ケモノオープンワールド『バイオミュータント』をケモノ要素にかなり偏って紹介。終末世界のモフモフを毛の1本まで堪能する

THQ Nordic Japanが5月25日に発売するオープンワールドRPG『バイオミュータント(BIOMUTANT)』。キャラクターが全員「ケモノ」であることに注目して『バイオミュータント』の魅力を紹介する。

THQ Nordic Japanが5月25日に発売するオープンワールドRPG『バイオミュータント(BIOMUTANT)』。対応プラットフォームはPC(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com/Humble)/PS4/Xbox One(PC版の発売日は5月26日)。終末的でありながら美しい世界観、幅広くカスタマイズ可能な武器など見どころの多い本作だが、最大の特徴は登場キャラクターが全員「ケモノ」であるところだろう。熾烈な派閥抗争を繰り広げる武将たちや辺境のギャング、世界を滅ぼす脅威から親の仇に至るまで、『バイオミュータント』で出会う住民たちはみなモッフモフの動物キャラクターばかりなのだ。本稿では、キャラクターメイクや作中の派閥、道中で出会うNPCなどを紹介。ケモノキャラというポイントにフィーチャーして、本作の魅力を毛並みの1本1本まで拡大してご紹介していきたい。 
 

ふわふわの分身が生まれるまで 

 
本作ではまず、6つの種族からキャラクターを選び、その後「腕力/生命力/俊敏性/カリスマ/知性」の5ステータスを振りわけることとなる。腕力を上げて近接特化型のスタイルにすべきか、俊敏性を上げてヒット&アウェイ型を極めるか、悩ましい点だ。ただ、身もふたもないことを申しあげてしまうと、ここでのステータスはそれほど気にしなくていい。冒険中にレベルアップすることで新たなステータスポイントを入手し、改めて振りわけることが可能だからだ。あまり悩まなくとも、ここでのステータス振りで取り返しのつかなくなることはないといっていい。 

だが、実はステータスはキャラクターのパラメータを決める以外にも重要な役割を果たしている。それは、外見だ。本作では、ステータスの偏り方に連動して顔立ちや体格が大きく変化する。たとえば腕力を上げればたくましい体つきになり、カリスマを上げれば小顔でスリムな出で立ちに。ステータスごとの体格変化は、下記の画像でざっくり把握していただきたい。 
 

上段左からデフォルト、腕力、生命力。下段左からカリスマ、知性、俊敏性。

 
おわかりいただけただろうか。ひとえに「動物キャラクターが好き」といっても、そこには万里の海ほど豊かな広がりがある。キュートな小動物が好き。マッシブなガチムチ系が好き。ぽっちゃりしている方がいい。『バイオミュータント』は、幅広い需要に応える柔軟なケモノキャラメイクを提供しているのだ。したがって、ここではまず本能のおもむくままにプロポーションを決定していただきたい。たとえ世界が滅びてようが、実用性は二の次である。 

筆者としては、生命力に極振りした「レックス」族の組み合わせがお気に入りである。くりっとした目つきが愛らしい種族だが、生命力を上げることでもっちりしたハムスターを思わせる体型に。クラスは、初期装備の上裸がまぶしい「コマンドー」を選択してみた。ぱつんと張りつめたズボンのシワが、その下にあるムチムチの足へ想像力をかき立てる。何より興味深いのは、ズボンの上に「乗ってる」フワフワである。ぽっこり丸いお腹とはいわないものの、腹や背中からはみ出た毛並みの“余ってる”感はフェティシズムをかき立ててやまない。ズボンの後ろ穴からチョロッと出ている毛も、ついむしりたくなるチャーミングさだ。 
 

 
このほか、がっしりした体型が好みなら「ハイラ」族で腕力を上げてみることをおすすめしたい。ハイラはパラメータ次第で、顔つきがにっこり顔にも険しい顔にも変わるユニークな種族。腕力を上げるとへの字の口のむっすりした表情となる。極太の腕をひっさげてこのコワモテですごまれたら、敵もいたたまれない気分になるだろう。さらにハイラ族の注目ポイントはもう1か所存在する。それは、全6種族中もっともボリューミーな尻尾。顔をうずめたら息ができなくなりそうなくらい立派な尻尾は、ハイラ族の特権だ。これほどいかつい顔立ちをしていながら、その尻には常に巨大なフワフワが揺れているというギャップ。日頃からケモノのおっきな尻尾にしゃぶりつきたいと考えている諸賢には、ハイラ族でのキャラメイクをご検討いただきたい。 
 

 
運命を分かつトライブ 

本作のストーリーにおいて重要な役割を担っているのが「トライブ」の存在だ。『バイオミュータント』の世界では、異なる価値観をもった6つの派閥が存在している。彼らは世界の命運を担う「生命の樹」を救済するか破壊するかで対立しており、それぞれの領地を保有したまま膠着状態にある。通りすがりのローニンであるプレイヤーは、いずれかの勢力に加担することで抗争を終結に導き、生命の樹の命運を決定する役目を負うことになるのだ。味方するトライブにより物語の行く末が変化するほか、手に入る装備も変わってくる。どの派閥に所属するかは、本作においてプレイヤーが迫られる大きな選択のひとつだ。しかし事前情報なしでは、どこに味方するかはなかなか判断しがたいもの。ここでは、本作に登場するトライブを少しだけ紹介しよう。 
 

――ミリアド・トライブ/ジャグニ・トライブ 

 
プレイヤーがゲームを始めてすぐに選択を迫られるのが、平和主義のミリアドに味方するか、強権支配を是とするジャグニ・トライブに与するかという二択だ。それぞれの思想にどう共感するかは遊ぶ人の自由に任せておきたい。ただ、あえて一言申しそえておくならば、よほど強固な信念がない限りジャグニに所属することは茨の道であると記しておこう。なぜか。画像からおわかりかと思うが、双方の制服には大きな違いがある。そう、ジャグニは全然露出してくれないのである。ミリアドは色鮮やかなターバンと薄手の衣装を身にまとっており、首元から毛並みをチラリしてくれるサービス精神も旺盛。尻尾はたわわなエノコログサのように豊かな毛に覆われている。 

一方ジャグニの構成員はというと、終末世界にあってまさかの鎧武者の様相である。ボディはもちろんのこと、顔面まで仮面を被り完全防備。そしてどこにしまっているのか、腰の尻尾すら表には出さないという徹底ぶりである。大なり小なりモフモフを求めて『バイオミュータント』をプレイし始めた人間にとっては手痛い損失といえるだろう。トライブの制服は、プレイヤーが仲間になった際手に入れられる装備にも影響を与える。少しでも長く我が分身の毛皮を目に焼きつけたい諸賢には手放しではおすすめしがたいところだ。それでも構わない、完全防備のケモノもまたよしとする豪傑たるプレイヤーには、甘んじて「ムッツリ」の称号を授けたい。 
 

  

――ピチュウ・トライブ

冒険を進めると出会えるのがピチュウ・トライブ。自然の進化と、強者だけが生き残るという考えを支持する派閥だ。信念の弱いほかのトライブを征服することで進化を促進できると考えている。シビアな信条のもとに行動する苛烈な集団ではあるが、ピチュウの真価はその顔面にあるといえよう。彼らは、全トライブのなかでも圧倒的な童顔を誇るベビーフェイス集団だ。黒目がちな目と大きな鼻づらが幼さを加速する。この半開きの口に甘噛みされたいとは思わないだろうか。ふわふわの頭を覆うソリッドな防護ヘルメットは、剛柔のギャップを強調する趣深いファッションアイテムだ。 
 

 
おさな顔が何とも愛おしいピチュウだが、小柄なメンバーだけが注目株ではない。むしろ大型構成員の姿を愛でてこそ真のツウといえるだろう。露出度が少ない出で立ちだけに、ヘルメットの下や袖口から見えるハミ毛のボリューム感が悩ましい。横顔はマズルが高く精悍な顔つきをしているものの、正面から捉えると幅広な顔のつくりをしており、子どもっぽい面影を残している点も見逃せない。 
 

 
そして極めつけは尻尾である。通常のピチュウメンバーは小玉なお尻からスラリと伸びた長い尻尾が特徴。対して大型メンバーは、長さも太さもたくましく立派な尻尾へ成長を遂げている。しかし、いただけないのはその根元である。『バイオミュータント』のファッションにおいては、ボトムスに穴を開けて尻尾を通すことは珍しいことではない。その場合、尻尾のサイズにぴったり合わせたサイズを開けるのが一般的だ。しかしピチュウの穴の開け方は、ガバガバである。指の1本や2本通すことはたやすいであろう穴が開いており、見るものの欲求をかき立ててやまない。尻尾穴に手を突っ込んで触り放題したい。けしからん穴を見つめて煩悶したい方には、ピチュウ・トライブがおすすめだ。 
 

 
このほか、耳つきヘルメットがちょっとあざといネトラ・トライブ、ムレそうな素材の覆面が芳しいロータス・トライブなど、個性豊かな派閥が登場する。もちろん各トライブの武器やストーリーに準じて選択するのもまっとうな道だ。一方、トライブごとのファッションや顔面でチョイスするのも、決して間違いではないだろう。ぜひ、好みのトライブのシーフー(師父)の尻を追いかけてみてほしい。なお、所属トライブはゲーム中に自由に変更可能だ。 
 

終わる世界の住民たち 

オープンワールドゲームといえば見逃せないのは、その世界に暮らす住民たちとの交流だ。もちろん『バイオミュータント』においても、さまざまなアクの強いキャラクターや敵が登場する。ごく一部ではあるが、その顔ぶれを紹介していこう。 
 

・心優しき牧童、ノコ 

 

『バイオミュータント』世界におけるケモノは、おおむね中性的である。過酷な環境で生きる彼ら・彼女らの体型は基本的に引き締まっているため、豊満なメスを期待する諸賢は、多少の物足りなさを否めないだろう。しかし、そんな邪念はこの静かな瞳を見つめて捨て去ってほしい。山岳に拠点を構えるノコは、騎乗動物「ノート」たちをこよなく愛し、世話をする聡き女性だ。 
 

ノコは決してグラマラスなメスのケモノとはいいがたい。むしろそのほっそりした腕や脚は、少女のそれといっていいだろう。短くきれいに刈りそろえられた毛並みが覆う四肢は、か細いながらも弱々しくはなく、庇護者の矜恃も感じさせる健康的な肉づきだ。目元を覆うシャドーめいた毛の色が、より優しげな眼差しを演出している。加えて、全体のシルエットをアクセントづけるとんがり耳がなんともキュートだ。殺伐とした終末世界でこの利発な女性に出会った冒険者は、きっと一服の癒しを得ることができるだろう。ちなみに彼女が「物語から出てきたよう」と謳うお気に入りの騎乗動物も、なんともいえない妙味ある姿をしている。 
 

 

・洋上のうわばみ、ガルプ 

 

船上の酒場「シンキィディンク」に入り浸る飲んだくれ、その名もガルプ。終末へ向かう世界を憂いつつ、放射能漬けの美酒でのらりくらりと落日を過ごす巨漢だ。このダメなオッサンを見て、抱きしめたいと思わない人間がいるだろうか。その毛並みは整っているとはいいがたく、最後に風呂に入ったのがいつかもわからないほどクチャクチャだ。そこがいい。純白ではない、少しくすんだオフホワイトの毛のつやが中年の哀愁を醸し出す。まるで使い古されたぬいぐるみを発掘したかのような胸を締めつける愛おしさを惹起する。いったいどんなにおいがするのだろうか。 

シワクチャさが目立つガルプだが、だらしなさ一辺倒というわけではない。むしろその身なりを見ると、中折れ帽にサスペンダーと、なかなかファッショナブルである。特に注目に値するのはその足元。巨体に似合わずちっちゃなつま先でとんがり靴を履いているのがなんとも可愛らしい。また全身の毛並みは乱れがちだが、赤い鼻の下を飾る口髭はしっかり整えられている。どうしようもないが、どこか憎めない魅力がガルプおじさまの真髄といえるだろう。ちなみにシンキィディンクではガルプのほかにも、いなせなマスターや飲んだくれた客のしどけない姿を観察可能。油断したケモノをしげしげ観察したいなら、立ち寄ってみる価値があるだろう。 
 

 

・誇り高き狩人、ムーグ 

 
『バイオミュータント』の世界では突然変異したケモノたちが文明を築きあげている。しかし、すべての動物に知性が宿ったわけではない。中には凶暴なまま、身体能力だけが発達した野獣というべき存在も闊歩している。そんな荒れ狂う猛威を狩る誇り高きケモノが、「ムンスターホンター」を名乗るムーグである。モ……ハ……ではないため注意。ひと目見てわかるのは、そのすらりと長い体躯だ。ほかのNPCと比べても、住んでいる世界が違うのではないかというほど頭身が違う。主人公の数倍はあろうかという手足で仁王立ちしている姿は、まさに手だれのホンターと呼ぶにふさわしい凛々しさ。仮面を身につけ、素顔がわからない点もミステリアスな魅力を強調している。 

ところで顔まわりの防御力に対し、その下はどうだろう。どの動物もめいめいが個性的なファッションに身を包む『バイオミュータント』の世界にあって、ムーグの出で立ちはいささか刺激的だ。上半身は大胆に白い腹部を露出しており、下半身はこともあろうにふんどし姿。ほぼビキニスタイルといっても過言ではない。もちろん『バイオミュータント』世界において、下を“はいてない”ことは決して珍しいことではない。3頭身くらいのケモノがふわふわの下半身を露出してそぞろ歩いているのは微笑ましく、それはそれで眼福なのであるが、ムーグほどスタイリッシュなケモノであると、妙に視線のやり場に困ってしまう。ほかの住民にはない、ワイルドな野生の魅力を秘めたムーグは見逃せない存在だ。 
 

 

・よくわからない代表、ミートゥー 

 
くせ者揃いの本作においても、ひときわ異彩を放つ存在がミートゥーだ。光を放つ虫を捕らえ、ランプを作ることを生業としている。いったい変異前は何の動物だったのか、よくわからない。固い岩石を思わせるトサカは爬虫類のような印象を抱かせる。ぼんやりと金色に発光する瞳、口の隙間から垣間見えるぎざぎざの牙。威圧感を醸し出すパーツがいくつも散りばめられている……のだが、そのすべて奇跡的なバランスにより、「全然こわくない」を成立させている。何かを取って食う姿がまったく想像できない。肉食めいた歯並びは、おそらくミューテーションの過程で生まれた何かの手違いであろう。 
 

 
全身を通じてくびれというものがまったくなく、ずんぐりむっくりした体形である。押し倒したらころりと転がっていってしまいそうなフォルムが、見るものの心を否応なく弛緩させる。誰もが殺伐に生きる『バイオミュータント』世界において、唯一ベッドサイドにいても怖くないキャラクターといっていい。尻尾は恐竜を思わせるビッグサイズ。身にまとう服と同じ、赤色の毛のアクセントがおしゃれポイントだ。地面をひきずって埃がたくさん付いていそうなので、ひとつひとつゴミをつまんで取ってあげつつ、ふわふわを堪能したいところだ。はたしてミートゥーをケモノと呼んでいいのかどうか迷わしいところではあるが、人外に幅広くリーチする懐の広さも本作の魅力といえるだろう。

駆け足ではあるが、『バイオミュータント』の魅力を紹介した。本作の注目すべき要素を挙げればきりがないが、可能な限り筆者の嗜癖に沿ってお伝えしたつもりである。毛のないサルばかり出てくるゲームにはもう飽きた、そんな方がいれば、あくなきモフモフに満ちた本作を遊んでみてはいかがだろうか。『バイオミュータント』は(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com/Humble)/PS4/Xbox One向けに発売予定だ。 

Yuki Kurosawa
Yuki Kurosawa

生存力の低いのらくら雰囲気系ゲーマーです。熾烈なスコアアタックや撃ち合いを競う作品でも、そのキャラが今朝なに食ってきたかが気になります。

記事本文: 1615