Steamサマーセールで「高評価Co-opゲーム開発者」がオススメする協力プレイゲーム。その道のプロが選ぶ同業他社タイトルとは
『The Blackout Club』
1854円(40%オフ・Steamストアページ)
『The Blackout Club』は、最大4人でのオンライン協力プレイに対応するホラーミステリー・アドベンチャーゲーム。舞台となるアメリカの田舎町では、住民が毎晩催眠状態で徘徊するという奇妙な事象が発生しており、これに気づいた若者たちが調査に乗り出す。本作のミッションはランダムに生成。催眠にかかった住民などの敵を欺きながら、この町で何が起こっているのかを世界に示すため証拠を集めるのだ。本作は、ステルスプレイを重視したゲームプレイに加え、ミスを重ねると強力な敵を呼び起こしてしまう緊張感が評価され、Steamレビューにて86%が好評とする「非常に好評」を獲得している。
Question LLC・Jordan Thomas氏
───『The Blackout Club』は、どういった経緯から生まれたのでしょうか。
僕が本作の設定を思いついたのは2006年のことでした。人々が“Voice”を耳にし、それがウイルスのように脳から脳へと伝わっていく中で、彼らはVoiceは神のような存在の一部であるのだと次第に確信していく。大人たちを題材にしたホラーRPGとして考えていて、一方でユーモアは控えめというものです。その当時は、『サイレントヒル』や『エターナルダークネス 招かれた13人』などから大きな影響を受けていました。
それから何年か経ち、『バイオショック』シリーズ3作品に携わったあと、僕はStephen AlexanderとKain Shinと共にQuestionを設立。『The Magic Circle』というコメディゲームを手がけ、そろそろホラーに立ち戻る時が来たなと感じたのです。ただこの時には、主人公の少年たちのちょっとしたユーモアや、屈託のなさに魅力を感じるようになっていました。若い友人グループが、恐ろしいモンスターに挑むといった設定のテレビや映画が見られるようになってきたでしょう。モンスターをひとつのメタファーとして成長や正義について語ることが多いのですが、ゲームではそうした作品はあまり存在しなかったため、僕たちは協力プレイタイトルに初めて取り組むことにしました。その世界が僕たちに囁きかけてきたような感じでしたね。こうして『The Blackout Club』は生まれたのです。
───本作の開発時の裏話として、興味深いエピソードはありますか。
そうですね、ネタバレになるのですが、本作の物語には俳優とライターたちによってリアルタイムで演じている所があり、彼らはあなたのゲーム体験に忍び寄り“出没”することになります。こうした要素は、知る限りほかの作品では見られないもので、実現するまでにはかなり時間がかかりました。ある時には、女性プレイヤーが演者に喋りかけ、彼女の非常に複雑な生い立ちを語り始めたのですが、途中で接続が切れてしまったことがありました!
これには非常に焦りましたが、急いでオンラインに繋ぎ直したため、プレイヤーの体験を阻害するようなことにはならなかったと思います。彼女はまだ喋り続けていましたからね!彼女はオンラインで配信中だったため、僕たちは彼女が話していた内容を把握することができ、その言葉をもとに、俳優は幽霊あるいは神のようなキャラクターとしてスムーズに話を終わらせたのです。彼女は切断していたことに気づくこともなかったでしょう。あの夜は、僕たちはドキドキしましたけどね!
───本作の協力プレイに関して、プレイヤーからは何か面白い反響はありましたか。
たくさんあります。あるライブ配信イベントにて、僕たちはVoiceを持つ女性キャラクターのひとりを殺すことになりました。ふたりいる悪者の内のひとりに滅ぼされ、彼女の信奉者たちの脳には代わって悪のVoiceが響くこととなり、その際には赤い空に黒い月が浮かんだのですが、これはプレイヤーがそれまでに見たことのない風景でした。それから数か月が経つものの、ファンは今も彼女を惜しんで曲を作ってはPrayer(ゲーム内システム)に歌声を送っています。彼女の名は“DANCE-FOR-US”といって、音楽は彼女にとって非常に重要な要素だったのです。プレイヤーが持つ本作との繋がりからは、ある点では、彼らは超自然的な現象を本当に信じているということが伺えます(僕たちとしては、フィクションであると明確にしていましたが)。ただ、Prayer/Ritualシステムを通じて彼らのそうした実際の声を耳にするのは、非常に感動的でもありますね。
───お気に入りの協力プレイゲームはありますか。また、その理由もお教えください。
『The Blackout Club』の開発中には、『Warhammer: Vermintide』と『Warhammer: Vermintide 2』をかなりプレイしていました。「Warhammer」の世界観にてネズミの大軍を殺戮する、荒々しくハイペースな作品です。その次は『Sea of Thieves』。無法者の海賊であふれた、本物の海にいる気にさせてくれます。そして最近だと、『Path of Exile』にハマっていたスタッフもいました。かなり前にリリースされた作品ですが、今も定期的にアップデートされており、そのシステムの奥深さはほかにないものがあります。
───『The Blackout Club』が、それらの協力プレイゲームから影響を受けた点はありますか。
もしかすると、逆の意味でインスピレーションを受けたと言えるかもしれませんが、『The Blackout Club』においてはバトルにフォーカスしない選択をしました。バトル重視の協力プレイゲームは山ほどありましたから。また、本作ではプレイヤーはあくまで10代の少年であり、物理的に力の強い大人を相手にしなければならないということを意識してもらうためでもあります。頭の中で聴こえるVoiceからスキルを教わることもありますが、それでも頭を使って敵の裏をかき、そして何より協力し合うことが求められる作品なのです。
『Trine 4』
1155円(70%オフ・Steamストアページ)
『Trine 4』は、ファンタジー世界を舞台にするパズルアクションゲーム『Trine』シリーズの最新作だ。最大4人でのローカル・オンライン協力プレイに対応する。主人公である魔道士アマデウス・騎士ポンティアス・女盗賊ゾーヤはそれぞれ異なる能力を持っており、2.5Dグラフィックのステージにて敵を倒しながら、さまざまなパズルを協力して突破。そして、世界中を闇に飲み込む悪夢に囚われた王子の救出を目指す。主人公たちの各能力を活かした協力パズルプレイはもとより、本作ではファンが求める『Trine』らしさを取り戻すことにも成功し、Steamレビューでは91%が好評とする「非常に好評」となっている。
Frozenbyte・Kai Tuovinen氏
───『Trine 4』は、どういった経緯から生まれたのでしょうか。
『Trine』は、昨年10周年を向けたゲームシリーズです。ですので、これを継続して4作目を作りたいと考えたのは自然なことでした。前作『Trine 3』のあと、私たちは『Trine 4』の開発を始める前に考えやアイデアを取りまとめるために、数年間の休息期間を置いています。そして、誰よりも先にこのプロジェクトに取り組み始めたのは、物語や脚本を担当するライターのMaijaでした。
私たちは当初から、本作では『Trine』のルーツである2.5Dゲームプレイに回帰することを望んでおり、全体的なデザインの方向性については早い段階で決めていました。また、最高の『Trine』ゲームにしたいとも考えていたため、シリーズのすべての作品のハイライトとなった要素を組み合わせ、そこに新たなアイデアを混ぜ合わせることにしたのです。
───本作の開発時の裏話として、興味深いエピソードはありますか。
私たちのアーティストは、本作の環境やモンスターのデザインの多くに、フィンランドの自然や季節からインスピレーションを得ています。たとえばブルーベリーを食べる熊や、サイマーワモンアザラシはフィンランドの象徴的な動物であり、私たちにとっても非常に大切な存在です。サイマーワモンアザラシは、サイマー湖にのみ生息する絶滅危惧種で、本作の「ファーウッドの湖」ステージではその環境を表現しています。そこでは、ヒーローたちが恐ろしい蜘蛛のようなモンスターからアザラシを助ける場面があるのですが、現実世界では彼らは時折漁網にかかってしまうことがあり、本作ではこうしたオマージュをいくつか仕込んでいます。
また本作に登場するウサギについては裏話がありまして、実は彼らはリスだったのです!開発時のある段階でひとりのレベルアーティストが、ステージ内の小さな森の生き物にバリエーションを持たせようと考えたのですが、新たなモデルやリグを制作する時間がなかったため、リスの耳や尻尾など身体のパーツの大きさをエディタで調整していました。そして、さらにアニメーターが動きをつけたことで、リスがウサギに変身したのです。
───本作の協力プレイに関して、プレイヤーからは何か面白い反響はありましたか。
私がもっとも気に入っているのは、本作をリリースした当時のことです。何人かのプレイヤーが、バトルではなく複数の大きなフェーズがあるパズルを持つAunt Gretchen(「王子の夢」ステージのボス)に挑んでいるところを見るのは本当に楽しかった。彼らは長い時間手詰まっていましたが、試行錯誤を大いに楽しんでおり、また配信を見ていた視聴者がチャット欄でアドバイスを送っていたりもしたのです。そうしてついにパズルを解いた様子を見れたことは素晴らしかったです。
思うに、協力プレイに関して私たちが『Trine 4』にておこなったもっともクールなことのひとつは、(特に無制限モードにおいて)追加のプレイヤーがいる際にパズルをより難しくしたことでしょう。ほかのプレイヤーがいることを前提にパズルについて考える必要があり、それによって常識にとらわれない解法をたくさん思いつくことに繋がっているのです。イベントにて小さな子供達が協力プレイデモを楽しんでいた様子も心温まるものでした。彼らは非常に頭が良く、すべてのパズルを解いていましたよ。
───お気に入りの協力プレイゲームはありますか。また、その理由もお教えください。
同じ体験を共有したい仲間がいるなら、『Divinity: Original Sin 2』は素晴らしい作品だと言えます。同作はシングルプレイゲームとしても素晴らしい作品ですが、この協力プレイは私が子供だった頃を思い出させてくれます。あの頃は、似たようなRPGをひとつのPCでプレイし、操作する人と見ながらコメントする人が時々交代しながら楽しんだものです。今はみな一緒に同時プレイできますけどね。
───『Trine 4』が、『Divinity: Original Sin 2』から影響を受けた点はありますか。
『Trine 4』への影響はないですが、私の個人的なお気に入りタイトルです。
『Unrailed!』
1148円(42%オフ・Steamストアページ)
『Unrailed!』は、最大4人でのオンライン協力プレイを楽しめる鉄道工事ゲーム。2対2での対戦プレイも可能である。途切れた線路上を列車がゆっくり進んでいくため、脱線しないように線路を建設し継ぎ足していく。そのために木を切り倒し岩を砕いて材料とし、同時に道を切り拓くのだ。さまざまなアクシデントや障害物も登場するなか、各プレイヤーがそれぞれの役割をこなしながら、どこまでも生成されていく世界へと列車を導こう。本作はSteamレビューでは92%が好評とする「非常に好評」。役割分担が上手く機能するほど、結果として線路が延びていく達成感が魅力である。
Indoor Astronaut・Thomas Wolf氏
───『Unrailed!』は、どういった経緯から生まれたのでしょうか。
僕たちは大学で知り合ったんだけど、ゲームプログラミングおよびゲームデザインを専攻しており、学期内にゲームを1本制作するという課題があったんだ。当時与えられたテーマは、スイスにて鉄道を開拓したとある著名な人物について。当時僕たちはローカル協力プレイゲームを作りたいと考えていたため、本作の核となるアイデアはすぐに閃いたよ。
───本作の開発時の裏話として、興味深いエピソードはありますか。
実は、もともと本作のリプレイシステムは、序盤の基本的なゲームプレイメカニクスや、その後のゲームプレイ要素や環境をシームレスに紹介する、短いライブプレゼンテーションをおこなうためだけに開発した機能だったんだ。そのプレゼンテーションでは、ゲーム序盤を紹介するために、リプレイを流しながらプレイしているふりをしていたんだけど、ある時点でリプレイが勝手に先の環境まで進んでしまい、慌てて実際にプレイを開始したということがあったね。
───本作の協力プレイに関して、プレイヤーからは何か面白い反響はありましたか。
ある大きなイベントに出展した時のことだけど、本作を試遊していた人たちは他人同士だったからか、最初は会話を交わすことはあまりなかった。だけど、プレイを始めて1分もしないうちに列車がクラッシュしたのを見て、彼らは戦略の重要性にすぐ気づいたんだ。それから20分もしたら、彼らはチームとして完璧に連携を取っていたよ。
───お気に入りの協力プレイゲームはありますか。また、その理由もお教えください。
僕たちのほとんどは、もともと協力プレイゲームをたくさんプレイする方ではなかったんだけど、スタジオを設立した当時に『Overcooked』をプレイしていたスタッフはいたね。シングルプレイメインのゲームに協力プレイを追加していた作品がほとんどだったなか、同作は協力プレイに焦点を置き、そして成功した最初の作品のひとつだったように思います。また、ストレスレベルが非常にユニークかつ激しい作品でもある。
───『Unrailed!』が、『Overcooked』から影響を受けた点はありますか。
『Overcooked』にて僕たちが大いに気に入っているのは、各ステージで巻き起こるカオスだ。とはいえ、『Unrailed!』にはより戦略的な要素を導入したいという想いがあったから、料理レシピの代わりに継続的な目標や線路の構築要素、そしてステージ構成を入れ替えるエンドレスモードでのローグライクデザインを導入したんだよ。こうしたより長期的な方向付けによって、プレイヤーはより長く列車を走らせるため、特定の作業をこなすのか、あるいは次の駅への線路を敷くのかどちらを優先するのかを常に考え、さらに列車の構築についても頭に入れておく必要があるんだ。こうしたローグライクなメカニックとシンプルなゴール設定を用意したことで、プレイヤーに自身の戦略について考え試してもらうことが可能になったんだよ。