最大4人対戦・物理演算パズルアクション『TopplePOP』は遊びやすいが奥も深い。『ぷよぷよ』と『スイカゲーム』を“同時に”遊んでいるような、奇妙な感覚を楽しんだ試遊体験
本作『TopplePOP: Bungee Blockbusters』は今年のSOWNにて、ファイナリストに選ばれた作品のひとつ。惜しくも受賞は逃したものの、応募された1000本以上の作品のなかでも高い評価を受けたわけだ。

東京ゲームショウ(以下、TGS)では例年「センス・オブ・ワンダーナイト(SOWN)」というコンテストがおこなわれている。元SIEの吉田修平氏など業界人たちが審査員を務め、応募されたインディーゲームのなかから、特に創造的で優れた作品を表彰するイベントだ。今年は1000件以上の応募があったそうで、その中から8本のタイトルがファイナリストとして厳選。9月26日のTGS当日に最終プレゼンテーションがおこなわれた後、アワード受賞のタイトルが発表された。
本作『TopplePOP: Bungee Blockbusters』(以下、TopplePOP)は今年のSOWNにて、ファイナリストに選ばれた作品のひとつ。惜しくも受賞は逃したものの、応募された1000本以上の作品のなかでも高い評価を受けたわけだ。そんな本作を今回TGS会場にて試遊してきたため、ゲームプレイの特徴や印象についてお伝えする。

まずは本作の概要について説明しておこう。『TopplePOP』は最大4人対戦対応の、落ちものパズルゲームだ。現在PC(Steam)向けに早期アクセス配信中で、日本語表示に対応。Nintendo Switch向けにも2026年にリリース予定である。
さっそく対戦
試遊ではスタッフの人にルールを教えてもらいながら、2人対戦をこなすことになった。画面には開始時点でブロックが多数積まれており、下の方には顔のついたブロックがいくつか存在している。顔つきブロックのなかには仲間が閉じ込められており、ブロックを消せば助け出すことができるという設定なのだとか。ゲームとしては、すべての顔つきブロックを先に消したプレイヤーが勝者となるという。

ブロックは同じ色のものを4つ繋げると消せるというルールだ。実際にゲームを始めると、バンジー(ゴム紐)にぶら下がった動物を操作して画面を降りていき、ブロックを置いていくことに。落ちものパズルゲームとしてはベーシックなルールのためやることはわかりやすく、ほとんど説明なしでスムーズに遊び始められた。
ふわふわ物理演算に翻弄される
ブロックは勝手に落ちていくようなことはなく、バンジーにより上下左右に移動も可能。自分のペースでブロックの置き場所を考えられため、リアルタイムで動き続けるタイプのゲームより遊びやすい。ただバンジーが伸び縮みするせいで動きがふわふわとしており、ブロックを狙ったところに持っていくのが微妙に難しい。独特の動きに苦戦しつつ、それでも同じ色のブロックを集めて消していく。

しばらく積んでいるが、対戦相手の人の方が進行が早そうだ。スタッフさんに助言を求めると、本作はブロックを下まで運ぶだけでなく、上から落としたり、あるいは投げたりすることもできると教えてくれた。実際に試してみると、なるほどバンジーで下まで降りるより、落としたり投げたりした方がはるかに早くブロックを積むことができる。ただ本作のブロックには物理演算が働いており、勢いよく投げ込んだせいで、予想外の方向に跳ねていってしまうことも。ハプニング続出で、扱いはちょっと難しい。
跳ねまわるブロックに翻弄されながらも、投げ込み戦術が功を奏し、目標のブロックを先に消すことに成功。初戦を勝利することができた。次はステージを変え、さらに対戦を続けることに。スタッフさんの説明によると、本作にはゲームモードがたくさん用意されているとのこと。今回の試遊では体験できなかったが、2人対戦や4人対戦のほかにチーム戦モードなどもあり、粘着ブロックや氷ブロックなど変わった性質のブロックが登場するステージも存在。バラエティあるプレイが楽しめるのだという。

連鎖とお邪魔ブロックもあり
次の試合でも先ほどのプレイで得た要領で、テンポよくブロックを投げ入れて行く。順調にブロックを消し、目標のブロックに迫っていくが、ここで突然、真っ黒なブロックが複数降ってくる。スタッフさんに訊いてみると、ブロックを消す際に連鎖させると、対戦相手の画面にお邪魔ブロックを送れるのだという。お邪魔ブロックは通常ブロックが消える際に隣接していると、まとめて消せるそうだ。

本作は対戦型パズルゲーム。お邪魔要素もしっかり用意されているのだ。対抗してこちらも連鎖を作ろうとしてみるが、投げ込み戦術ではブロックが跳ねまわるため、意図的に連鎖させるのが難しい。偶然連鎖になることはあるが、しっかりねらって連鎖できる形を作るのは筆者には無理だった。連鎖させたいならバンジーを使って正確にブロックを組む必要がありそうで、このあたりに本作の駆け引きがあるようだ。
テクニックいろいろ発見
結局連鎖を組むのはあきらめて、ブロックの投げ込みを続けて行くことにした。相手がお邪魔ブロックを送ってきても、とにかく消し続ければスピード勝負で勝てるというシンプルな作戦だ。ブロックの跳ね返りや絶妙なタイミングで降ってくるお邪魔ブロックに苦労しながらプレイを続けると、そのうちやっかいに思っていた跳ね返りにもメリットがあることに気がついた。
本作では4つのブロックが揃ったあと、実際に消えるまでにタイムラグがある。その間もブロックは物理演算に従って動き続けるが、4つのブロックが離れてしまったからといって消滅がキャンセルされたりはしない。逆に、消滅猶予中に触れたお邪魔ブロックはまとめて消してくれるのだ。

つまりどういうことかというと、たとえば同じ色のブロックが3つ揃っているところに、思いきりブロックをぶつける。すると一瞬だけ4つのブロックが揃うため、消滅が確定。その後ブロックが跳ねまわって、広い範囲のお邪魔ブロックをまとめて消せるのだ。このテクニックに気づいたおかげでブロックを消す効率が上がり、連勝を飾ることができた。
その後も何度か対戦を続けるうちに、細かなテクニックをいろいろと発見する。たとえば投げ落としだとどうしても直線上の動きでしかブロックを配置できないが、バンジーだと動きに自由が利く。そのため、たとえば「コの字」にブロックが積まれてしまっているような状況でも、邪魔なブロックをすり抜けて下の段にブロックを積めるのである。そうして対戦を繰り返し、勝ったり負けたりしているうちに、あっという間に時間が経過。試遊を終えることになった。

とっつきやすく奥も深い
以上が試遊体験の感想である。改めて印象をまとめると、まず本作は基本ルールがわかりやすい。「同じ色のブロックが4つ揃うと消える」ということさえ覚えていれば遊べるため、初見でもすぐにプレイできる作品だ。ただ物理演算で跳ねまわるブロックの挙動は予想が難しく、ハプニングも頻発。試遊中に「ああ、そっちじゃない!」と筆者が思わず叫んで、笑いが生まれたシーンもあった。試遊中は終始和やかなムードで、パーティーゲーム的に楽しく遊べるゲームだと感じた。
一方、バンジーで降りて正確に置くか、パワフルに投げ入れるかといった戦略の駆け引きは悩ましい。あえて他の作品で例えると、『ぷよぷよ』と『スイカゲーム』を同時に遊んでいるような、独特のプレイ感覚の作品だった。SOWNではその辺りの戦略性や独自性が評価され、ファイナリストに選ばれたのだろう。今回の短い試遊時間でもいろいろとテクニックが見つかったため、かなり奥も深そうだ。『TopplePOP』はゆるめにも真剣にも遊べる、懐の深いパズルゲームだった。
『TopplePOP: Bungee Blockbusters』はPC(Steam)向けに早期アクセス配信中だ。Nintendo Switch向けにも2026年にリリース予定。日本語表示にも対応している。