Steamサマーセールで「高評価Co-opゲーム開発者」がオススメする協力プレイゲーム。その道のプロが選ぶ同業他社タイトルとは
『Viscera Cleanup Detail』
640円(50%オフ・Steamストアページ)
『Viscera Cleanup Detail』は、最大32人でのオンライン協力プレイに対応するお掃除ゲームだ。異星人と人類との死闘が繰り広げられた後の施設が舞台。そこには多数の死体が転がり、床は血まみれ。さまざまなゴミも散乱しており、モップなどのツールを駆使して汚れを落とし、ゴミを収集・焼却していくのだ。仲間と協力すれば効率よく仕事をこなせるだろう。ただし、もどかしい物理演算によって、汚れをぶちまけてしまわないよう注意したい。本作はSteamレビューでは93%が好評とする「非常に好評」。文字どおりの“作業”ゲーながら、施設を綺麗にするというシンプルな目標がかえって快感に繋がっている作品だ。
RuneStorm・Arn Richert氏
───『Viscera Cleanup Detail』は、どういった経緯から生まれたのでしょうか。
最初の作品をリリースして1〜2週間が経った頃、僕たちはディナーの際にブレインストーミングしていました。その作品はほとんど注目を集めることができなかったため、アイデアを出し合っていたのです。そしてある時、『Dead Space』や映画「エイリアン」といったSF作品ならではの“ゴミや汚れ”を掃除するというアイデアを僕が何気なく口にすると、兄弟たちが即座に興味を示しました(RuneStormは、僕たち3兄弟だけのスタジオです)。その夜には、さらにいくつかのアイデアもすぐに湧き、開発に取り掛かって10日後にはプロトタイプを無料配布。これが本作の始まりです。
───本作の開発時の裏話として、興味深いエピソードはありますか。
実は本作の物理演算については、もともとはそれほど重要な要素としては考えていなかったのですが、プロトタイプの初期段階でゴミ入れが必要になり、そこに放り込むアイテムを掴めるようにしなければなりませんでした。結果的にそれは上手く機能し(マルチプレイにて使いこなすのは悪夢のようではあるものの)、さらなる新しいアイデアへと繋がっていくこととなりました。
似たような話はマルチプレイにもあります。当初はもっとマルチプレイに焦点を当てており、プレイヤーがお互い妨害し合いながら、いかに早くエリアを清掃できるかを競うというアイデアを考えていたのですが、こちらはプロトタイプ制作を始めた初日か2日目にさっさとボツにしました。
───本作の協力プレイに関して、プレイヤーからは何か面白い反響はありましたか。
さまざまなプレイヤーが、協力プレイにてチャレンジに取り組む様子を見るのは常に有意義な経験です。オブジェクトを使ってほかのプレイヤーを高い場所に持ち上げる人もいれば、役割分担を決めて清掃作業をスピードアップさせているチームもいます。シンプルなことですが、世の中でおこなわれていることをそのまま反映できていると言えます。もちろん、ほかのプレイヤーを障害物に向けてぶっ飛ばしたり、コンテナに爆発物を仕込んだりなど、お互い邪魔し合うコミカルなゲームプレイを見るのも楽しいものですよ。誰かが廃棄物入れをひっくり返した途端に、いつもヒートアップするんです。
───お気に入りの協力プレイゲームはありますか。また、その理由もお教えください。
『Left 4 Dead 2』ですかね。各プレイヤーが真にお互いを必要とする協力プレイゲームとしては、僕が覚えている限り同作が初めてだったように思います。ただ同じ世界を共有しているだけで、ゲームプレイにあまり違いのない作品もありますよね。もし『Left 4 Dead 2』は有名すぎるということなら、インディーゲームの『RUNNING WITH RIFLES』をお勧めします。協力プレイでかなりたくさん遊びました。また、『Unreal Tournament』や『Counter-Strike』のようなチームやBOTとプレイする作品でも、僕たちはいつも協力プレイとして楽しんでいます。
───『Viscera Cleanup Detail』が、『Left 4 Dead 2』から影響を受けた点はありますか。
残念ながら、特に影響を受けた部分はないかな。ちょっと思い出せない。ただゾンビアポカリプスという設定は、『Viscera Cleanup Detail』向けとしていつも検討はしていました。もしかすると、いつか……。
『Warhammer: Vermintide 2』
772円(75%オフ・Steamストアページ)
『Warhammer: Vermintide 2』は、ミニチュアゲーム「Warhammer Fantasy Battles」を題材にしたアクションゲーム。最大4人でのオンライン協力プレイに対応する。特徴の異なる5人の主人公から選択し、邪悪なケイオス軍とネズミ人間スケイヴンの群れに立ち向かう。本作は一人称視点での迫力ある近接戦闘が特徴で、プレイスタイルに合わせて武器をカスタマイズしてクエストに挑戦するのだ。Steamレビューでは78%が好評とし、徐々に評価を上げてきている。『Left 4 Dead』を彷彿させる協力プレイと、中世ファンタジー世界での近接バトルに魅力を感じるプレイヤーが多いようだ。
Fatshark・Martin Wahlund氏
───『Warhammer: Vermintide 2』は、どういった経緯から生まれたのでしょうか。
本作では、我々の「Warhammer」の世界観への愛、そして協力プレイゲームへの愛をミックスさせました。もともと、次の作品は協力プレイゲームを作ろうと考えていたのですが、我々は「Warhammer」の大ファンばかりだったため、当時は「Warhammer」のゲームを作るべきだと冗談を言い合っていました。権利元のGames Workshopの連絡先すら知りませんでしたから。しかし、彼らのホームページにあったアドレスに実際にメールを送ってみたことで、すべてが始まったのです。そして最初の作品(『Warhammer: End Times – Vermintide』)のリリース後、我々は多くの学びを得ることができたため、本作にはそれらを反映させました。
───本作の開発時の裏話として、興味深いエピソードはありますか。
動的な要素のある協力プレイゲームを開発するためには、途方もなくテストを重ねる必要があり、その中では数多くの笑えるバグにも遭遇します。同じステージを何百回もテストしたとしても、未知の何かが突然現れることがあるというのは、今回ひとつ学んだことでした。
───本作の協力プレイに関して、プレイヤーからは何か面白い反響はありましたか。
あるプレイヤーたちのプレイを見ていた時のことですが、最初のプレイで上手くいかなかった際に、彼らは協力し合わなければ突破できないと気づいたようですね。そして、最後にはほんのわずかな体力しか残っていませんでしたが、力を合わせてステージをクリアしていましたよ。
───お気に入りの協力プレイゲームはありますか。また、その理由もお教えください。
Steamには楽しい協力プレイゲームがたくさんありますが、あえて挙げるとするなら『Left 4 Dead』ですね。『Divinity: Original Sin 2』もお気に入りです。『Left 4 Dead』のもっとも素晴らしいところは、ミッションをクリアするには真に協力し合わなければならないところです。また、感染者が動的にスポーンするシステムによって、何がどう転ぶか分からない状況において、記憶に残る瞬間をもたらしてくれます。
───『Warhammer: Vermintide 2』が、『Left 4 Dead』から影響を受けた点はありますか。
本作は、言うまでもなく主に前作『Warhammer: End Times – Vermintide』から影響を受けている作品です。とはいえ正直なところ、『Left 4 Dead』の動的なスポーンシステムや激しい協力プレイからも、インスピレーションを得ていたと言えるでしょう。
『We Were Here Together』
990円(25%オフ・Steamストアページ)
『We Were Here Together』は、オンラインでの2人協力プレイに特化したパズルアドベンチャーゲームだ。南極のベースキャンプにて遭難信号を受け取ったプレイヤーは、謎の城へと救助に向かう。城の中ではさまざまな仕掛けが登場。2人のプレイヤーは手分けしながらも、ボイスチャットで常に意思疎通を図りながらパズルに臨むのだ。城の謎を解き脱出するには、的確なコミュニケーションがカギを握る。本作はSteamレビューでは88%が好評とする「非常に好評」。このボイスチャットを最大限活かした協力プレイがユニークであると評価された。
Total Mayhem Games・Lucia de Visor氏
───『We Were Here Together』は、どういった経緯から生まれたのでしょうか。
『We Were Here Together』は僕たちにとって3作目の作品で、1作目の『We Were Here』や初の商業タイトルとなった『We Were Here Too』での、協力しながらパズルを解く要素をさらに強化しています。『We Were Here』の当時は、僕たちはアニメーションからコンピュータサイエンスまでさまざまな学科の学生が集まってチームを結成し、ユニークなゲームのコンセプトを1週間以内に考えるということに挑戦していたんだ。そこで気付いたのは、僕たちはみなソーシャルゲームが大好きだということ。そこで、親友と一緒にプレイすると楽しい体験に注力することにし、ほかのどの協力プレイゲームとも異なる、ずっと楽しめる体験を作りたいと考えたんだ。ふたりのプレイヤーの、ずっと続く繋がりを構築したかったということだね。
───本作の開発時の裏話として、興味深いエピソードはありますか。
プレイヤーは音声だけを使って、どのような形でコミュニケーションを取りパズルに挑戦するのか、それを予測することは難しい問題だったよ。そこで、僕たちのパズルのアイデアを試すために、人をトランシーバーと一緒に密室に入れてパズルを解いてもらったんだ。これならコードを1行も書くことなくテストでき、そしてプレイヤーはどのようにしてパズルを解くのか、あるいはどういった困難に直面するのか、具体的な情報を得ることができるから。
───本作の協力プレイに関して、プレイヤーからは何か面白い反響はありましたか。
見知らぬプレイヤー同士が一緒にプレイしている様子を見ていると、時に魔法のように思えることがあったよ!彼らは、最初は少し口数が少なく、上手くコミュニケーションが取れていない様子だった。でもゲームにのめり込んでいくと、突然彼らはお互いに喋りまくるようになったんだ!オンラインプレイ中に、パートナーはどこに行ったのかとコメントを投稿する人もいたよ。
それと、なかなか会う機会のない友人と話すために本作を使っている人もいると聞いた時は、素晴らしいと感じたね。しばらく話していなかったとしても、この作品はあなたの緊張をほぐしてくれるし、電話で世間話をするよりも取っつきやすいと言えるでしょう。
───お気に入りの協力プレイゲームはありますか。また、その理由もお教えください。
本作の開発中には、僕たちは『Portal 2』をしょっちゅうプレイしていて、大きなインスピレーションを得ることができた。協力プレイとはこういうものだということを簡潔に示しており、取って付けた感じではない洗練された製品でもあって、素晴らしいお手本だと思う。ほかにも、『MYST』や『Riven』といったクラシックなパズルゲームからも影響を受けていて、それに『Portal 2』と『Keep Talking and Nobody Explodes』のマルチプレイ要素を組み合わせていったんだよ。
───そうした影響について、もう少し詳しく教えていただけますか。
目にしているものについて、お互いに簡単に見せることができない状況で説明し合う、というコンセプトには大きなポテンシャルがあると感じたんだ。そこで僕たちのゲームでは、別々に行動するプレイヤーが無線機を使ってパズルを解くことに焦点を当てた。僕たちチームは協力プレイゲームの大ファンで、それはデジタルゲームだけでなくボードゲームのようなアナログゲームについても同じだよ。
先ほど述べたように、僕たちのパズルコンセプトの多くは現実世界にてテストをおこなっており、これはアナログゲーム的なやり方だと言えるだろう。大抵は上手くいくのだけど、注意も必要なんだ。たとえば、理論上は完璧なパズルのアイデアを洞窟の中に仕込んだ際に、実際に人が3次元の密室空間の中で試してトンネルを案内しようとすると、パズルの核心部分が曖昧になっていくことがあった。パズルを制作するということは、それ自体がパズルだということなんだよ!
インタビューは以上となる。ちなみに、こうした特集をする際には、一部読者から「これらのゲームはどの程度のPCならば動くのか」と質問も寄せられる。確かに、新しくPCゲームの世界へ足を踏み出そうとするプレイヤーにとっては、気になることだろう。そこで、今回は回答を頂いたタイトルの中から、いくつかピックアップしてベンチマークを実施したので、その内容を報告しよう。なおテストは1人寂しく行ったため、複数人でプレイするよりも負荷の軽い内容になってしまっている点にはご了承いただきたい。
テストに使用したのは、マウスコンピューターよりお借りしたCore i5 9400/メモリ16GB/ NVIDIA GeForce GTX 1660搭載のミドルスペックPC「G-Tune PN-Z」である。結論を先に言ってしまうと、計測した範囲では60fpsを下回ることもなく快適にプレイできたので、同程度のスペックを持ったPCなら、現行のCo-opタイトルは十分遊べるといってもいいだろう。
すべてのタイトルはゲームプレイ開始後、あるいはステージ開始後に計測を開始し、その平均フレームレートと最低フレームレートを掲載している。なお、計測にはフレームレートをオーバーレイに表示したり、パフォーマンスの計測ができるオープンソースのツールOCATを利用した。