大型基本プレイ無料ゲーム『デュエットナイトアビス』は待望の「パーティー制」育成型アクションRPGだった。仲間AIと一緒にバトルやパルクール

弊誌は本作を先行プレイする機会に恵まれたため、そこで触れられた内容をお伝えしていく。

Hong Kong Spiral Rising Technologyは6月12日より、『デュエットナイトアビス(DUET NIGHT ABYSS)』の第2回クローズドβテストを実施する。対応プラットフォームはPC/iOS/Android。弊誌は本作を先行プレイする機会に恵まれたため、そこで触れられた内容をお伝えしていく。あくまで先行テスト時点のプレイ内容の紹介であり、今後変更される可能性もあることはご承知いただきたい。なお、操作方法などはPSコントローラー準拠の表記とさせていただく。

『デュエットナイトアビス』は、魔法と機械が共存する大陸を舞台とした、基本プレイ無料のアクションRPGだ。デュエットという言葉に象徴されるように、身分と種族がまったく異なる2人の主人公の視点から描かれる物語や、近接武器と遠隔武器による二刀流のバトルが特徴となる。また、プレイアブルの全キャラクターがすべての武器を扱えるといった自由度の高いカスタマイズも可能だ。

本作はガチャやイベントでキャラクターを獲得する、大別するといわゆる『原神』系の作品である。またかと思った方はちょっと待ってほしい。本作は「パーティー制」なのだ。2020年に『原神』が登場して以来、さまざまなフォロワー作品が配信され、筆者も有名どころはプレイしてきた。しかし、それらの作品は手に入れたキャラを編成してキャラチェンジする形式であり、戦闘や探索するときに登場するキャラは基本的に一人だ(マルチプレイは除く)。昔から好んでRPGをプレイしてきた筆者としてはそれが物足りなく感じていた。せっかく新たな仲間たちを手に入れたのだから一緒に冒険させてほしい。本作はその夢を叶える作品となっているのだ。

仲間とともに大群を蹴散らす爽快バトル

まずは本作の戦闘システムをお伝えしよう。攻撃ボタンを連打すれば通常攻撃コンボ、リソースを消費してキャラクターごとのスキルや必殺技の発動、空中でもゲージ2回まで回避可能といった馴染みやすいシステムだ。武器種としては片手剣や大剣、槍など定番のものは一通り揃っている。攻撃を継続するとコンボランクが上昇し、コンボランクを消費して攻撃ボタン長押しの強攻撃が強化されるといった要素もあり、いつ使うのか考えながら戦うことも重要となる。しかし、本作には空中に浮いている敵も登場し、空中での攻撃は落下攻撃となるため、なかなか撃破できない状況に遭遇する。そんな時は銃器の出番だ。

本作では画面中央に常にマーカーが表示されており、R2ボタンを押せばそのマーカーに向かって即座に銃撃できるのだ。FPSやTPS定番のアサルトライフルを装備していれば、R2を押し続けるだけで空中の敵はもちろん、遠距離の敵に対しても一方的に連射して撃破できる。アサルトライフルのほか、射程が短い代わりに火力の高いショットガン、敵を貫通して焼き尽くす火炎放射器、弧を描くグレネードランチャーなどさまざまな銃器が存在する。なお、銃器には弾薬とリロードの概念もある。弾薬は倒した敵が落とし、リロード中は銃撃できなくなるので近接攻撃などで乗り切ろう。

そんな近接と銃器の二刀流で戦っていくのだが、本作は一度の戦闘で大量の敵が登場する。おおむね30体ほどの敵が同時に出現し、筆者がこれまでにプレイした『原神』系タイトルの中で最も多い。特にスタミナ消費系のコンテンツでは、大量の敵が全方位から無限湧きすることが多く、普通に戦っているといつの間にか背後から攻撃されてピンチになることも多々ある。それを解決できるのが本作の「パーティー制」だ。

本作ではガチャなどで新たなキャラを入手するとプレイアブルとして操作できると同時に、仲間の召喚アイテムも入手する。事前にアイテムホイールに召喚アイテムを配置しておき、戦闘中や探索中に召喚アイテムを使えば仲間を呼び出せる。召喚コストなどもなく、ソロプレイでは2人までの仲間を呼び出すことができ、呼び出した仲間はAIにより自動的に戦ってくれる。つまり、プレイヤー含む3人パーティーで大群と戦えるわけだ。仲間たちは装備した武器を使うほか、スキルや必殺技も発動してくれるので、適正レベルであれば仲間だけに任せられるほど頼もしい。もちろん仲間たちにもバトルボイスはあるので、わちゃわちゃと賑やかに戦いながら大群を蹴散らすのが楽しいのだ。

仲間召喚の仕様としては、呼び出した仲間には時間制限もなく、撤退アイテムを使うまで一緒に戦いながら近くを付いてきてくれる。アイテムホイールには最大24個のアイテムを配置できるので、撤退させて違う仲間を次々に召喚するということも可能だ。また、仲間たちはそれぞれにHPや弾薬といったリソースがあり、HPがゼロになると一時的にダウンする。とはいえ、時間経過すれば自動的に何度も復活するほか、近くでボタンを押せば復活時間を短縮できる親切仕様だ。ただし、操作キャラの切り替えはリアルタイムにできないため、変更したい場合はメニュー画面にて選択するかたちとなる。なお、先行テストでは体験できなかったが、本作にはマルチプレイもあり、2人プレイではそれぞれ1人ずつ召喚でき、3人プレイでは召喚できなくなるようだ。

また、本作はカスタマイズの自由度が高く、全キャラクターがすべての武器を装備できるほか、キャラクターと武器それぞれに装着可能な「魔の楔」という強化要素も存在する。「魔の禊」はステータスアップなどの数値上の強化のみではなく、攻撃モーションや連射速度が早くなる、機動力が高くなるなどキャラクターの挙動そのものにも影響する。もちろん召喚する仲間たちもそれぞれの「魔の楔」の影響下で戦うため、どんな戦い方をさせるのか自由にカスタマイズできるのだ。先行テストで入手できた「魔の楔」は限られていたものの、たとえば技リソースを回復するようなビルドを組めば、必殺技を連発するような仲間たちも作ることができる。さらに、「魔の楔」は同じものを複数キャラや複数武器にもセットできる親切仕様だ。これにより付け替えの手間も少なく試行錯誤が楽しめるのだ。

さらに、見た目のカスタマイズ要素も充実しており、眼鏡やケモミミといったアクセサリ、武器の色なども自由に変えることができる。プレイヤーだけのお気に入りの仲間たちを作り上げて一緒に冒険できるのだ。

ダッシュがないのに「移動が楽しい」パルクール

続いて探索や移動について紹介しよう。実は本作にはダッシュがない。しかし、本作独自のスピンジャンプにより移動が楽しいシステムになっている。昨今はスタミナ不要の無限ダッシュや壁走りなど移動が快適なゲームも存在するものの、本作は「移動が爽快で楽しい」のだ。FT(ファストトラベル)をあまり使わず移動するほどであった。

本作の基本的な移動操作として2段ジャンプ、ゲージ2回までの回避、R1ボタンでしゃがみ、歩きながらR1ボタンでスライディングが可能だ。回避とスライディングは歩くより速いものの、ダッシュの代わりとして使うのは難しい。そこでR1+ジャンプボタンによるスピンジャンプの出番だ。

スピンジャンプは画面中央のマーカーに向かって発動する大ジャンプみたいなものだ。前方にスピンジャンプを発動すると独特の効果音やエフェクトとともに数mほど離れた位置まで回転しながらジャンプする。さらに、スピンジャンプは接地していれば発動できるため、着地後すぐにスピンジャンプを発動できる。つまり、前方にスピンジャンプを連続で発動することで浮遊感のある高速移動が可能となり、これがとても気持ちいいのだ。文章ではイメージしにくいかもしれないが、魔法ARPG『FORSPOKEN』の魔法パルクールの感覚に近い。

また、スピンジャンプはマーカーに向かって発動するため、上を向いて発動すれば文字通りの大ジャンプとなる。おおむね3階建ての屋根の高さまでジャンプでき、そこからさらに2段ジャンプもできる。もし屋根に届かなくても無限壁ジャンプも可能だ。スピンジャンプを活用すればほぼすべての地形を簡単に踏破できるわけだ。街の屋根を飛び回るようなパルクールコンテンツも用意されている。

マーカーに対して移動するというのは、いわばフックショットの代わりでもある。ダッシュの代わりにもなるスピンジャンプは、今後ほかの作品でも採用してほしいほど画期的な移動手段であった。ただし、着地するたびにR1+ジャンプ操作、その間に発動する方向を向くという操作には慣れが必要だろう。慣れてしまえば自在にスピンジャンプできるようになり、移動そのものが楽しく爽快になるため是非習得してほしい。

このスピンジャンプが気持ちよくてFTをあまり使わず探索しており、この探索中も仲間たちの召喚が可能だ。仲間たちは近くを付いてきながら敵がいれば自動的に戦ってくれるため、自身は周囲の探索や素材収集に専念することもできる。また、探索中も仲間たちはジャンプなどのモーションにあわせてボイスもあるため、ソロプレイでも探索が賑やかに感じられるのだ。ちなみに、エモートを使えば仲間たちも一斉に同じエモートをしてくれる。

FTを使わないもう一つの理由として、「ジェネモン」というペットシステムがある。ジェネモンはフィールド上にランダムに出現する可愛い見た目の友好モンスターであり、餌付けに成功するとペットとして仲間になる。仲間になったジェネモンを装着すると、バフや回復などさまざまなスキルを発動できるほか、ジェネモンを融合して複数のスキルを持たせることも可能だ。筆者は周囲の宝箱やジェネモンの位置を知らせるスキルを好んで使っており、使えば必ずジェネモンが見つかるほど頻繁に出現しているため、スピンジャンプで高速移動しながらジェネモン集めに奔走してしまったわけだ。

このように本作は常にランダム報酬と出会える探索を実現しつつ、移動自体も楽しい出来になっている。移動そのものが楽しいゲームは筆者は数えるしかほど思いつかず、本作はそのうちの一作と言える。

2つの視点から描かれる重厚なストーリーと膨大なコンテンツ

本作は2つの異なる視点から描かれるストーリーも特徴であり、主人公は4人から選ぶかたちだ。本作の世界には角があり悪魔と呼ばれ差別される「カロン族」と、帝国として支配する「人間族」がいる。まずはカロン族の男女から一人を選び、カロン族の置かれた状況や物語の根幹にもかかわる種族の運命を体験していく。イベントやボス戦の演出も非常に凝った作りとなっており、1章のラストでは思わずグッとくるような悲しくも熱いストーリーが展開される。

そして、1章が終わると今度は人間族の男女から一人を選び、帝国側の軍人としてストーリーが展開されていく。筆者は最初の男女の選ばなかった方がもう一人の主人公になると思いこんでいたので驚いた。4人の主人公はそれぞれ見た目も異なるほか、男男、女女と選択することも可能だ。

このように舞台も立場も全く異なる視点でストーリーが描かれることで、世界の厚みやリアリティが増していくのだ。また、主人公たちがどのように交差してどのような運命を迎えるのか、それを交互に体験できるのが本作のストーリーの魅力となっている。また、運営型ゲームではストーリーや用語を忘れてしまいがちだが、イベント中には関連する用語集にアクセスできる素晴らしい機能もある。ちなみに、一部の特殊なイベントやバトルを除いて、ストーリー進行中のほとんどの場面でも仲間召喚は可能だ。

さらに、ストーリー以外のコンテンツも膨大だ。先述した魔の楔やジェネモン集め、パルクールのほか、サブクエストや釣りなども用意されている。スタミナ消費系コンテンツとしては敵を殲滅したり、一定時間生き残ったり、素早く脱出を目指すものなど多彩だ。そのほかにもストーリーボスと再戦したり、ローグライトのようなモードもあり、やることがなくなるという心配はないだろう。もちろんどのコンテンツも強化につながる報酬を得ることができる。

ここまでいくつもの要素を紹介したが、やはり最も魅力的なのは筆者が待ち望んでいた『原神』系の「パーティー制アクションARPG」であることだろう。ソロプレイでも仲間と一緒に探索したり戦ったりできるのは格別な体験だった。手に入れた仲間と賑やかに冒険したいという思いを抱いている方がいれば是非プレイしてほしい。

デュエットナイトアビス』はPC/iOS/Android向けに基本プレイ無料で配信予定。7月2日18時00分まで第2回クローズドβテストが実施中だ。

Haruki Maeda
Haruki Maeda

3DアクションRPGと犬をこよなく愛するPCゲーマー。『フォールガイズ』のようなわちゃわちゃ系も大好きです。

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