TGS 2025で遊んだ『マスター・オブ・ピース』は「シナジーでウハウハ」と「一手間違えて地獄」が共存。失敗と成長を楽しんだ試遊レポート

『Master of Piece(マスター・オブ・ピース)』は、デベロッパーのI M GAMEが手がけるデッキ構築型ローグライトゲーム。TGS 2025にて本作を試遊した。そのゲームプレイの感触や魅力をお伝えする。

Master of Piece(マスター・オブ・ピース)』は、デベロッパーのI M GAMEが手がけるデッキ構築型ローグライトゲームだ。I M GAMEは9月25日から28日にかけて開催中の「東京ゲームショウ 2025(以下、TGS)」にて本作を出展中。今回はTGSのブースにて本作を試遊。そのゲームプレイの感触や魅力をお伝えする。

『マスター・オブ・ピース』はボードゲームに影響を受けたという、戦略的ローグライクゲームだ。PC(Steam)向けに2025年リリース予定。本作の世界は黒い霧に包まれ変容し、民は怯えている。プレイヤーは事態の解決策となりうる宝玉を取り戻すため、遠征隊を組織して敵で溢れる戦場へと切り込んでいく。

本作の戦闘は、四角いマス目で構成されたフィールド上にて、傭兵(コマ)を配置するターン制バトルとなっている。どこかボードゲームのピースのように描かれた傭兵たちは、自陣に配置すると敵陣に一歩ずつ進んでいく。敵も同様に敵陣にコマを配置し進軍してくるためそれらを倒し、最後に陣地の奥にある旗、もしくはボスの耐久度を削って破壊すれば勝利だ。なお、自陣の旗が破壊されれば敗北となる。

遠征全体の流れとしては、枝分かれしたマップから行先を選択していく形式。こうしたローグライクゲームではしばしば見られるシステムだ。マップには、敵との戦闘や傭兵の入手/強化、アイテムの入手などさまざまなイベントが起こるポイントが点在。マップの終点にはボスが待ち構えており、これを撃破すれば次のマップへ進んでいく。



「ウハウハからの地獄」、緊張感絶えぬ戦略バトル

そんな本作で、筆者が“旨味”であると感じたのは、あたかもチェスや将棋のような「一進一退の攻防感」、そして「一手間違えればすべてが崩壊する絶望感と緊張感」だ。まず本作の戦闘システム自体は至ってシンプルでとっつきやすい。「アクションポイントを消費して自陣にコマを配置する」「配置したコマは敵陣に前進する」「アクションポイントを支払えばコマの移動もできる」といったルールとなっている。しかし、敵味方のコマは3種類のステータスと「特性」をもっており、これが本作の戦いをエキサイティングにしている。

コマのもつ3種類のステータスは「攻撃力」「HP」「速度」。コマ同士が衝突すれば、速度の高い方から攻撃をおこない、速度が同じであればサイコロを振る要領で出目の高い方が先攻となる。基本的には攻撃力と同値だけHPにダメージが通り、HPがなくなればコマは敗退しそのバトル内では使えなくなってしまう。つまり、たとえどんなに攻撃力が高くとも、速度の優れた敵のコマに先手をとられ、一撃で倒されてしまえば、コマは何も戦果を残せず消えていく。そうした損失を避けつつ、できるだけ効率よく戦力を送り込むことが勝利の要となるわけだ。

「どのコマをどこに配置するのが得か」と熟考し、お互いの戦力を削り合う一進一退の攻防が繰り広げられる中で、特性が戦略を大きく広げることになる。本作には「攻撃を受けて生存すると攻撃力+1」「敵を倒すとHPが全回復」といった特性が用意されており、各コマが限られた数の特性を入手時からもっていたり、マップ内のイベントで選択して付与したりできる。

そして、特性の組み合わせによっては「生存すれば攻撃力+1、しかも毎ターン一定量回復する」といったシナジーが生じるわけだ。こうした能力を得たコマは適切に運用すれば、出てくる敵を一撃で破壊し、そのたびに際限なく攻撃力を高めていくような一騎当千のコマに成長しうる。また、より幅広いパッシブ効果を与える遺物のなかには、そうした特性とさらにシナジーを生じさせるものもある。効果を吟味しうまく運用して思惑通りに戦闘が運んだ際には「ウハウハ」といった気分で、知将になったかのような喜びを感じられる。



「間違えた!」の悔しさと成長の喜び

一方の敵も、さまざまな特性をもつコマでプレイヤーの頭を悩ませてくる。たとえば一例として「同じ列のもっとも攻撃力の高いコマと同等の攻撃力を得る」といった特性が登場。つまり、前述のような攻撃力を高めすぎたコマの配置を一手誤れば、よくて相打ち、悪くすれば自陣が一撃で敗北し破壊を喫することに。

また、ボスのもつ特殊能力の中にも、そうした迂闊な一手を厳しく咎めて敗北に追いやってくるものが見られた。試遊中、実際にそうしたミスを犯し敗北した筆者は、父親と将棋で対局中に飛車の動かし方を一手間違えて敗れ「もう失敗しない、次こそは……!」と歯噛みした悔しさと興奮を思い起こしていた。また、「どの特性をどのコマの特性と組み合わせるか」といった選択もかなり重みがあり、特性選択後に「あっちにすればよかった!」と天を仰ぐこともしばしばであった。2手、3手、あるいはその先を見越して、イベントでの選択から慎重に手を打っていく必要があるわけだ。

なお特性のほかにも、コマに特殊な性能を与える「噂」や、使い切りながらも「敵全体のHPを1にする」といった強烈な効果を発揮する「魔導書」など、ほかにも戦闘に寄与する要素が存在し戦略を深めている。

「上手くいっていたのに、一手間違えると地獄」といったゲームデザインは、一辺倒のゲームプレイに陥るのを回避し戦闘の緊張感を保っているほか、「これを失敗したから、次はこうしよう」という失敗・学習・再挑戦のループの形成にも成功している。また、プレイヤー自身が学習・成長し、痛い目にあわされた戦局にリベンジして打破していく楽しさは、ローグライクの本質的な魅力を体現できているように感じられた。

なお、今回TGSにて試遊できたのは、現在Steamでも配信されている無料デモ版『マスター・オブ・ピース:プロローグ』と同様のビルドだったようだ。本作が気になる方は、Steamストアページより遊ぶことができる。なお、こちらはすでに67件のSteamユーザーレビューを集め、うち95%が好評とする「非常に好評」ステータスとなっている。そして『マスター・オブ・ピース』はTGS 2025、ホール11・E45ブースにて出展中。お時間のある方は、I M GAMEのブースにぜひ一度訪れてみてほしい。

TGS・I M GAMEブース。本作キービジュアルの大きな垂れ幕が出迎えてくれた。景品がもらえるくじ引きなども実施している様子だった。

『Master of Piece(マスター・オブ・ピース)』はPC(Steam)向けに2025年リリース予定。無料デモ版の『マスター・オブ・ピース:プロローグ』は現在配信中だ。

Sayoko Narita
Sayoko Narita

貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。

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