漢のガンアクション『ガングレイヴゴア』を知っているか。飲酒プレイ推奨、細かい理屈は必要ないタフ男の戦い

PLAIONPLAIONより『Gungrave G.O.R.E(ガングレイヴゴア)』が発売される。韓国のスタジオIGGYMOBが手がける、スタイリッシュな三人称視点アクションシューティングゲーム。メインストーリーのクリアまで遊んできたので、その魅力を紹介していこう。

PLAIONのパブリッシング部門Prime Matterより、『Gungrave G.O.R.E(ガングレイヴゴア)』が11月22日(Steam版は23日)に発売予定だ。対応プラットフォームはPlayStation 4/PlayStation 5/Xbox One/Xbox Series X|S/PC(Steam)。ダウンロード版の価格は税込7040円。予約特典としてスキン「デス浪人グレイヴ」および「ガングレイヴ O.D」が付属する。

同作は、韓国のスタジオIGGYMOBが手がける、スタイリッシュな三人称視点アクションシューティングゲーム。主人公グレイヴは、2丁拳銃と近接用の棺を使って、アクションを展開。12時間以上のストーリーモードや、ゲージを消費して発動するデモリッションショットという 必殺技システムが用意されているという。しかしながら、体験版が一般公開されていない点も含めて、実際のゲームプレイについては不明点が多い印象だ。今回弊誌では本作の 製品版を頂き、PS5版の難易度ノーマルでメインストーリーのクリアまで遊んできたので、その魅力を紹介していこう。

『Gungrave G.O.R.E』は、タフな男となって2丁拳銃であらゆる敵を破壊する、爽快なガンアクションゲームである。本作の舞台は、精神と肉体を異常なほど強く変化させる麻薬「シード」が存在する世界。主人公はグレイヴと呼ばれる、記憶と引き換えに強靭な肉体を得た死神のような男だ。これまでグレイヴはわずかに残った記憶を拠り所に、自身を裏切った相手やかつての弟分、麻薬シードに関わる敵と壮絶な戦いを演じてきた。本作においてグレイヴとその仲間たちは、シードの製造工場をもつ国際犯罪組織レイブンクランを相手に戦闘を展開。東南アジアを舞台に、レイヴンクランの幹部やかつての敵、シードに侵されたオーグマン との激しい戦いが繰り広げられていく。

なおグレイヴのこれまでの戦いについては、2002年発売のPS2用ソフト『ガングレイヴ』やTVアニメ版、『GUNGRAVE VR』などで描かれている。本作には、グレイヴ本人も含めて過去作のキャラクターも一部登場し、グレイヴ以外のキャラクターを操作するシーンもあるため、過去作を知っておいたほうが熱くなれるのは間違いない。しかし、本作のメインはストーリーではなくアクション。ゲーム中には、これまでの戦いを8分ほどの画像とテキストで振り返るヒストリーモードも用意されているので、本作からでも問題なくプレイできる。実際のところ、筆者も過去作は知らずとも最後まで爽快に遊べたので、ダサさとカッコよさの同居した、タフな男の戦いだと知っていれば十分だろう。


アクションゲームの主人公としてのグレイヴは、真にタフな男であり、敵にとっては死神そのものである。まずグレイヴには、敵の銃弾の10発や20発はものともしない、強靭なシールドが用意されている。さらにシールドは、一定時間攻撃を受けずにいると自動的に回復。たとえシールドが切れても、多少の銃弾やミサイル程度なら受けられるHPももっている。本作のステージ内では、グレイヴに多数の敵が銃口を向け、常に銃弾の雨が降り注ぐ。しかしグレイヴは真にタフな男であるため、重戦車のように攻撃を受け止め、戦場を進んでいける。すなわち本作を遊べば老若男女問わず、タフな男になれるのだ。

本作では近年 の3Dアクションとしては珍しい、リニアなステージ制を採用。グレイヴは、主に両手に携えた2丁拳銃ケルベロスを使って、立ちはだかる敵を滅ぼしていく。銃で敵を撃つというと、FPSに近いゲームプレイを想像するかもしれない。しかしグレイヴは、一定距離までなら狙わずとも弾丸を当てられ、無数の弾丸をもっている。そのため、本作では煩わしいエイムやリロードは不要。基本的にトリガーを引き続けるだけで、眼前に立つあらゆる敵に弾丸を浴びせられるわけだ。


また銃弾の雨の中を歩み、弾丸を撃ち続けるグレイヴであるが、重戦車のような男にも弱点はある。敏捷性だ。移動においては、遠くの敵に棺からデス・フックを射出し、一気に距離を詰めることもできる。しかし、攻撃を避けなければならない局面においては鈍重さが目立つ。グレイヴはいわゆるローリング回避が用意されているものの、無敵時間は短く、全体のモーションも長め。無数の銃弾の飛び交う戦場において、頼りになるとは言い難い。ガードやダッシュが存在しないこともあり、グレイヴの回避性能は低いと言い切れる。要するに本作のゲームプレイは、素早い動きで敵の攻撃を避ける、スタイリッシュなアクションゲームではないわけだ。2丁拳銃ケルベロスから無数の弾丸を放ち、敵を破壊し、殲滅し、蹂躙する。雨あられと降り注ぐ弾丸を受け止めながら、敵を上回る火力で正面から押し切る。スピードとテクニックではなく、パワーとタフネスで乗り切る、往年のハリウッドアクションじみた男の戦い。筆者がプレイした限りでは、それこそが本作の醍醐味のように感じられた。

プレイアビリティについては、現代的な作りになっている。ステージ中にはいくつもチェックポイントが設けられており、たとえグレイヴが道半ばで倒れてしまっても、直前から再開可能。筆者が先行プレイに使用したPlayStation 5版においては、ロード時間がほとんどないこともあいまって、かなりスムーズに遊べ た。狙わずとも弾が敵へ向かっていくターゲット機能なども合わせて、プレイしやすさはかなり意識されている印象だ。プレイアビリティに関して不満を覚えたのは、ムービーが流れる箇所からリトライになった際に、ムービーが自動的にスキップされず再び流れることぐらいだろうか。快適さに関わる部分としては、PlayStation 5版においては、画質重視の30FPSモードと動作重視の60FPSモードが選択可能となっていた。

また本作には、初期から選べる難易度としてはEASY/NORMAL/HARDの3段階が用意されている。筆者はNORMALでプレイしたところ 、クリアまでにかかった時間は17時間ほど。クリア後に解禁される難易度や、各ステージでの高ランク狙いなども含めて、十分にやりこみ要素も用意されていた。

ここまでゲーム内容を紹介してきたが、紹介の最後に一つ。本作のゲームプレイにおいては飲酒プレイをおすすめしたい。繰り返しになるが、本作では二丁拳銃から無数の銃弾を放ち、トリガーハッピーになってすべてを蹂躙する快楽が待ち受けている。破壊と派手なアクションが醍醐味の男のゲームを前に、複雑な理屈や繊細な感性は不要。気持ちよくプレイするためには、銃弾の発射をためらう理性は必要ないわけだ。もちろんお酒以外にも、コーラやコーヒー、エナジードリンクなど、気分が上がるものならなんでもかまわないだろう。細かなことは気にせず、タフな死神重戦車グレイヴとなって戦場で暴れまわる、男のアクションを楽しんでほしい。


トリガーを引き続けろ

なお、ここからは攻略の流れを説明したい。前述のとおり、主人公グレイヴは真にタフな男であり、少々の攻撃などものともしない。しかし本作は、単に銃弾を撃ち続ければ勝てるほど甘いゲームではない。ストーリーにあわせて30ほどのステージを進むうち、攻撃は次第に激しさを増し、敵もタフになっていく。大量の敵に囲まれ無数の銃弾を浴び続ければ、いかにグレイヴが強靭でもいずれ倒れてしまう。気持ちよく敵を粉砕するためにも、行動はロジカルに構築しておいたほうがいいだろう。

本作におけるグレイヴの基本的な攻撃手段としては、二丁拳銃ケルベロスによる射撃、棺桶デスハウラーを振り回す近接攻撃(フェーネルストライク)、フックを撃ち出し敵を捕まえるデス・フック、射撃ボタン長押しで発動するデススピアなどが存在する。そのうちケルベロスの射撃以外は、グレイヴが足を止めるか、チャージが必要。足を止めれば、当然大量の弾丸がグレイヴに直撃する。また、グレイヴがいつでも利用できる防御手段としては、デス・フックで掴んだ敵による肉の盾と、遮蔽物を使う方法がある。どちらも状況にあわせて利用すれば被害を抑えられるが、完全に攻撃を防げるわけではなく、劣勢を覆すのは難しい。敵の攻撃を耐えられるうちに、素早く敵を倒す。少々の危険は考えず、とにかく弾丸を撃ちまくること。二丁拳銃での破壊こそが、攻撃と防御を兼ね備えた戦闘の基本となるわけだ。


暴力には暴力をぶつけよう

二丁拳銃を撃ち続けても処理が追いつかず、敵の大群に囲まれることもあるだろう。そんな時は、デモリッションショットの出番である。デモリッションショットとは、簡単に言うとシューティングゲームにおけるボムのようなものだ。攻撃ヒットによって溜まるデモリッションゲージを消費して発動。スタイリッシュなアクションと共にど派手な技を展開し、強力な攻撃によって敵を倒す。これは筆者が勝手に呼んでいるだけであるが、デモリッションショットは大きく、時間を止めて攻撃する演出型と、デスハウラーが変形して一定時間攻撃する変身型に分けられる。演出型には短時間の無敵、変身型には長時間の無敵が付属。さらに、どちらも攻撃終了時にはHPとシールドが回復する。窮地に陥ったなら、さらなる暴力で敵を殲滅する。そんな、グレイヴの数少ない緊急回避手段となっている。

具体的なデモリッションショットとしては、演出型にはどこからかミサイルを召喚して前方へ蹴り飛ばすデスブロー、ケルベロスを乱射し周囲へダメージを与えるエクセキューショナーズブラッド、デスハウラーを多連装ロケット砲に変形させマイクロミサイルを撃つブラッドレイン。変身型には、デスハウラーがガトリングガンになるヘルハウンド、デスハウラーから炎を放つヘルファイア、デスハウラーを光線銃に変化させビームを放つデスセンテンス。そのほか周囲の時間を遅くするドゥームズレイン、デスハウラーを2本の巨大剣へ変形させて突撃するデスドライブなど、消費デモリッションゲージ量の異なる12種類のデモリッションショットが用意されている。

筆者がプレイした限りでは、特にエクセキューショナーズブラッドの周囲の敵をダウンさせる効果が強力だった。ゲーム終盤に登場する硬い敵の大群が相手では、強力なデモリッションショットであっても、なかなか一掃とはいかない。しかしダウン効果はしっかり発動するので、デモリッションショットで敵をダウンさせてから、敵の硬さを利用してヒット数を稼げば、デモリッションショットの連射も可能となっていた。本作では4つまでデモリッションショットを装備できるため、ほかのデモリッションショットも状況にあわせて使えば強力であるのは間違いない。またデモリッションショットにはそれぞれ大げさな演出がついているので、特にピンチでなくとも、使用することでカッコよく敵を滅ぼせる。デモリッションゲージの使いどころが、タフな男の生死と爽快さを分けるといっても、過言ではないだろう。


進化する死神

ゲーム開始時点でグレイヴはすでに完成された強さを誇っており、十分に敵を撃滅できる。しかし、本作ではさらにグレイヴを強化できる。強化システム「研究室」によって、敵をさらなる地獄へ招待しよう。研究室の強化項目は大きく3種類、ステータス/スキル/デモリッションショットに分けられている。本作ではステージをクリアすると、プレイ内容に応じたポイントが獲得可能。ポイントを研究室で支払うことで、項目に応じた強化が得られる。

具体的には、ステータスでは弾丸のダメージ/近接攻撃のダメージ/オートターゲットの距離/シールド回復速度/デモリッションショットゲージの最大値/最大HP/フューリーの強化。デモリッションショットでは、デモリッションシゲージを消費して発動する各デモリッションショットの習得。スキルでは、近接攻撃の派生技と掴んだ的に対する2種類のフィニッシュなどが習得できる。

強化先としては、弾丸のダメージ強化が最優先になるだろう。射撃/近接攻撃のダメージは最大100%まで強化可能。二丁拳銃のダメージがアップすれば、敵を気持ちよく破壊しやすくなり、生存性も向上する。またデモリッションゲージの強化もおすすめしたい。デモリッションゲージを多く溜めておければ、デモリッションショットを気軽に使いやすく、カッコよく立ち回れるようになる。さらにデモリッションゲージの最大値が増えると、ゲージ消費量の多い派手なデモリッションショットが習得できる。困難を乗り越え、スタイリッシュに敵を蹂躙するためにも、ゲージは多いほうがいいわけだ。なお強化はいつでもリセットでき、ポイントもしっかり返却される。ステージや状況にあわせて、カスタマイズを見直してみるのもいいかもしれない。


盾に憎悪を

何事にも例外はあるが、本作にも死神グレイヴの銃弾が効かない敵が存在する。卑劣な盾持ちである。シールドを構えたヤツらは、卑怯にもゲーム序盤から存在し、おおよその銃弾による攻撃を無効化。ゲームプレイ上厄介なばかりでなく、プレイヤーの敵を粉砕する気持ちよさまで阻害してくる。もはや世界の敵といっても過言ではないだろう。シールドを見つけた際には、憎しみを込めて素早く破壊したいところだ。

シールドの破壊方法はいくつかあり、チュートリアルでは近接攻撃による破壊が紹介される。しかし近接攻撃をおこなうには、当然盾持ちに接近する必要がある。1回の近接攻撃では破壊できず、足が止まってしまう点も含めてかなり状況を選ぶ。そこで筆者としては、チャージ射撃のデススピアをおすすめしたい。銃撃を止めてチャージすることになるものの、チャージはジャンプや回避中も可能であり、デススピアは狙った方向へ遠くまで飛んでいく。盾を素早く破壊できるだけでなく、ダウン効果も付属しているため、タフな敵の足止めも可能。レールガンじみた強力な射撃で、気持ちよく厄介な敵を粉砕できるわけだ。

もう一つ、こちらは厄介というわけではないが、ミサイルにも気を配ったほうがいい だろう。ミサイルといっても、一撃でグレイヴのシールドを破壊するほどの威力はない。弾き返しや移動での回避も可能であるため、そういった点では取るに足らないかもしれない。特徴的なのは、 本作ではミサイルの弾き返しの受付時間が、非常に長く余裕をもって作られている点だ。発射音にあわせてなんとなくボタンを押しても、それとなく弾き返しが可能 。 なんとなく返せば敵の攻撃を利用できるので、気持ちよく遊ぶために是非利用したいアクションになっている 。なお、弾き返しに対応したデストルネードは、ニュートラルと近接攻撃ボタンの組み合わせで発動する。筆者は最初勘違いしていたため、通常の近接攻撃には弾き返し効果がない点には、気をつけたほうがいいかもしれない。


パワーとパワーのぶつかりあい

敵としては、本作にはもちろんボス戦も用意されており、犯罪組織レイヴンクランの幹部や過去作の敵たちなどがボスとして登場する。ボス戦においては、通常の戦闘とは趣の異なる戦いが展開されていく。グレイヴにとって、ボス以外の相手は単体では取るに足らない相手であった。しかしボスたちは、それぞれ固有の行動パターンやアクションを備えており、グレイヴの前に強大な敵として立ちはだかる。ボスの攻撃をまともに受ければ、強靭なグレイヴのシールドもすぐに破壊されてしまうほど。死神と敵の幹部、パワーとパワーのぶつかりあいが繰り広げられるレイヴンクラン戦では、相手の攻撃が直撃すればシールドが割られ、HPもどんどん削られてしまうので、回避が基本となる。しかし前述のとおり、グレイヴの回避は性能が高いとはいえない。敵の行動に対応できるようになるまでは、苦戦を強いられるだろう。少々荒削りな印象も受けたものの、ボス戦では敵のパターンを攻略する歯ごたえのあるアクションが展開される。

ボス戦のコツとしては、やはりデモリッションショットが挙げられる。回避能力は高いとはいえないものの、ボス戦でもデモリッションショットの無敵効果は健在。演出型で敵の攻撃を避けながら攻撃したり、変身型で敵の長い攻撃パターンをまるごと飛ばしたりなど、苦手な回避を無敵が補ってくれる。敵の強力な攻撃にはこちらも必殺技で対抗する。パワーにはパワーをぶつけるしかないわけだ。


Gungrave G.O.R.E』は、11月22日にPlayStation 4/PlayStation 5/Xbox One/Xbox Series X|S。11月23日にPC(Steam)向けに発売予定だ。

Keiichi Yokoyama
Keiichi Yokoyama

なんでもやる雑食ゲーマー。作家性のある作品が好き。AUTOMATONでは国内インディーなどを担当します。

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