1人で遊べば探索ホラー、マルチプレイならB級ホラーパニック&パーティーゲーム?『UNDERWARD』をTGS会場で試遊したら、その温度差に思わず笑いがこぼれた
『UNDERWARD』のTGS2025試遊レポをお届けする。

『UNDERWARD』は、デベロッパー兼パブリッシャーの株式会社INTENSEが2025年2月にリリースした、マルチプレイ型廃病院探索ホラーだ。プレイヤーは調査員として地下廃病院を探索し、危険に満ちた地下廃墟から実験体のカプセルを回収する。モンスターやトラップを避けながら各階層を探索し、カプセルをエレベーターまで運搬しながら、深部を目指していくことになる。ソロプレイから最大4人でのオンラインマルチプレイに対応している点も特徴だ。
本作は9月28日まで開催されていた東京ゲームショウ2025に出展しており、Graphブースにて体験することができた。試遊では、本作の探索型ホラーとしての側面はもちろん、その陰に隠されたもう1つの側面まで楽しめたので、その様子をお届けする。
ワンミスが命取りとなる、恐怖のソロプレイ
まずはソロプレイを体験。手探り状態のなか廃病院に1人で放り出されて、あてもなく彷徨うことに。暗い廃屋内は異様な雰囲気に包まれており、ときおり足元を異形のモンスターが駆け抜けていくのはゾッとする。入手した懐中電灯を用いて探索を続けると、怪しげな部屋に置かれた不気味なカプセルを発見。ここからは、この実験体カプセルをスタート地点であるエレベーターまで運搬することが目標となるようだ。

しかし、この運搬パートが曲者。しゃがめば音を立てずに安全に移動できた探索パートとは異なり、大きな音を起こしながら通路のど真ん中を走らなければならないため、大変危険なのだ。ほら、そんなことを言っている間にも……。

突如モンスターに襲われ、死亡してしまった。ソロプレイは残機制となるため復活はできるものの、カプセルはその場に残されてしまう。つまりカプセルを回収するためには、ついさきほど自分を殺したモンスターともう一度対面しなければならないのだ。

現場に戻ると、自分の死体の真上の天井に張り付く不気味なモンスターを発見。なるほど、さっきはこいつに殺されてしまったのか。これを排除しないままカプセルに触ろうとすれば、また同じ末路を迎えるだけだろう。

何か使えるものはないかと周囲を探索すると、吸着式で壁に張り付くトゲのトラップを発見。これを壁に向けて張り付けてみたところ、壁から伸びたトゲを押し付ける形であっさりと退治に成功。その後は何事もなくエレベーターまで帰還、カプセルを回収できた。得点は1500点、第1フロアの目標スコアが1000点であるところを見るになかなかの大物をゲットできたようだ。

ひとまずこれにてソロプレイは終了、ここからはブースにいらっしゃった開発ディレクターの岩田巳義氏にご協力いただいて2人でのマルチプレイを体験することに。そして、一気にゲームの雰囲気は変化することになる。
死の瀬戸際ですら笑えるマルチプレイモード
2人でチュートリアルステージに向かい、本作の基礎を教えてもらう。エレベーターを開けるとすぐ、空のカプセルとご対面。これをチームで運搬することが、チュートリアルの第1ミッションらしい。
先ほどのプレイでは運搬中に倒されてしまったこともあり、カプセル運搬にはあまりいい思い出がないというのが正直なところ。恐る恐るカプセルに触れたその瞬間、突如カメラがこれまでのゆったりとしたペースからは信じられない速度で動き出した。カプセルを先頭に縦に並んだ2体のキャラクターが、猛烈な勢いで運搬を始めたのだ。連結運搬と呼ばれるこの方法は、1人での運搬よりも圧倒的に速く運べるようだ。

そのスピード感と運動会の集団競技のような謎の一体感に一瞬吹き出しそうになるものの、キャラクターたちは真剣に運搬しているのかもしれないと考え直し、笑いを抑え込んで次のエリアへ向かう。我々は真剣にカプセル回収に挑むのだ。同意を求めるように味方の方を振り向いてみると、本作はホラーゲームである以上にパーティーゲームであると確信するに十分な光景が広がっていた。


表情が見えないにも関わらず感情がばっちりと伝わってくる全身全霊のエモート、モザイクの掛かった「自主規制」という名前のアイテム、投擲系武器の基本形がなぜかマグカップなどなど、ツッコミどころを探せばキリがない。チュートリアル後半の薄暗いエリアに入ってからも、トイレ掃除用のラバーカップを手にした味方がチラチラと視界に入ってくるせいでプレイに集中できないといった有様だ。

暗闇に潜んでいた妙にセクシーなナースが潜んでいた。ここまで来て、もうこのゲームがやることなすこと1つ1つにいちいちツッコんでもいられない。ラバーカップやマグカップなど、使えるものを全部使ってナースを倒した先で、実験体が入ったカプセルを発見。目の前にはカプセル、隣には仲間となれば、やることはひとつだろう。

そう、連結運搬である。迷路のように曲がりくねる廃病院の通路を、仲間と共に爆速で走破するのだ。ゆっくりと確実にモンスターやトラップを退けて安全にした道を、とんでもない速度で駆け抜けて帰還する。このゲームのカタルシスは、この連結運搬に集約されていると言っても過言ではない。
ちなみに、一見好き放題に滑っているように見える連結運搬だが、実はそれぞれのプレイヤーの入力がダイレクトに伝わるため操作は意外と繊細。3人、4人とプレイヤーが増えるにつれて、より気を遣う必要が出てくるのだろう。
ソロとマルチの温度差がものすごい、でもどっちも面白い
こうして本作の試遊体験は終了。ソロプレイで遊べば高難易度のホラーアクション、マルチで遊べば異様にノリのいいパーティーゲームという、本作がもつ奇妙な二面性を大いに体験することができた。薄暗く不気味な印象しかない廃病院というモチーフだが、それを協力プレイの力で愉快なパーティーゲームに一変させてしまうゲームデザインには笑いとともに感銘を覚えた。

また今回は体験しきれなかったものの、9月24日には新モード「CHAOS」が追加される大型アップデートも配信されている。「CHAOS」では今回紹介した廃病院に加えて、廃ビル、工場、サイバーパンクと呼ばれる3種類のマップが新登場。各マップには複数のバリエーションがランダムで登場し、最終層に潜むラスボスを倒すことが目的となる。また、落とし穴などの追加要素によりパーティーゲーム感も増しているとのことで、気の置けない友人と楽しむプレイにはうってつけだ。