『リーグ・オブ・レジェンド』EU LCSの2大チームに経済的な繋がり、運営が警告と改善要請

『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』の欧米トップリーグ「EU LCS」運営は、9月7日付でチーム「G2 Esports」および「Fnatic」に対し、同一人物による融資を是正するよう求める裁定を公開した。LCS参加規約では、チームのオーナーおよびマネージャーは他のLCSチームへの金銭的関与が禁じられており、これに違反しているという判断だ。

 

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あるチームの共同所有者が別チームの親会社に融資

先月中旬、e-Sportsジャーナリストとして知られるRichard Lewis氏がひとつのレポートを動画で発表した。G2 Esports(以下、G2)の共同所有者のひとりであるJens Hilgers氏が、Fnaticの親会社である「Sanppa ltd」と契約し、融資を行ったという内容だ。Hilgers氏がSanppa社と結んだ契約は、融資金が回収できない場合、氏がFnaticおよび関連会社「Fnatic Gear」の所有権を得るという内容が盛り込まれていた。

LCS運営が9月7日に公開した裁定は、この融資関係がG2およびFnaticの財政を直接結びつけるものではないとしつつも、LCS参加規約内の以下の条項に違反しているとした。

チームオーナー(およびチームマネージャー)は、e-Sportsプロリーグで『LoL』をプレイするチームについて、2チーム以上の所持・管理、直接的もしくは間接的な金銭的関与をしてはならない。(裁定文書より筆者訳)

二つのチームおよびHilgers氏に対してただちに処分が行われるといったことはなく、関係者には警告のみが通達された。しかし関係の整理として、Hilgers氏とFnaticの間に結ばれた貸借契約の破棄、もしくはHilgers氏が持つG2の所有権の放棄、このいずれかを確実に行うことが要請されている。

渦中のHilgers氏は、この裁定とほぼ同時に声明を発表。「10年来の友人であるFnaticオーナーが、周辺機器取扱会社であるFnatic Gearを立ち上げた。私はそのビジネスを援助するために短期的な融資を個人的に行った」とFnatic親会社への融資の経緯を語った。氏は、G2とFnaticは同じプロリーグ内で競い合うチーム同士であり、両チームの運営は完全に独立して行われていたということを強調してもいる。氏は問題を見出したLCS運営と協議を行い、Sanppa社への融資取り消しについて同意したとのこと。「e-Sportsは健全な生態系のもとにのみ発展する、私は時間と資金の投資をもってe-Sports産業の発展を支援し続ける。今回は進んで公的な場で話し合わなかったことを反省している。今後は透明性を高めていくつもりだ」とも氏は表明している。

 

軽い処分の理由を探る

裁定文書内でも言及されているが、今回の件で比較対象となっているのが今年5月に北米のチーム「LA Renegades」と「Team Dragon Knight(TDK)」がチーム所有権についての規定違反などを犯した件に対して下された裁定だ。RenegadesおよびTDKに下された裁定は、オーナーのシーンへの永久関与禁止処分および公認リーグ参加権の売却要請という非常に厳しいものだった。今回の件もチーム所有権にまつわる問題という点は似ているが、5月のものに比べると警告のみという非常に軽い処分になっている。これは一体なぜだろうか。

LCS運営は裁定文書内で「Hilgers氏はFnaticの運営に直接関わったり、Fnatic所属選手と直接関わりあうことがなかった」ことを理由のひとつに挙げている。また「氏がFnaticの所有権を獲得するのは、将来Sanppa社およびFnaticの経営が破綻した結果の副産物である」ことも二つ目の理由として挙げられている。

コミュニティでも「RenegadesとTDKへの処罰は重すぎ、FnaticとG2への処罰は軽すぎるのではないか?」という意見が飛び交った。確かに5月の裁定に見るように、LCS運営は「法を書き、調査と審議を行い、実行する」役割の全てを担っており、その判断は結果的に間違っていることもあるだろう。今回の件では特に、Hilgers氏とLCS運営が互いに建設的な協議の場を持ったということが、軽い処分につながったものと思われる。

RenegadesおよびTDKへの5月の裁定で、1年間の競技チーム関与禁止処分となったMonteCristo氏は、かつて法律事務所で働いた経歴もある人物だ。彼は「関与禁止処分を受ける前に、警告とか、反論するための証拠提示などを受けられていたらと思う」「対象人物によってダブルスタンダードな裁定を下すRiotには本当に吐き気がする。Hilgers氏も(自分と)同様に関与禁止処分になるべきだ」などと今回の裁定を非難している。Hilgers氏は国際的なe-Sportsトーナメント団体「ESL」の創立者のひとりであり、現在はESLの運営に関わっている。ESLはe-Sportsトーナメント「Intel Extreme Masters(IEM)」の主催団体であり、IEMの競技タイトルにはRiot Games公認のもとで『LoL』も含まれているため、Hilgers氏はRiot Gamesと利益を共有している面もあるだろう。

 

健全なe-Sports生態系を目指して

LCS規定では1つの組織が2つ以上のLCSチームを持つことが禁止されており、各地のトップリーグでも同様の規定が存在する。この規定の存在意義は、『LoL』トップリーグの競技としての整合性を保つためにほかならない。だが、行き過ぎた裁定を行えば、LCSチームへの投資・融資に対して興味を抱く投資家はいなくなってしまうだろう。MonteCristo氏の件といい、今回の件といい、境界線をどこに定めるかは非常に難しい。

投資家視点からは「長期的な財源確保のための橋渡しとなる、短期的で小規模なブリッジローンが禁止されれば、チームにとっては融資が受けづらくなる」という指摘もある。折しも先日、「LCSに参加するプロチームはスポンサー制限などによって経営が非常に厳しい」といった問題提起が北米で行われたばかりである。巨大な市場に成長した北米シーンですらプロチームは経営に四苦八苦しているというのに、そこまで大きくないヨーロッパシーンのチームは何をいわんや、である。

MonteCristo氏は「Riotのe-Sportsチームが、ルールとその執行を担う独立した機関であることが最善だろう」とも述べている。透明性の高い第三者機関設置の実現はあるのだろうか。もちろん地域によって違った事情はそれぞれあるだろう。今後、世界各地の『LoL』シーンが健全な生態系を持てるかどうかは、Riot Games次第だ。

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