MMORPG+重厚ファンタジー=超自由ネトゲ。重度MMOゲーマーが見た『エルダー・スクロールズ・オンライン』ならではの景色
DMM Gamesが国内向けに運営しているMMORPG『The Elder Scrolls Online(エルダー・スクロールズ・オンライン)』(以下、『ESO』)。海外版は2014年4月から、日本国内版は2016年6月からサービスが継続されているMMORPGである。『The Elder Scrolls』(以下、『TES』)の名を冠しているとおり、『ESO』は『TES』シリーズを題材としたMMORPGだ。開発は『TES』シリーズでおなじみのベセスダ・ソフトワークスの親会社内の開発チーム・ZeniMax Online Studios。関連会社であることに加え、ゲーム内で見られる本や手紙といったテキストの膨大さからも、シリーズに造詣の深いスタッフが制作していることがうかがえる。『TES』らしい自由度の高さや膨大なクエスト数、フレーバーテキストの豊富さなどが特徴のMMORPGなのである。
筆者はオンラインゲームが好きだ。某大型人気ネットゲームを7年以上プレイしている。なので、舌が肥えている自覚がある。またチャットなどで他人と長時間コミュニケーションを取り合うというよりは、プレイヤー同士が特段の干渉はしあわないものの、周囲に人がいる安心感を好むタイプである。そんな筆者でも『ESO』は楽しめるのか?というのが本題だ。
結論からいうと、『ESO』はそんな筆者のような人間にぴったりの、ソロにも優しいが人の気配も感じられるような穏やかなMMORPGだった。シングルプレイRPGである『TES』シリーズの雰囲気そのままに、MMORPGとしての仕組みが作られているのだ。
『ESO』では本日12月23日より、最新チャプター「ハイ・アイル」などが大幅値引きされるセールを実施中。そんな折に寄せて今回は、前後編にわたってMMORPG好きも『TES』好きも心掴まれるであろう『ESO』の魅力をお伝えしていく。前編となる本稿ではメインシナリオを軸に、本作の世界の歩き方や、『TES』シリーズらしいフルコースの如きストーリーを紹介していく。
『TES』シリーズと地続きの濃密ファンタジー世界観
『ESO』の世界観は『TES』シリーズに準拠している。『TES』シリーズに触れたことがない方のために説明させていただくと、本作の世界観はざっくり言うと「正統派ファンタジー」の「剣と魔法の世界」だ。まず、本作の世界には比較的善良な神「エイドラ」と、比較的邪悪な神「デイドラ」が存在する。人々はこれらの神々を信仰しているが、その対象は種族によってエイドラであったりデイドラであったりとさまざまである。
『TES』シリーズでは、人々はムンダスと呼ばれる世界の中に暮らしている。ゲームの主な舞台となるのはムンダス内の惑星ニルン。そのなかでもタムリエルと呼ばれる大陸だ。『ESO』では大陸中央に位置する都市・シロディールを中心に、「アルドメリ・ドミニオン」「ダガーフォール・カバナント」「エボンハート・パクト」の3つの勢力が争っている。年代は「第二紀580年代」。『TES』シリーズの1人用タイトルでは最新作である『The Elder Scrolls V: Skyrim(以下、スカイリム)』の、およそ1000年ほど前の時代である。そして、そこに生きる人々も多彩である。
タムリエル大陸にはさまざまな種族が存在しており、『ESO』におけるキャラクターメイクでも多様な種族を選択することが出来る。エルフやヒューマン、オーク、カジートと呼ばれる獣人や、アルゴニアンと呼ばれるリザードマンなど、個性豊かな種族で世界を旅することができるのだ。キャラメイク可能なMMORPGとして考えると、いわゆる“異形キャラクリ”にも間口を広く取った印象である。
『ESO』では、最初にキャラメイクした種族ごとに異なる勢力に所属することになる。ハイエルフ/ウッドエルフ/カジートはアルドメリ・ドミニオン、ブレトン/レッドガード/オークはダガーフォール・カバナント、ノルド/ダークエルフ/アルゴニアンはエボンハート・パクト、といった具合だ。例外として、シロディールの住人であるインペリアルを選択した場合は、3勢力のいずれかを選んで所属することになる。インペリアルはゲーム内で「インペリアルエディション」へアップグレードすることで使用可能となる。最初はとにかく、ヒューマンでもオークでも獣人でも、なりたい自分になればよいだろう。
序盤から自由すぎる
本作では戦闘などの基本的なチュートリアルが終わると、勢力ごとに定められたいずれかの地域に行くことができる。選べる地域は4つほど。タムリエル大陸で生きる術を叩き込まれたのち、「さあおまえはどこに行くのだ」といきなり問いかけられるようなかたちである。序盤から多岐にわたる選択肢を提示されるのは、自由度の高い『TES』シリーズ的と言えるだろう。
最初に向かう地域は、どこを選んでも構わない。シリーズプレイ経験者ならば思い入れのある土地から始めても良いし、どこから始めるかによってその土地に住む人々への思い入れは変わってくるだろう。好きなようにゲームを進めて構わないと筆者は思う。
とはいえ、右も左も分からない状況でそんなことをいわれても、どこから行けばいいかわからないという方も少なくないだろう。その場合は、「ブリークロック島」「ケナーシズルースト」「ストロス・エムカイ」のいずれかから開始するのはいかがだろうか。
というのも、長く運営を続けてきた『ESO』では、2016年のアップデート「One Tamriel」まではキャラの種族が所属する同盟によりけりでメインクエストの順番が決まっていた。今では自由に開始地点を選択することができるが、ご紹介した3つのエリアは当初の『ESO』のスタートマップだった場所である。つまりここから開始すれば、かつての実装順どおりに物語を進めやすいというわけだ。実装順に逆らうような順序で遊んだためにNPCの態度に違和感がある……といった事象も起こりにくいため、すんなりと『ESO』の世界に入りやすいだろう。
メインクエストは『TES』入門によし
メインクエストでプレイヤーは、「預言者」なる男に突如呼び出される。預言者は数名の仲間とともに、モラグ・バルと呼ばれるデイドラの目論見を阻止するために動いていた。モラグ・バルの目論見は、自身の領域であるコールドハーバーへとニルンを引き込もうとするものだ。プレイヤーは“面影”と呼ばれ、モラグ・バルに立ち向かうために預言者たちに力を貸すこととなる。
実をいえば、このモラグ・バルはシリーズの物語に深く関わるデイドラだ。『スカイリム』にも関連するクエストがあったほか、それ以前のシリーズ作品でもおなじみの存在。『ESO』にはこのようにシリーズ作品に深く繋がりあるキャラクターや設定も数多く存在する。時系列としては過去となるため、のちの時代に登場する土地や組織、時にはキャラクターのかつての姿が描かれるといったこともあるのだ。そうした設定やさまざまなロケーションを横断的に楽しむことができるのも、『ESO』の魅力のひとつである。ここからほかの『TES』シリーズに触れるのもアリだろう。
メインクエストでは、定期的に「避難所」なる預言者の拠点に呼び出されてクエストが進む。レベルが上がることにNPCが声をかけてくれるのだ。戦士ギルドや魔術師ギルドといった職業系ギルドのクエストや後述するゾーンクエストなど、クエストの数は膨大だ。この「次から次へと取り組めるクエストが尽きない」というオープンワールドゲームのような感覚も、非常に『TES』シリーズらしいといえるだろう。
ご当地ストーリーが楽しめるゾーンクエスト
『ESO』にはメインクエストのほかに、地域ごとの問題を解決する「ゾーンクエスト」も存在する。地域に蔓延る問題を解決してほしいという依頼を受けたり、突然事件に巻き込まれてしまったり、といった具合でクエストが始まるのだ。
この世界では前述のとおり3つの勢力が争っており、クエスト内で別勢力が攻めてくることもある。筆者はエボンハート・パクトでゲームを開始して ブリークロック島から物語を始めたのだが、この島のゾーンクエストは敵対勢力であるダガーフォール・カバナントが攻めてくるというものだった。それなりに凄惨なシーンも多く、この辛い経験がPvPのモチベーションになるプレイヤーもいるのではないかと考えさせられたのであった。
また、筆者がミニゲームを遊ぶために気軽な気持ちで遠出をしたところ、道中のゾーンで疫病に苦しむ人々から助けを求められたこともあった。ミニゲーム遊びたさに無視をしてしまったのだが、放置しようとした際の彼らの絶望する様子はなかなか胸に来るものがあった。結局ミニゲームの誘惑には勝てなかったのだが、ひとしきり遊び終わったあとに事件解決のために舞い戻るのであった。
こうしたゾーンクエストは、世界を旅している没入感の演出に一役買っている。ぶらぶらと世界を旅して地域の問題を解決するお人好しロールプレイをしてもよし、ミニゲームのために人々を無視する非道なロールプレイをしてもよし。こうした自由さも、『ESO』の魅力である。
オンライン要素のバランスはいかに
さて、ここまで『ESO』の『TES』シリーズらしい魅力について紹介してきたが、なかには「オンライン要素の割合」が気になっている方もいるのではないかと思う。『TES』シリーズは1人プレイ用タイトルとしてリリースを続けてきた。MMORPGとなる『ESO』のオンライン要素のバランスは、シリーズファンも『TES』シリーズ未経験者も気になる点だろう。
まず結論としては、世界観や物語を楽しむだけならソロでまったく問題はない。フィールドで発生するクエストやメインのストーリーラインを追うだけなら、ほかプレイヤーと関わる必要はまったくないからだ。シナリオではNPCが共闘してくれることも多く、大事なイベントではプレイヤー個人ごと専用のインスタンスエリアに移動されるため、没入感としてもオフラインタイトルとそう変わらない感覚で楽しむことができるだろう。一方で、フィールドやダンジョンではほかのプレイヤーたちもまた冒険を繰り広げている。ゆるく共闘のような状態になることもしばしばだ。ただ、MMOでしばしばある「敵の取り合い」になるようなケースはあまりないため、よい距離感でマルチプレイの雰囲気が楽しめる。
チームを組んで攻略することが推奨されるダンジョンなども存在するが、これも一部を除けばある程度はソロで攻略が可能だ。たとえばパブリックダンジョンと呼ばれるフィールド上のダンジョンでは、初めにグループ攻略を推奨することを伝えるダイアログが出るものの、装備も整えずなんとなくソロで乗り込んだ筆者でも難なく攻略することができた。ダンジョンによってはソロプレイが難しいギミックもあるものの、基本的には装備を整えればソロでも乗り切れるものが多いようだ。もちろん、グループで攻略するもプレイヤーの自由である。
例外として、「試練」と呼ばれる12人向けのコンテンツはパーティープレイ推奨のエンドコンテンツのためソロで挑むことは難しい。しかし、パーティープレイが必要なのはこれらほんの一握りのコンテンツのみである。物語や世界観を楽しみたいだけであれば、おおよそのコンテンツはソロで遊び尽くすことができるだろう。その上で、気になればマルチプレイを楽しむのもプレイヤーの自由だ。
以上、『TES』シリーズ唯一のオンラインタイトル『ESO』について、メインクエストを軸にその魅力を紹介させていただいた。本作はシングルプレイRPGにルーツをもつ影響か、ソロプレイヤー同士がフィールド上で緩く繋がり合うような雰囲気が特徴的だ。エンドコンテンツになればプレイヤー同士の協力が不可欠になっていくものの、他人との関わり方を自分で決められるためどんなスタンスのプレイヤーでも遊びやすい作品と言えるだろう。後編である次回は、メインクエスト以外の「寄り道」について取り上げる予定だ。
そして、本日12月23日からは本作のセールが実施中だ。ベースゲームは70%オフ、最新チャプター「ハイ・アイル」が67%オフ、そしてゲーム内通貨のクラウンパックも20%~40%とお求めやすくなっている。『ESO』の世界に飛び込むのにうってつけの機会だろう。
『The Elder Scrolls Online』日本国内版は、PC(DMM GAMES)向けに配信中だ。