『朧村正怪奇譚』先行プレイ感想。ヴァニラウェア和風人気作がリマスター……かと思いきや手触りごと別物に、“快斬”を可能にした手直し要素たくさん

一見、純粋なHDリマスター版にも思える本作だが、実際に触れてみると、その言葉で一括りにするのは難しい内容だった。

Googleでお気に入り登録

マーベラスは6月9日、和風アクションRPG『朧村正怪奇譚』を発表した。2027年2月4日の発売を予定しており、対応プラットフォームはPS5/Nintendo Switch 2/Nintendo Switch/PC(Steam)。価格は通常版がパッケージ・ダウンロードともに税込6578円、PS5/Nintendo Switch 2/Nintendo Switch向けのパッケージ限定版が税込8778円である。

本作は2009年にWii向けに発売され、4年後の2013年にはPS Vita向けにも移植された『朧村正』をベースに、グラフィックの高解像度化とゲームシステムの改良、新要素の追加を図ったタイトルとなる。制作は近年では、『十三機兵防衛圏』『ユニコーンオーバーロード』などで知られるヴァニラウェアが手がけている。

オリジナルの『朧村正』は「絢爛絵巻和風アクションRPG」を公称とする作品で、妖し(あやか )が跳梁跋扈する元禄時代の日本を舞台に、抜け忍の青年「鬼助」と、美濃国鳴神藩の姫君「百姫」が、妖刀をめぐる因縁と戦いに巻き込まれていく物語を描いた内容だ。ゲーム本編は横スクロールで進行し、ブロック単位で連結された日本各地の地域(エリア)およびステージマップを巡りながら、敵との戦闘やストーリーのイベントをこなしていくかたちだ。

戦闘は3本の刀とそれぞれに秘められた「奥義」、そして「受け流し」をはじめとする技を駆使して立ち回るというもの。操作はシンプルながらも、状況に応じた刀の使い分けと立ち回りが試される、スピーディで手に汗握る作りを持ち味としている。ヴァニラウェアのお家芸たる滑らかなキャラクターアニメーションと、浮世絵を意識した背景グラフィックも見所のひとつ。目まぐるしくも艶やかなその映像美は、思わずそちらに関心が向いて見とれてしまうほどの仕上がりだ。

だが、そんな『朧村正』はWii、PS Vitaという供給されたプラットフォームの事情も重なってか、当時から「知る人ぞ知る名作」とのイメージが付きまとう。近年においては、知名度も相当に低くなっていることだろう。なにせWii版は2026年現在から数えて17年前、PS Vita版も13年前の作品である。後者はダウンロード版がまだ販売中とは言え、遊ぶには既に生産を終えたPS Vita本体が必須と、プレイハードルは高い。くわえて2027年7月にはPS Vita向けPlayStation Storeのサービス終了で、購入できなくなる未来が確約されている。

そうも厳しい状況に置かれていた本作が、このたびの『朧村正怪奇譚』によって命脈を繋ぎ、現行のプラットフォームにて再起する。

筆者はそんな本作をマーベラス本社にて先行体験する機会に恵まれた。一見、純粋なHDリマスター版にも思える本作だが、実際に触れてみると、その言葉で一括りにするのは難しい内容だった。細かな部分がオリジナル版から変更されていて、同じようで明らかに違う手触りになっていたからである。

本作の特徴をひと言で表すなら“より快斬的になった『朧村正』”だ。どう快斬的になったのか、その詳細をレポートしていきたい。

操作系からシステム周り、さらにはマップ構成までも改良が図られ、さらに洗練された仕上がりに

まずゲームの骨格はオリジナルの『朧村正』から大きく変わっていない。横スクロールのアクションRPGであること、3本の刀を装備し、それぞれに秘められた剣技と「受け流し」などのテクニックを駆使して敵に応じる戦闘は変わらず受け継がれている。

反面、ストーリーはPS Vita版向けの有料ダウンロードコンテンツとして配信された4つの新規エピソードがあらかじめ実装された構造に。それもあって全体のボリュームは大きく拡張されている。

そのうえでゲームプレイ全般とシステム周りには、細部に渡って大きな改良が加えられている。特に象徴的なのが操作系だ。Wii版、PS Vita版では、やや特殊な入力を要求された回避のアクションがワンボタンで繰り出せるようになった。

今回の先行体験はPC(Steam)版であったことから、使用したのはXboxコントローラだったのだが、その配置で言うところのRBボタンに回避が割り当てられている。これにより敵の背後へ回り込む、攻撃を紙一重のタイミングで避けるといった動きが直感的に行えるようになった。

Wii版ではコントロールスティックの上入力という、対戦格闘ゲームを思わせる操作を要求されたジャンプもAボタンひとつで行える。この操作変更自体はPS Vita版で実施されたものだが、本作においても引き継がれた格好だ。

回復を始めとする消費系のアイテム類も方向キーの上下左右4ヶ所にひとつずつセットできるようになり、指定の方向を押すだけで対象のアイテムを使える。Wii版とPS Vita版は、使いたいアイテムに切り替える操作が必要だったため、即座に使えるようになったことで快適性は著しく向上している。

逆に「受け流し」「はじき返し」の操作はWii版、PS Vita版と同じ。対象のボタンを長押し、あるいは短押しで出る仕組みだ。ただ、元々そこまでクセの強い操作ではなかったことから、変更なしによる弊害はほとんどない。何より回避がワンボタンで出せるようになったのが地味ながらも非常に大きく、脳内に思い描いた通りの立ち回りができるのが痛快。慣れきってしまうと、オリジナル版に戻れなくなる可能性すら感じ取れるものに進化している。

システム関連では「奥義」にも大きな変更が入った。Wii版とPS Vita版の奥義は刀固有のものだったが、本作はそうではなくなり、地上と空中それぞれ3ヶ所に好きな奥義をセットできるようになった。そのため、別の刀に割り当てられた奥義も繰り出せる。複数の奥義を出して敵に大ダメージを与えるという、攻撃的な戦術が可能になっているのである。

奥義自体は個別に修 得する必要があり、本作ではそのための専用画面も新設されている。修 得においては、回復アイテムを使った時や料理(食事イベント)を食べた時に得られる「生気」を消費する仕組みだ。オリジナル版では、新しい刀を生成する「鍛冶」に「魂」と生気の両方を使っていたが、本作では鍛冶には魂を、奥義の修得と強化には生気を使う仕組みに改められた。生気の使い道が奥義に集約されたことで、料理(食事イベント)をこなす意味合いもより明確になっている。

修 得した奥義は、続けて生気を与えることでさらなる強化も図れる。そのため、お気に入りの奥義に重点的に投資し、それによって出来上がった強化版で暴れまわる、みたいな遊び方もできそうだ。奥義自体は収集要素の一面も兼ねていることから、オリジナル版よりもコンプリートの楽しみが増えているというのも見所と言えるだろう。

一連の変更点に匹敵する、さらなる見所としてステージマップの刷新もある。単刀直入に言うと、構造そのものが変わっている。

Wii版、PS Vita版の頃のマップは一本道の構造が大半で、時々小部屋が混ざったりする程度の最小限の構成だった。本作では、目的地へのルート以外にも適度にステージが枝分かれしており、向かった先に宝があるといった探索し甲斐のあるマップ構成となっている。

当日の試遊では、本来ならエリア最西端に設けられていた出入り口が、最東端に移動しているというWii版、PS Vita版とは明確に違う構造の変化も確認している。ほかにも一部に新規のショートカットを設置し、移動の手間を軽減させる工夫も施されていたりと、全体的にかなり細かな部分に手が入っており、かつてオリジナル版のいずれかを経験済みのプレイヤーでも新鮮な気持ちで楽しめそうな印象だ。特に新規ショートカットの設置、変化を感じる構造には人によっては「これを待っていた!」という思いが噴出するかもしれない。

以上のように、根っこはオリジナルの『朧村正』でありながら、システム、ゲームプレイ全般、さらにはマップデザインに至るまで大きな変更が施されている。「HDリマスター版の言葉で一括りにするのは難しい」というのはまさにこのことで、オリジナル版と似ているようで、まったく異なる手触りの仕上がりになっているのだ。

より快斬的で、攻略の幅も広げる進化

こうした本作特有の改良が図られたことによって、その手触りはどう変わったのか? ひとことでまとめるならば「非常に快斬的になった」である。オリジナル版においても、戦闘ではそれなりに激しく、攻撃的に立ち回ることはできたが、本作はそれ以上、かつ快適に攻めて……否、斬り倒していける。

その特色を最も引き出しているのが、自由にセット可能になった「奥義」の存在だ。奥義は元々、通常の斬撃よりも強力な一撃を繰り出せる技であるが、それを地上と空中それぞれ3ヶ所にセットでき、刀1本ごとに割り当てられた縛りから解放された結果、まさに疾風迅雷のごとき攻めができるようになった。

敵の集団を豪快にねじ伏せ、時に致命的な一撃で形成を逆転する。その爽快感と状況を覆せた時の達成感は、誇張抜きにオリジナル版を越えていたと言い切れる。同時に上位難易度への挑戦に対する、心理的なハードルを下げる要素として機能している。

本作にも難易度選択機能があり、試遊では「無双」「修羅」とさらにもう1種の計3種類を選べた。筆者は受け流しを始めとするテクニックの積極的な活用が試される「修羅」を選び、時間の限りプレイしたのだが、体感的にオリジナル版よりも取り組みやすくなった印象を抱いた。複数の奥義を自由に出せるようになったことで、多少ながら力押しが通る余地が生まれていたのが大きい。

回避がワンボタンで出せるようになったのもそのひとつだ。直感的に敵の背後へと回れるのに加えて、相手からの攻撃もほぼ思い描いた通りのタイミングで避けることができるため、だいぶ被ダメージを抑え込めるようになっている。特にボス戦はこの恩恵が最も強く現れていて、アクションが上手く繰り出せず、不必要な被害を受けるといったストレスを感じることなく、駆け引きに集中できた。

もっとも終始、一方的な力押しで通ることはなく、攻撃に応じた受け流しとはじき返しを決めなければ手酷いダメージを負いかねない。実際に試遊でも、安易に力で押しすぎた結果、体力がゼロ寸前に陥る瞬間がそこそこあった。その辺りは「修羅」の難易度ならではである。しかし、本作は奥義を自由にセット可能になったことで、攻略の幅は大きく広がっている。オリジナル版同様、レベルアップを図ってプレイヤーを強くする攻略法も用意されているため、それを活用するのもひとつの選択肢だ。

こうした遊びやすさ、取り組みやすさの向上にも一役買っており、全体的に難易度の柔軟性が高まった感じだ。これもあって、筆者個人としては本作は最も易しく、手軽に爽快感が味わえる「無双」ではなく「修羅」を初回プレイ時にオススメしたいところだ。特にオリジナル版の経験者とアクションゲーム好きのプレイヤーは、ぜひこちらを選んでみていただきたい。派手な技で豪快に攻め込む爽快感と状況を打破する達成感、そして必ずしも力押しでゴリゴリとは行けない絶妙な塩梅に唸るはずだ。

逆に未経験者、アクションゲームに苦手意識のある人は迷わず「無双」を選んで、派手な技を駆使して敵の集団や大きなボスを徹底的に叩き斬る爽快感に浸るのもよし。本作は絢爛豪華なアクションと演出をバックに華麗に敵を倒す気持ちよさも売りのひとつ。それを各種改良によってより手軽に楽しめるようになった本作は、その魅力を知るにうってつけの一本と言えるだろう。

奥義の自由な付け替えに関しては、最速クリアのやり込みにも魅力を与えそうな可能性を感じられたのも印象的だ。『朧村正』はもともとRTAも行われているタイトルだが、より快斬的な攻めが可能になったことで、さらに高度で、かつ絢爛舞踏なプレイが生まれる余地がある。場合によっては、もはや人間を辞めたに等しい動きもできる余地もありそうで、製品版発売後に(文字通りの)妖しが出てくることになるのか……怖ろしくも興味深い。

クリア時間とは無関係に、より効果的で絶大な一撃を出すための組み合わせとコンボを探し出すという遊び方もでき、ほかのプレイヤーと情報交換したり、時には動画を撮影してその模様をSNSで共有するといったことも楽しめそうではある。

試遊時間の都合もあり、地上と空中の3ヶ所すべてに奥義をセットした立ち回りまでは試せなかったが、それでも、十分に快斬的な進化を遂げた『朧村正』の新しい姿は感じ取れた。すべてセットしたとき、どんな戦闘が繰り広げられるのか、組み合わせ次第で強烈なコンボが生まれる余地はあるのか。製品版をプレイして可能性を探りたい気持ちは、いまや強まるばかりである。

同時にこの刷新によって、本作の剣戟バトルにはさらなる奥行きが広がり、アクションゲームとしての遊び応えとやり込み甲斐が底上げされているのも見逃せないところだ。前述の繰り返しになるが、今回はかなりアクションゲーム好きの心をくすぐる要素のほか、バランス面でも意欲的な工夫が凝らされているので、興味があればぜひ試してみてほしいところである。

ただ、気になる点もある。攻めやすくなった一方、今回の試遊ではボスの攻撃パターンが刷新されていたり、被ダメージが増大していたりする様子は見受けられなかった。後半に登場するボスは違うのかもしれないが、こちらの手数が増えすぎたあまり、難易度面での物足りなさを生みかねない。なんらかの変化があることを期待したいところだ。

「知る人ぞ知る名作」がさらに飛躍するか

なお、今回の試遊で体験できたのはオリジナルのWii版から登場している百姫、鬼助のエピソードのみ。PS Vita版のDLCで追加された4名のキャラクターのエピソードは体験できなかった。そのため、ここまで言及した内容はすべて百姫と鬼助のエピソードに沿ったものになる。

DLCキャラクターのエピソードは、それぞれアクションやシステムに百姫と鬼助のエピソードとの明確な違いがあるだけに、本作でどう変わったのかをお伝えできないのはもどかしい。こればかりは実際に製品版を買って確かめるしか手はなさそうだ。欲を言えば、体験版を将来的に配信してくれればと思うが、その辺は期待半分に留めておくとする。

部分的な体験だったとはいえ、オリジナル版と同じでありながら手触りが違うという作りは非常に興味深く、何より操作性が大幅に向上していたことは、若干のクセが残るWii版を経験したプレイヤーとして嬉しかった。同じく当時からのプレイヤーとして喜ばしいのが、マップ構造の刷新とショートカットの追加。オリジナル版当時の移動の煩わしさが大きく軽減され、戦闘とストーリーをより重点的に楽しめる可能性を感じた。

一方で移動の手間が減ったことは、百姫と鬼助それぞれのボリュームから無駄な部分が削られたことも意味するため、ボリューム的にやや短さを感じやすくなっているのではという懸念もある。参考程度にオリジナル版当時はそれぞれ10時間前後の規模だったが、それがどう変化しているかは今回は確認できずに終わった刷新されたマップの構造に左右されそうだ。

実は筆者自身、『朧村正』に触れるのは割と久しぶりだったのだが……比較的簡単な操作で華麗な剣戟アクションが楽しめ、複数の敵を一網打尽にする爽快感は、初代Wii版が発売された2009年から少しも色褪せておらず、改めて「知る人ぞ知る名作」に収まってしまっているのが勿体ないなと思ってしまった。絵巻風のデザインが異彩を放つグラフィックも同様で、手描きグラフィックにこだわるヴァニラウェアの強みと唯一無二と言っても過言ではない魅力にも、同様の思いを抱いた。

そんな秘めたる見所を持った『朧村正』がより遊びやすく、アクション全般の攻撃性を高めて現代のプラットフォームに帰ってくる。しかも、ヴァニラウェア作品としては史上初のPCプラットフォーム向けにも展開されることで、環境によってはコンシューマー機以上の映像美を楽しめるという強力なセールスポイントまで備わる。これは紛れもなく「知る人ぞ知る名作」からの飛躍になるかもしれない。

おまけに本作にはPS Vita版をベースにした旧バージョンこと「クラシックモード」も入っている。かつてのオリジナル版がどういった作りをしていたかまで体験できてしまうのは、もはや至れり尽くせりの極みだ。

すでにオリジナル版をやり尽くしたプレイヤーはもちろん、『十三機兵防衛圏』や『ユニコーンオーバーロード』などを通じてヴァニラウェアを知った新規のファンにも、この知る人ぞ知る和風アクションRPGの魅力を実感してほしい。17年前の作品とは言え、その魅力は色あせない。むしろ、そんなにも前の作品であることを思わせない作りにいい意味で戸惑うはずだ。かつてWii版で触れた当時から、「もう少し広まっても……」と感じていたひとりの経験者プレイヤーとしても、製品版の発売と全編が遊べるその瞬間が待ち遠しい。

『朧村正怪奇譚』は、PS5/Nintendo Switch 2/Nintendo Switch/PC(Steam)向けに2027年2月4日発売予定だ。

この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

Googleでお気に入り登録
シェループ
シェループ

2D&3Dアクションと手ごわいストラテジーが大好物の人。積みゲーが一向に減っていかない呪いに悩まされています。

記事本文: 59