『メトロイド ドレッド』開発元MercurySteam新作は「消耗する武器を自分で鍛えて戦う」鍛冶屋系3Dアクション。鍛冶もバトルもどっちもめっちゃ大事
無心に金属を打ち鍛え武器を作り、戦闘では泥臭く武器を振るう主人公「アラン・デ・リラ」の“戦う鍛冶屋”としての魅力。

パブリッシャーの505 GamesとデベロッパーのMercurySteamは5月23日、『Blades of Fire』をPC(Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S向けに発売する。今回弊誌は、序盤部分2~3時間程度を先行してプレイできる機会に恵まれた。そこで筆者を惹き付けたのは、無心に金属を打ち鍛え武器を作り、戦闘では泥臭く武器を振るう主人公「アラン・デ・リラ」の“戦う鍛冶屋”としての魅力だった。
『Blades of Fire』は、自分だけの武器を作る“鍛造”システムに重きを置いたアクションアドベンチャーゲームだ。本作には7種類の武器と30種類以上のフォージ・スクロールが登場し、攻撃属性や重量、長さなどが異なる個性豊かな武器を作成できる。戦闘においては、状況や相手に合わせてそれらの中から適切なものを選んでいくことになる。
本作の開発元であるMercurySteamは古くは『キャッスルヴァニア ロード オブ シャドウ』シリーズを開発し、最近では『メトロイド ドレッド』シリーズの開発を手がけた。メトロイドヴァニアゲームや3D探索アクションの開発には定評があり、その点でも期待を集めているというわけだ。

本作の舞台となる世界では、もともと鋼が神聖視されていた。だが、黒魔術に堕ちた女王ネレアが鋼を石へと変える魔法を唱えたことにより、世界から鋼は消失。聖なる鉄で作られた武器を振るうネレアの軍隊は無敵となり、襲撃や略奪といった暴虐の限りを尽くしていた。この世界で唯一鋼を鍛造できる「フォージャー・ハンマー」を手にした主人公のアランは自らの武器を鍛え、学者の卵である少年「アドソ・デ・ゼルク」と共に女王の軍団に立ち向かっていくこととなる。
自ら武器を鍛え、自らが戦う
本作には本作には「斬撃」「刺突」「打撃」の3つの攻撃属性が存在し、敵ごとに有効な戦い方や属性が異なる。たとえば全身を鎧で覆った敵には打撃がよく通り、逆に衝撃に強いエレメンタル系のモンスターは打撃攻撃を無効化する、などといった具合だ。

さらに本作の武器には耐久値が設定されており、使い続けているといずれ壊れてしまう。さまざまな状況に対応するため、多種多様な武器をあらかじめ用意しておくことは本作を攻略する上でもっとも重要なことだと言えるだろう。
武器の鍛造は、ファストトラベルポイントからいつでも可能だ。鋼や木材といった鍛造の材料は主に敵を倒すことで入手が可能で、普通にゲームを進めていれば鍛造に困らないだけの材料を集めることができるだろう。

鍛造の第一歩は、大剣、槍、短剣などの大まかな7つのカテゴリーの中から、鍛造したいスクロール・フォージを選択することだ。たとえば「長柄」カテゴリーには主にハンマー系の武器が属しており、純粋な破壊力に優れる「ヒソップ」や、攻撃部位を切り替えることにより打撃と刺突の2つの属性を使い分けられる「ウォーハンマー」などのスクロール・フォージが存在する。なおフォージ・スクロールは、それぞれに対応する武器をもった敵を一定数倒すことで開放されていく。冒険を進めるごとに、作れる武器も増えていくという寸法だ。

フォージ・スクロールの選択の後は、使う材料を変更することで各種ステータスをカスタマイズすることができる。カスタマイズできる項目はダメージ、貫通力などの攻撃性能意外にも、ガードやパリィといった防御性能も存在し、多岐にわたる。こだわりだすとキリがないが、序盤は入手できる材料も限られているため、とりあえずデフォルトの設定で武器を作ってしまってOKだ。

使用する材料が決まれば、いよいよ鍛造が始まる。溶鉱炉で熱された鋼を打ち鍛えることで暗色の棒を整え、武器の完成形である白いラインに近づけていくことが目標だ。一見するとシンプルだが、あるポイントを打ち付けてへこませると反対側が盛り上がってしまう関係で、棒を平らにならすだけでも一苦労。加えてハンマーを打てる回数には20回の制限が設けられているため、一筋縄ではいかない。

打つ強さや角度の調整や、打てる回数を5回分消費して若干ながら棒のばらつきをならせる「加熱」を上手く使って最高の品質を目指そう。何度か試行錯誤をして得た感触としては、中央からではなく左右のどちらかから白いラインに近づけるようにすると上手くいくことが多かった。

品質の高い武器は、戦闘において頼もしい相棒となる。鍛造で獲得した星を1つ消費することで武器の耐久値を回復させることができるため、性能のいい武器ほど高い品質で鍛造することが重要となる。
武器の鍛造も戦闘も、自分1人でこなすことになる本作。無口で無骨だがどこか陰のあるアランは、まさにRPGの鍛冶屋がそのまま主人公になったかのようだ。「剣と魔法」系の王道ファンタジー世界である本作にあって、悪党や魔物に対してあくまで自分の身と鍛えた武器のみで立ち向かっていくのも心地が良い。

謎多き主人公と世界観
アランの際立ったキャラクター性は、シナリオでも独特の存在感を放っている。アランとアドソの会話をメインに進行していく序盤のストーリーでは、物静かでミステリアスなタフガイであるアランと、頭と口が回るお調子者だがややビビりなアドソのバディもの的なやりとりが楽しめた。また、アドソの視点から描かれるモンスター図鑑やキャラクター解説は世界観の理解を助けてくれるとともにちょっとした笑いどころもちりばめられており、ついつい読み込んでしまった。

世界に7つしか存在しないフォージャー・ハンマーがなぜアランに託されたのか、なぜアランは世間から逃れ隠遁者のような生活を送っていたのかといった謎も、今後のストーリーで明かされることになるのだろう。
注意が必要な点として、試遊したバージョンではキーコンフィグが行えなかった。キーボード操作の場合、回避がControlキーとAltキーに割り当てられており、慣れていない場合はやや戸惑う操作体系だろう。製品版はこうした痒いところに手が届くようだと嬉しい。
“戦う鍛冶屋”気分が楽しめる一作
武器が消耗するシステムには個人的にあまりいい思い出がなかったため、本作のコンセプトを聞いた段階では若干の気後れを感じていた。だが、実際にはゲームを進めていくだけで鍛造用の材料が豊富に手に入る上、ファストトラベルポイントからいつでも鍛造がおこなえるため、心配していた「武器がなくなって戦えない」といったような状況には陥らなかった。
それどころか状況にあわせて武器を選択することに面白さを感じるようになると、使い分けられないほどの武器を作ってしまうこともしばしばあるほどだ。鍛造もやや複雑でクセがあるものの、一度コツを覚えてしまえばむしろ楽しさを感じるほどよい難易度で、ゲームへの没入感を高めてくれた。ファンタジー世界の鍛冶屋の気分を味わってみたいプレイヤーや、無骨で豪快な戦闘に魅力を感じるプレイヤーにはオススメだ。
『Blades of Fire』は、5月23日にPC(Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S向けに発売予定だ。