Nintendo Switch『スーパーモンキーボール バナナランブル』はハードコアゲームだ(一人で遊ぶなら)。容赦なきステージとギミックがゲーマーを襲う

セガは6月25日、アクションゲーム『スーパーモンキーボール バナナランブル』を発売した。本稿では、一人で遊ぶと意外と容赦ない本作に挑戦した模様をお届けしたい。

セガは6月25日、アクションゲーム『スーパーモンキーボール バナナランブル』を発売した。対応プラットフォームはNintendo Switch。価格は税込5489円。本作は、ボールの中に入ったおサルを転がし、ゴールを目指すゲームである。これだけ聞けば非常にシンプルに思えるゲームだろう。本稿では、そんな本作に挑戦した模様をお届けしたい。

『スーパーモンキーボール』シリーズは、セガが展開しているアクションゲームだ。左スティックでステージ自体を傾けて、傾きによっておサルの入ったボールを転がしてゴールへ向かうというシンプルなゲームである。しかし、ボールが進むコースは、まっすぐで平坦な道が少なく、穴が空いていたり、飛び越える必要があったり、時にはあえて落ちる必要があったり、ゴールまでの道のりは困難だ。そんなコースをプレイヤーのスティック捌きで乗り越えてゴールへと導くゲームである。


なお本シリーズは、2001年にシリーズ第1作となるアーケードゲーム『モンキーボール』が稼働し、『スーパーモンキーボール バナナランブル』は、同シリーズの最新作だ。おサルが中に入ったボールを転がして、制限時間以内にスタートからゴールを目指し、コースを外れて落ちてしまうとミスという基本ルールを用いたアドベンチャーモードのほか、最大16人でレースやバナナ集め、ロボの破壊を目指すといったルールの、オンライン対戦可能なバトルモードがシリーズ初登場。これまでのひとりでじっくりと攻略を楽しむというスタイルのほか、世界中のプレイヤーと競い合うという楽しみ方もできるかたちへと進化している。


『スーパーモンキーボール バナナランブル』に挑戦

筆者はアクションゲームが得意であると自負しているが、シリーズ作品はマルチプレイでしか遊んだことがない。ということでシングルプレイを遊ぼう。というか、そういった依頼がきた。「難しいと思いますが」と打診に対して「何を仰っているんですか。簡単にクリアしちゃいますよ」と口には出さずとも思いつつ、筆者の『スーパーモンキーボール バナナランブル』への挑戦がスタートした。この言葉にのちに苦しむことになるのだが。

なお、挑戦するのはアドベンチャーモードだ。アドベンチャーモードは全200ステージが用意されている。さらに、各ステージにはバナナが設置されており、クリアタイム、一定数以上のバナナの獲得、1ステージにひとつあるゴールデンバナナの獲得といったチャレンジ要素も存在。また、複数のステージから構成される各ワールドをクリアするごとに、そのワールドでタイムアタックモードをプレイできるようにもなる。


おサル転がしの第一歩を踏み出す


アドベンチャーモードでは、まずはチュートリアルから開始となる。ワールド1「バナナ大農園」は、まずは肩慣らしといったところで、さすがにワールド1はゲームが上手い(と思い込んでいる)筆者には朝飯前。チュートリアルの延長線上にあるような簡単なステージ構成となっている。まっすぐ進むだけでゴールに到着するステージ1「ツインアイランド」、数字の2のような形のステージ2「ジグザグロード」、スピンダッシュによるジャンプを駆使して進んでいくステージ5「スピンアンドジャンプ」など、基本的な移動と新アクションをとりあえずやってみよう、という作りだ。


チュートリアルから感じていたが、本作はボールの移動が小気味よく、動かしているだけでも楽しい操作感だ。初めて本作をプレイして独特の転がしている感がクセになるという人が多いと思われる。筆者もそのひとりだ。とにかく転がすのが気持ち良く、思わず転がし過ぎてステージから落下してしまうこともよくある光景だ。

また、転がすボールの中に入るおサルは、主人公のアイアイ以外に、これまで登場した仲間たちや新キャラクターのパレットなどに変更することが可能。本作のキャラクターにはスピード・ブレーキ・ウエイト・スピンの4つが設定されており、それぞれのキャラクターが違った性能をもっている。筆者はひとまずすべての能力が平均的なアイアイを使ってみたが、もしちょっとボールの挙動が気になるという人は、ほかのキャラクターを試してみるのもいいだろう。


順調に進んでいくも……徐々に襲いかかる『スーパーモンキーボール』の洗礼

ワールド1の全10ステージをクリアすると、次なる舞台はワールド2「ローズガーデン」へ突入。ワールド2も特に苦労するシーンはないものの、足場が動いたり傾いていたり、さらには波打っていたりと、趣向を凝らしたステージがお目見え。そろそろプレイヤーを落としてやろうかという開発チームの意思が見え隠れし始めてきている。クリアだけ考えるとまだ難しいとは言えないものの、ワールド2辺りからチャレンジの達成が難しくなってきているのは明らかだ。初見プレイ時は「このゴールデンバナナはどうやって取るの?」と考えこみ、結局諦めて次へ進むパターンも出始めてくる。


ゴールデンバナナをはじめとしたチャレンジ要素は、無理に達成する必要はないものの、目の前にお題を提示されていたら達成したくなる気持ちはわかってもらえるだろう。目の前にコインがあれば取るように、バナナがあれば取りたくなるのがゲーマーだ。

しかし、進むにつれてゴールデンバナナが普通に進んでいては取れないような場所に配置され、頑張って取ろうにも今度は各コースの1分という短い制限時間をオーバーしてミスになってしまうパターンも。筆者は、せめてゴールデンバナナだけは全部取得してゲームを進めようと思ったものの、手元のデータではワールド2のステージ4ですでに泣く泣く諦めてしまっていた。ゲーマー失格である。

そして、ワールドが進むごとに、足場が安定しないコースや細い道を進むコース、そしてロングコースなど、スピードとテクニックが必要なステージが次々と立ちはだかり、難易度は徐々に上がっていく。制限時間の問題で、バナナを横目にとにかくゴールを目指すプレイにシフトしつつも、同じステージの同じ場所で落下ミスを繰り返すというケースが増えてきた。簡単にクリアできるという自信に翳りが見え始めてきていたのだった。


クリア目前、最大の関門にぶち当たる

転がしたり落ちたりを繰り返し、ワールド6のステージ4「ロングハーフパイプ」でやや足止め。このステージはハーフパイプの縁を転がっていくステージで、スピードに乗って疾走できて爽快感抜群。ただし、平坦な道が少なく、勢い余って落下というミスを連発。調子に乗ってまんまと罠にハマる、開発の思惑どおりに動いてしまったような展開に、思わず歯ぎしりさせられてしまう。なお、スピンダッシュを使えば安定してこのステージをクリアできることに気づいたのは、何度もリトライした後だった。自分の察しの悪さが憎らしい限りである。

ワールド6のステージ4「ロングハーフパイプ」

そんな悔しい経験を重ねた筆者は、宇宙を彷彿とさせるワールド10「スペクルム大陸」まで攻略。ワールドをクリアするごとに進んでいくアイアイたちのストーリーもクライマックスで、エンディングが近い雰囲気だ。ここまでに、ステージの足場はどんどん不安定だったり細道だったり、いやらしいギミックがどんどん増えていき、筆者のゲームが得意という自信も不安定になっている。

そんな中、筆者は本作において最大の足止めを食らってしまう。そのステージが、ワールド10のステージ5「トルネードリング」だ。このステージは、一定の周期で回転するいくつもの巨大なリングが連なっており、リングの内側を通り抜けてゴールを目指す。足場が不安定で、リングとリングの間には穴があり、落としてやろうという気概がこれでもかと感じられる。リングが回転しているため、足場の位置が刻一刻と変わるというのが非常に難しく感じるポイントだ。さらに、足場を上手く渡った最後には、加速パネルを利用して最後の足場に飛び移らないといけないという、絶妙に難しいアクションが最後に用意されている。難易度調整の巧みさを感じさせる、憎い作りのステージだ。

 

ワールド10のステージ5「トルネードリング」

そんなトルネードリングをクリアするための正解がわからず、筆者は試行錯誤を繰り返す。おそらくこうやればゴールできるだろう、と思いついた方法も上手くいかず、完全に足止めされてしまった。もう無理だ……、という気分で諦めつつあった。というか、ゴールの手前まで行くのにも不安定な足場に困らされ、ゴール手前の難関にたどり着くことすらままならない状態に挫折してしまったのだ。


しかし、せめてストーリーの最後だけは見届けたい。そんなわけで、行き詰まった筆者は最後の手段に出る。それは、些細な意地で使用を禁じていた「お助け機能」の解禁である。

お助け機能を使うことで、ゴールまでのルートとお手本となるゴーストが表示されるようになる。表示されたルートに沿ってゴーストを追いかけると、ちゃんとゴールができるという寸法だ。ゴーストを追いかけるのにはキャラクターコントロールのテクニックが必要ではあるものの、お助け機能を使っている際には、巻き戻し機能も解禁される。操作に自信がない人も、巻き戻し機能を駆使してゴーストを追いかければ、いずれはゴールできるというわけである。それでもダメだという人は、“クリアしたことにする”機能を使うと、そのステージをスキップすることも可能である。なお、最後の意地として筆者はまだ使っていない。


そんなわけで、お助け機能の助けもあり、筆者はトルネードリングを無事クリア。しかし、お助け機能を使ってもやや苦労させられたこのステージは、一番苦手なステージだと筆者は認定している。なお、お助け機能を使ってクリアした後に何度か自力クリアを目指してトルネードリングに再び挑戦してみたが、未だに突破できていない。


クリア、そして……

お助け機能の力を使ってトルネードリングを抜けた筆者は、その後何とか自力でワールド10のステージ10まで突破。アイアイたちの冒険も一旦の幕引きとなり、無事エンディングを迎えることになった。思いっきり悔しがらされて、散々苦労しただけあって、その達成感は久々に味わえたものだった。エンディングを迎えた頃には、筆者のボール捌きもなかなか様になっていた。

しかし、本作のアドベンチャーモードには200ステージが用意されているという。ここまでプレイしたのは、その半分の100ステージ。お察しのとおり、本作はワールド10をクリアするとEXワールド1「EXバナナ大農園」が解禁される。いわゆる裏面的なかたちで、これまでよりもさらに難しい100ステージ楽しめるというわけだ。

ちなみに、時間の都合でEXワールドのクリアまでは進めていないが、EXと冠するだけあってユニークかつ骨太なステージが揃っている。現時点で、EXワールド6「EXネオンアリーナ」のステージ2「ライジングロード」で足踏み中である。このステージは、加速パネルで大ジャンプしてスタート地点の遥か上にあるゴールを目指すというもの。トルネードリングでわかっていたが、どうやら筆者は加速パネルが苦手なようで、ライジングロードはさらにコントロール能力が求められそうである。いよいよ“クリアしたことにする”機能を解禁するときが迫っているのかもしれないが、悔しいのでしばらくは自力で頑張りたい。

EXワールド6「EXネオンアリーナ」のステージ2「ライジングロード」

とはいえ、徐々に上手くなっている感覚を味わえるのは、『スーパーモンキーボール バナナランブル』の魅力のひとつだろう。1分以内にクリアできるという各ステージとトライ&エラーを繰り返しやすい作り、そしてプレイしていればいずれはクリアできるはずと思わせる絶妙な難易度の上がり方が組み合わさって、先へ先へとチャレンジさせる作りになっていると感じられた。また、ここまでに散々ステージの難しさについて述べてきたが、個人的には理不尽な難しさはあまり感じていない。どのステージにもちゃんと解法があり、気づきさえすればあとは自分の腕次第という作りは筆者好みだ。

EXステージのクリア後は、前述してきたチャレンジ要素の達成を目指すのもいいだろう。バナナの取得もさることながら、一定時間内にクリアを目指すチャレンジ要素は、提示された時間が数秒というステージが多々ある。一見、そんな短時間ではクリアできないようなステージをショートカットしてゴールを目指すのは、通常のプレイとは違った楽しさがある。特に、時間を短縮するためのテクニックとして、スピンダッシュと段差を上手く使ってボールをジャンプさせてゴールインを狙うのも、爽快感たっぷりだ。転がすだけではなく、ぜひボール飛ばす遊び方にも挑戦してみてほしい。

さらに、一度クリアしたワールドではタイムアタックモードが解禁となる。オンラインのタイムアタックランキングも用意されているので、スピードクリアに魅せられたという人は、ぜひこちらで最速を目指してみるといいだろう。少なくとも筆者にとって、本作はハードコアゲームといっても差し支えない、やりこみの深さがあるタイトルだ。

そして、『スーパーモンキーボール バナナランブル』の懐はシングルプレイだけに留まらない。オンラインやローカルプレイでほかのプレイヤーと協力してアドベンチャーモードをプレイしたり、バトルモードで競い合ったり、マルチプレイでワイワイ楽しむことも可能だ。プレイヤーそれぞれの遊び方ができるゲームとなっている。シングルプレイでどっしりと向かい合ったリフレッシュに、マルチプレイをパーティーゲーム感覚で楽しんでみてほしい。

スーパーモンキーボール バナナランブル』は、Nintendo Switch向けに発売中。

16人で競い合える「バトルモード」もぜひプレイしてみてほしい
「マルチプレイトレーラー」

Koutaro Sato
Koutaro Sato

何でも遊びますがメトロイドヴァニアとトレハン、ゲーム内の釣りが大好物。クリエイターやプレイヤーの人となりと、彼らが生み出す盛り上がりが大好きです。

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