IGNなどWebメディアを数多く保有するZiff Davis、OpenAIを著作権侵害で提訴。記事を執拗に複製しているとして
ゲーム関連で言えばIGNやEurogamer、GamesIndustry.bizやHumble Bundleなどを傘下に保有。

Ziff Davisは現地時間の4月24日、OpenAIに対して著作権侵害を訴える訴訟を提起した。Ziff DavisはIGNなど複数のメディアブランドを保有する、海外メディアの大手企業。訴状では、AIの機械学習に同社の記事が無断で利用されていることが提訴に至った理由とされている。The New York Timesが報じている。
Ziff Davisはアメリカ・ニューヨークに拠点を置く企業だ。デジタルメディアとオンラインショップの運営を事業の中心としており、ゲーム関連で言えばIGNやEurogamer、GamesIndustry.bizやHumble Bundleなどを傘下に保有。現在45以上のメディアブランドを有し、さらに積極的に既存ブランドの買収もおこなって拡大を続けている、デジタルメディアの大手企業である。
そんなZiff Davisが現地時間の4月24日、アメリカ・デラウェア州連邦地方裁判所に訴状を提出。ChatGPTなどを運営する生成AIの大手OpenAIに対して、DMCA(デジタルミレニアム著作権法)に基づく訴訟を提起した。訴状ではOpenAIがZiff Davisの著作権を侵害しているとして、同社の知的財産を利用したAIモデルおよびデータセットの使用停止・削除と、損害賠償の支払いを求めている。
Ziff Davisの主張によると、OpenAIはChatGPTなど、同社の大規模言語モデルの構築およびサービス提供のため、GPTBotという名のクローラーでネット上のデータを収集している。その中にはZiff Davisが知的財産権を有する記事も含まれているという。そしてOpenAIは公式ドキュメントにて、GPTBotによる情報収集を拒否する方法を紹介しているものの、実際にはこれは効果がないとのこと。ドキュメントに従いrobots.txtによってクロール拒否を明示しても、GPTBotの活動は止まらなかったという。こうした状況を受けZiff Davisは「OpenAIは意図的かつ執拗に記事を複製し、派生物を作成し続けている」と主張。これによってOpenAIは巨額の利益を得る一方で、Ziff Davisに対して損害を与えているとしている。
OpenAIに対してはこれまでもデータセットの著作権をめぐって複数の訴訟が提起されており、OpenAI側はフェアユースの範囲内であるなどと反論。The New York Timesなど複数のメディアと裁判が進行中となっている。一方でThe Washington PostやThe GuardianなどはOpenAIと公式に提携することを発表しており、海外大手メディアのなかでも対応が分かれている状況だ。こうしたなかで米メディアの大手Ziff Davisが、今回訴訟に踏み切ったかたちである。判決内容は将来的な生成AIの利用に広範な影響を及ぼす可能性もあり、先行の裁判とあわせて今後の動向が注目されるところだ。