Steamサマーセールで「高評価Co-opゲーム開発者」がオススメする協力プレイゲーム。その道のプロが選ぶ同業他社タイトルとは
『GTFO』
3040円(20%オフ・Steamストアページ)
『GTFO』は、謎の地下施設に囚われたスカベンジャーとなり、さまざまなミッションに挑戦するホラーFPSだ。最大4人でのオンライン協力プレイに対応する。薄暗い施設内には異形のモンスターが存在し、警戒されると怒涛の勢いでプレイヤーを襲う。探索にて武器やアイテムを確保しながら、仲間との連携と計画立てた行動が求められるだろう。本作は現在早期アクセス中であり、順次新たなコンテンツが追加されている。本作はSteamレビューでは87%が好評とする「非常に好評」。ハードコアゲーマー向けとうたうだけある歯ごたえのある内容となっており、仲間と緊張感のある協力ゲームプレイを楽しめる。
10 Chambers Collective・Robin Björkell氏
───『GTFO』は、どういった経緯から生まれたのでしょうか。
我々は4人協力プレイのFPSを作りたいと思い、連携と共同作業が求められるゲームを追求しようと考えました。多くの協力プレイゲームは、ただ友人と一緒にプレイするだけの場合が多く、真に連携を求められることはそうないでしょう。しかし、我々が作りたかったのはハードコアな協力プレイゲームなのです。そうと決めたら、ホラーな雰囲気や閉所恐怖症を引き起こしそうな室内環境を導入することは自然と思い浮かびました。なぜならそうした要素は、お互いが離れないように、また慎重に行動するようにしなければとプレイヤーに感じさせることができるからです。
───本作の開発時の裏話として、興味深いエピソードはありますか。
我々にとってはコミュニティやファンがすべてです。本作は、2018年のgamescomにてメディア向けにクローズドで披露したのですが、まだ発売されていないにも関わらず、すでにコミュニティは大きなものとなっていました。そこで我々は、gamescomを訪れている『GTFO』ファンの中で、本作をプレイしてみたい人はいるかとSNSを通じて尋ねたのです。そして、彼らにスタッフ用のパスを貸して関係者以外立入禁止の区域にこっそり忍び込ませ、開発陣と一緒にプレイしてもらったことがありました。我々のパートナーやメディアを除けば、彼らが最初の『GTFO』プレイヤーだったと言え、最高の気分でしたよ!今や『GTFO』は、Discordにおける最大のコミュニティのひとつとなっており(18万人超)、我々としてはコミュニティファーストを今後も続けていく考えです!
───本作の協力プレイに関して、プレイヤーからは何か面白い反響はありましたか。
本作の難易度についての反響は非常にポジティブで、どうやら多くのゲーマーが文字どおりチャレンジを体現する作品を求めていたようですね!『GTFO』を楽しみたいなら、マゾヒストのような人でないと。「このゲームは超ムズイけど、気に入ったよ!」といった反応が多く寄せられており、つまりそういった気持ちになれる人向けということです!
───お気に入りの協力プレイゲームはありますか。また、その理由もお教えください。
『Warhammer: Vermintide 2』は間違いなくオススメです。10 Chambers Collectiveのスタッフはみな、このゲームをずっと楽しんでいるからね。たくさんのアクションがあり、チャレンジ要素も素晴らしく、また近接武器を使ったユニークなゲームプレイもあって……とにかく楽しい要素が満載なのです。
───『GTFO』が、『Warhammer: Vermintide 2』から影響を受けた点はありますか。
『Warhammer: Vermintide 2』の近接格闘は、振り回す感触や標的をヒットした際の満足感が最高です。アニメーションやサウンド、エフェクトの組み合わせが非常に上手く構築されていて、FPSに近接格闘を導入するにあたっては、これは完璧な模範だと言えるでしょう。我々は、その領域に到達できるよう今も取り組んでいるところです!
『Human Fall Flat』
592円(60%オフ・Steamストアページ)
『Human Fall Flat』は、ふにゃふにゃのキャラクターが特徴のオープンワールド・アクションパズルゲーム。最大8人でのオンラインマルチプレイのほか、ローカルでの画面分割プレイにも対応する。さまざまな環境のステージにて物理パズルを解きながら進んでいくが、ふにゃふにゃキャラだけに、もどかしくも笑えるゲームプレイとなること必至。本作は発売から4年が経つが、現在も新たなステージが随時追加されている。本作のSteamレビューは88%が好評とする「非常に好評」で、最近さらに評価を高めている。中々思いどおりに行かないながらも、皆で協力し、もつれ合ってパズルを攻略する楽しさが魅力だ。
No Brakes Games・Tomas Sakalauskas氏
───『Human Fall Flat』は、どういった経緯から生まれたのでしょうか。
左右の手を独立して操作するという基本的なアイデアについては、Intel RealSenseカメラ(深度情報を取得できる3Dカメラ)を使ったゲームメカニクスについて調べていた時に思いついたんだ。それによって、ゲームキャラクターとして機能するアクティブなラグドールの最初のバージョンを実装したんだよ。ほとんどのゲームでは、動作を持つキャラクターは死んだ際にラグドールに切り替わり、またアクティブラグドールは環境によってより興味深い相互作用を見せることもある。ただ僕は、アクティブラグドールを死亡時の動きだけに使用するのではなく、ゲームの中でまさしく人生を送っているような存在にしたら、どのようになるのか見てみたかった。本作のほかの部分は、キャラクターがその人生を生き、そして彼がどこに向かうのかを形作ってくれたプレイヤーたちによって出来上がっていったと言えるでしょう。
───本作の開発時の裏話として、興味深いエピソードはありますか。
本作の大部分は、実は海岸沿いに停めたバンの中で作ったんだ。オフィスチェアとデスクを持ち込んで、とても狭いけど居心地は良かったよ。風の強い日になるとその“オフィス”をバラし、ウインドサーフィンの道具を積んで近くのスポットまでドライブして、波乗りを楽しむこともあったね。ガレージでゲームを作ったという話はよく聞くけど、まあそれに近いものだったかな。
僕の頭の中では、どう転ぶかは分からなかったけど、プレイヤーにアクションを促したり、彼らの進捗を肯定するような複雑かつ反応性の高いものをイメージしていました。ちょうどプレイヤーがステージを覗き込むような感じでね。その後は、当初想像していたよりもずっと多くの可能性を持つ作品へと成長していった。
また、本作のイントロをデザインし終えた直後に『The Stanley Parable』をプレイしたんだけど、『Human Fall Flat』のナラティブ面のためだけに僕がどれだけ多くのリソースを費やそうとも、『The Stanley Parable』の素晴らしさには到底及ばないであろうことを思い知らされたよ。
───本作の協力プレイに関して、プレイヤーからは何か面白い反響はありましたか。
本作では死ぬことがないにも関わらず、それでもプレイヤーたちがお互いに助け合おうとしている様子を見るのはすごく楽しい。どれも純粋に自ら引き起こしたドラマであり、緊張感と滑稽さが同居しているのだから。
───お気に入りの協力プレイゲームはありますか。また、その理由もお教えください。
何本でも選んで良いのなら、『Spintires』や『Door Kickers』シリーズ、『Unrailed!』『ADIOS Amigos: A Space Physics Odyssey』『Keep Talking and Nobody Explodes』『We Were Here』『Never Alone(Kisima Ingitchuna)』『Europa Universalis』『DARK SOULS III』は素晴らしい作品です(『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』にも協力プレイが欲しかった)。あとリトアニアで制作された『Blazing Beaks』も、ぜひ言及しておきたい。
でも1本だけ挙げろと言うなら、間違いなく『Portal 2』だね。僕は『Portal』シリーズの大ファンなんです。この“ポータルの気持ちになって考える”という全体的な体験は素晴らしいですし、協力プレイになるとさらに刺激的。もし協力してパズルを解くという点に物足りなさを感じるなら、物語のためだけでもプレイする価値があると言いたい。このゲームは僕の小さな脆い心を歪ませてしまったよ。
───『Human Fall Flat』が、『Portal 2』から影響を受けた点はありますか。
『Human Fall Flat』は、『Portal』と『LIMBO』から生まれた子供のようなものなんだ。もともとシングルプレイのパズルゲームとしてデザインし、そこに『LIMBO』の相互作用や『Portal』の3Dパズルを加えていった。とはいえ、創発的な挙動を持つアクティブラグドールを用意したことで、プレイヤーはパズルをぶっ壊したり、パズルを解く代わりにパルクールに興じることになったし、分割画面やオンラインでの協力プレイの要望を寄せてくれたこともあって、『Human Fall Flat』はいま見られるような作品へと形作られていったのです。
『Project Winter』
1373円(33%オフ・Steamストアページ)
『Project Winter』は、5〜8人でのオンラインマルチプレイに対応する人狼系サバイバルゲームだ。プレイヤーは極寒の地にて、食料や物資を確保し、野生動物や自然の脅威にも対処しながらレスキュー隊の到着を待つ。しかしメンバーの中の数人は、共にサバイバルする仲間と思いきや、実はランダムに指定された裏切り者。プレイヤー全員が疑心暗鬼になるなか、生存者は裏切り者を特定し、一方の裏切り者は生存者の脱出を阻止するのだ。本作はSteamレビューでは86%が好評とする「非常に好評」。雪山で生き残ることも求められるため、そうした各行動が人狼プレイに奥深さをもたらしている。
Other Ocean Interactive・Ryan Hale氏
───『Project Winter』は、どういった経緯から生まれたのでしょうか。
『Project Winter』が生まれたきっかけは、2015年にスタジオ内でおこなったゲームジャムでした。その時に設定したお題は「ひとつのアートに命を吹き込む」。そこで本作のために選んだアートは、雪に覆われた森の中に佇む趣のある小屋でした。そこからさまざまなアイデアを試し、プロトタイプ制作を数多く重ねて、現在のバージョンへと変遷していったのです。
個人的に、『Rust』や『DayZ』『Project Zomboid』『Miscreated』、また『Arma』向けModの「Overpoch」や「Wasteland」といったサバイバルゲームが大好きなのですが、同時に「Werewolf」「Dead of Winter」「Coup」「Resistance」など、“秘密の役割”があるボードゲームの大ファンでもあります。そのため私が考える完璧なゲームというと、過酷なサバイバル要素を取り入れつつ、出会った人に対しては撃ち殺すことよりもコミュニケーションを求められる、ソーシャルベースのゲームプレイが存在するものだと言えます。そして私たちは、非対称のチームプレイや先ほど述べた秘密の役割を加えながら、ターン制ではなくリアルタイムでプレイできる形に落とし込んでいきました。これによって、プレイヤーは誰と一緒にプレイするかによって、まったく異なる体験をすることになるのです。
『Project Winter』におけるソーシャルな騙し合い要素を構築する際には、もっとも予想外な方法で裏切りほくそ笑みつつ、誰かの信頼を得るという楽しさを、どのようにして捉え形にして届けるかという点が大きな問題でした。本作はアナログのソーシャル推理ゲームに似てはいますが、それらで見られる典型的なラウンド/ターン制システムに頼りたくなかったということもあります。ありがたいことに、私たちのチームは才能があるだけでなく熱心なボードゲームプレイヤーでもあったため、従来のボードゲームのルールにとらわれない発想で、本作のダイナミックかつリアルタイムなシステムを作ることができたのです。
また、本作の開発においては「Rapid Iterative Prototyping」を取り入れました。これは、ゲームのコンセプトが抱えるもっとも大きなリスクを見出すために、構想したものを迅速かつ繰り返し実装していく開発サイクルのことです。これを正しくおこなえれば、楽しいゲームを非常に速く作ることができます。ゲームデザインの世界において、開発者なら「早く失敗し、楽しさを追い求めよ」という言葉を聞いたことがあると思いますが、ラピッドイテレーションとはつまりそれを表しているのです。
───本作の開発時の裏話として、興味深いエピソードはありますか。
実は、本作の元々のタイトルは『Winter』でした。トラッキングシートにはコードネームとして「Project Winter」と書いていたのですが、ずっと『Winter』としてリリースするつもりだったのです。ただ、「Winter」とGoogle検索しても本作がトップに表示されることはないでしょうし、「Winter Game」と検索したとしても冬季オリンピックがヒットすることになると気がついたため、少し議論をしたのち、コードネームだった『Project Winter』を正式採用することにしました。こちらの方が、本作の世界観に合っているとも言えますね。
もうひとつ面白い裏話として、本作に銃を追加すると決めた時のことについても紹介しましょう。銃器の実装に関するフィードバックを得るためにプレイセッションをおこなっていた際の、リードデザイナーのスリラー体験談です。
「僕が小屋に入ってワイルドベリーを調理していた時のことだけど、その時無線から“あいつがやってきて皆を撃ってるぞ!撃った!また撃った!あいつ…”と慌てた声が聞こえたかと思ったら、突然外から大きな音が4回聞こえたんだ。そして数秒ほど静かになったあと、開発チーム全員が大爆笑。皆は裏切り者は誰だよと笑いながら言い合っていたよ。でも、隅っこに座っていた物腰の柔らかいアートディレクターについては、“あいつは裏切ったりしない”と皆なぜか一致していたんだ」
スタジオの人間が仕事の電話に出られなかったり、業務に集中できなかったり、あるいはまともに会話できないような状況にあると、何か良い方向に向かっていると言えるでしょう。なぜなら、それは開発チームのスタッフたちが、ゲームを巡る言い合いに忙しくしているということですから。
───本作の協力プレイに関して、プレイヤーからは何か面白い反響はありましたか。
皆のプレイに驚かされたことは数え切れません。もっとも印象に残ったプレイでいうと、私たちが作ったメカニクスを思いもしなかった形で利用したものですね。たとえばあるプレイヤーが、燃料の下にベアトラップを設置することを思いつきました。すると、その燃料を見つけて取ろうとしたほかのプレイヤーが罠にかかっていくのです。
別の大きな例としては、本作の世界観を解明しようと時間と労力をつぎ込んだプレイヤーの存在が挙げられます。マップ内には、本作の世界では何が起こっているのかについてちょっとしたヒントを用意してありますが、彼らはそれをもとにしてストーリーを追い求めていったのです。本作のバックストーリーについては、私の頭の中にあります。それを解き明かそうと挑むプレイヤーがいるというのは、やりがいがあったと感じますし、その様子を見るのも楽しいです。
───お気に入りの協力プレイゲームはありますか。また、その理由もお教えください。
それは『Human Fall Flat』だと言わざるを得ないでしょうね。偶発性の高い愉快なゲームで、パズルを解くよりも友人とハチャメチャなプレイをしたくなってしまう。ここ何年かの間で一番笑えたゲームです。
───『Project Winter』が、『Human Fall Flat』から影響を受けた点はありますか。
『Human Fall Flat』が、私たちに影響を与えた要素というのは間違いなくあります。プレイヤー自身の体験を構築したり、それぞれの物語を伝えるためのツールを提供するということは、『Human Fall Flat』においてもっとも重要な部分です。友人とプレイし、笑い、そしてその時のことを後から振り返ったり。これは『Project Winter』にとっても大事な要素だと言えます。私たちは、プレイヤーがゲーム体験を作り上げるために必要なツールと時間を提供するにあたっては、どのようにプレイすべきかをガッチリ固めてしまうことは避けたいと常に考えていました。これはゲームプレイを新鮮にすることにも繋がります。プレイヤーはみな異なるため、グループごとにそれぞれ異なるゲームプレイをおこない、毎回違ったシチュエーションを生み出すことになるのです。