を自らの手で体験できるモードとなっている。

「マイキャリア」で筆者の作ったキャラクターとは違い、コービーは全体的な能力値がとにかく高く、その圧倒的な能力を敵チームと観客に見せつけていく。特にシュートの正確さは桁違いで、レイアップ、3ポイント関係なく投げたボールは自然とゴール下に吸い寄せられていく。FPSにて、遠距離グレネードキルを決めた際に言われるチャット内スラング「Kobe(コービー)」は、このコービー・ブライアントのシュートの正確さから来ているそうで、まさしくその意味を体で理解できるような瞬間であった。

そして、コービーのチームメイトであり、レイカーズ黄金期を引っ張った「シャック」ことシャキール・オニールと一緒に試合をこなせるのも本モードの魅力のひとつ。シャックはNBA史上最も体重の重い選手として有名で、ゲーム内で動く姿は迫力満点。思わず対峙した敵チームの気持ちを考えてしまうほどの巨漢であるシャックだが、コービーとの連携力は抜群だ。本モードでは、コービーと同等レベルの能力を持つシャックをどのように動かしていくかも攻略のカギとなっている。

ひとつの時代を作ったコービーとシャックをゲームの中でももう一度見ることができる


試合毎に定められた3つの目標は、実際の試合を元に設定された目標だが、「48得点を決める」や、「3ポイントシュートを12回決める」など、どれも難易度が高く、本当にこれを実際の試合でやったコービーの実力に驚かされた。目標以上の得点を取ったり、さらなる攻めの試合を試してみたりも可能なので、伝説の再現に努力するか、コービーを超える伝説を作り上げるかはプレイヤーの腕にかかっている。

実際のNBAと強くリンクした本作でバスケへの理解を深めよう

「マイキャリア」で現在のレイカーズを知り、「マンバモーメント™」モードでレイカーズの黄金期の伝説を知った筆者は、さらにチームのこと、NBAのことを知りたくなっていた。本作には、この2つのモード以外にも、選手のカードを集めドリームチームを作成・育成・試合ができる「マイチーム」や、40年間のNBAの歴史を経営側で遊ぶことができる「マイNBA」、WNBA(女子プロバスケットボールリーグ)の世界を体験できる「THE W」など複数のモードが存在。筆者の知的探究心をさらに刺激してくれそうだ。

本稿では、カバー選手となったコービーに合わせ、レイカーズにフォーカスした内容となったが、NBAには30ものチームがあり、そこに所属する選手それぞれにはバックボーンが存在する。筆者のようなバスケ門外漢が、推し選手や、推しチームを作り、実際のスポーツ観戦を楽しむことができるようになったのは、現実のNBA上にある膨大なデータを取り込み、ゲームに落とし込んだ本作ならではの楽しみ方だろう。

日本でも映画『THE FIRST SLAM DUNK』の大ヒットや、バスケットボール男子日本代表がワールドカップでの激闘にて、見事パリ五輪への切符を獲得するなど、今多くの人たちがバスケに対して注目を集めている。こういったきっかけから、さらにバスケを理解するのに本作は最適なチョイスだと言えるだろう。毎シーズン更新される膨大な選手データに加え、本作から導入された最新技術「ProPLAY™」でさらに実際のNBAと強くリンクした本作をぜひ遊んでほしい。


NBA 2K24』は、PlayStation 4/PlayStation 5/Xbox Series One/Xbox X|S/Nintendo Switch/PC(Steam)にて発売中だ。


本ゲーム内に含まれるすべての標章および商標は、各所有者に帰属します。BLACK MAMBA®、 MAMBA™、KOBE BRYANT™、MAMBA MOMENTS™、MAMBA MENTALITY®、コービー・ブライアント直筆サイン、および、Kobe SheathのロゴはKobe Bryant, LLCの商標であり、許可を得て使用しています。

Tamio Kimura
Tamio Kimura

エンタメ大好き系ゲーマー。COOPゲームが大好き、クライム系だったらなおよし。

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