Xbox Game Pass、年間収益が「約7400億円」もあった。マイクロソフトCEOいわく過去最高収益
マイクロソフトのCEOであるSatya Nadella氏によると、2025会計年度ではXbox Game Passの年間収益が初めて約50億ドル(約7400億円)に達したという。

マイクロソフトは現地時間7月30日、2025会計年度第4四半期および通期の業績発表を実施した。通期業績の売上高・営業利益・純利益などはそれぞれ過去最高となり、第4四半期も含め大幅な増収増益を達成している。
また発表によると、Xboxコンテンツ・サービス事業の収益は前年同期比13%増であったという(為替一定ベースで12%増)。マイクロソフトのCEOであるSatya Nadella氏は好調の背景としてまず、『Forza Horizon 5』と『The Elder Scrolls IV: Oblivion Remastered』といったPS5に展開されたファーストパーティータイトルが好調であると伝えた。

なお市場調査会社Circanaのデータによると、PlayStationプラットフォームでは両作のほか『Call of Duty: Black Ops 6』『Doom: The Dark Ages』『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』も好調だった模様。4月からの3か月間の売上ランキングにてトップ10に名を連ねている。Nadella氏の述べたように、ファーストパーティータイトルのPS展開は成功を収めているようだ。このほか同氏によると、『Call of Duty』シリーズも過去最高レベルの好調だったほか、『マインクラフト』についても映画版公開後のユーザー増加や増収がみられたという。
そしてNadella氏は、Xbox Game Passの好調ぶりにも言及。通期での年間収益は初めて約50億ドル(約7400億円)に達したという。Xbox Game Passの具体的な収益額が示されることは珍しいものの、過去にActivision Blizzard買収に際して明らかになった資料では、コンソール向けのXbox Game Passの収益は2021会計年度の通期決算において29億ドル(約4300億円・現在のレート)であったとのこと(Eurogamer)。今回明かされた約50億ドル(約7400億円)という収益がコンソール限定かPC Game Passを含むかは不明ではあるものの、着実に収益を伸ばしているとみられる。
ただXbox Game Passでは、2023年および2024年に二度にわたって加入料金の値上げが実施されていた(関連記事1、関連記事2)。今回伝えられた収益成長は、加入者の増加ではなく値上げが主要因となった可能性はあるだろう。

またXboxコンテンツ・サービス事業の好調ぶりがうかがえる傍らで、Xboxハードウェア事業の収益は前年同期比22%減となった。過去にはゲーム部門CEOでXbox事業を率いるPhil Spencer氏がゲームコンソール市場の停滞について懸念を示していたこともある(関連記事)。Xboxでも定価の値上げはおこなわれていたものの、そうした状況はハードウェアの売上にも表れているのだろう。なおXboxは「Play Anywhere」を掲げており、モバイルで利用可能なクラウドゲーミングサービスも展開されている。そして今年のホリデーシーズンには、携帯型ゲーミングPC「ROG Xbox Ally」と「ROG Xbox Ally X」が発売予定。コンソール機とは別の市場を開拓する狙いが功を奏すかどうかは注目される。
なおマイクロソフトでは7月初めに9000人以上の大規模レイオフが実施されたばかり。ゲーム部門や傘下スタジオも大きな影響を受けていた(関連記事1、関連記事2)。しかし業績発表においては、先述のとおり増収増益が報告されている。同社では近年クラウドコンピューティングサービスAzureが大きな成長を見せており、2025会計年度通期では収益が前年比34%増となる750億ドル以上(約11兆1600億円)を記録したという。ただクラウドサービスへの注力に伴って同社ではAI分野への投資額も増大している。そうした方針も、業績好調にもかかわらずマイクロソフト全体で大規模レイオフが実施された一因としてあるのだろう。