マイクロソフト、英国にてXboxソーシャル機能の年齢確認必須化へ。Discordに続き、“未成年保護システム”導入進む
マイクロソフトは現地時間7月28日、英国のXboxユーザーに向けて、ソーシャル機能の利用にあたる年齢確認の認証を必須化することを発表。背景には、今年7月25日より部分的に追加で施行された英国オンライン安全法の存在がある。

マイクロソフトは現地時間7月28日、英国のXboxユーザーに向けて、ソーシャル機能の利用にあたる年齢確認の認証を必須化することを発表した。英国在住で18歳以上に設定しているXboxユーザーは、年齢確認のプロセスを通過することで年齢確認が完了する。英国向けには、2026年初頭より年齢確認が済んでいないユーザーを対象にソーシャル機能に制限がかかる予定。
英国では2023年10月に英国オンライン安全法(OSA)が成立。これはインターネットを中心としたオンライン上で、子供を違法・有害コンテンツから適切に保護することを目的とした法律だ。
具体的には検索サービスや、ソーシャルメディアサービス、フォーラム、などといったユーザー間サービスが規制の対象となっており、サービス側は子供の性的搾取や虐待、自殺幇助、詐欺や金融犯罪といった「違法」コンテンツを非表示、削除するように義務付けられ、守らない事業者には罰金などが科される。またポルノや深刻な暴力などは子どもにとって「有害」とカテゴライズされており、これらコンテンツに対しては、フィルタリングの設定、ないしは年齢制限によってアクセスを防止出来るようなシステムを導入する必要がある。

OSAは2024年に一部が施行され、今年7月25日にも部分的に施行。このことにより、英国では18歳以上であることの年齢確認システムが厳格化した。この法施行を受けて、マイクロソフトは英国のXboxユーザーに向け、ソーシャル機能における年齢確認を必須化することを表明したかたちだ。2026年初頭からは、年齢確認を完了しないプレイヤー、つまり18歳以上であることが確認できないプレイヤーについて、音声またはテキストでのコミュニケーション、ゲームへの招待などが提供されるソーシャル機能がフレンドのみに限定されることとなる。
年齢確認は1度のみで、18歳以上であることが確認できればソーシャル機能へのフルアクセスは可能。なお年齢確認の有無で、ゲームプレイの購入や実績などには影響を及ぼさないと明かされている。加えてマイクロソフトは、子供やティーンエイジャーのユーザーに向けては、子供用アカウントの作成を案内している。

発表によれば今後英国での年齢確認プロセスから知見を集め、プレイヤーの安全性を保つ効果について検討していくという。より多くの地域に展開する予定としており、具体的なスケジュールは不明だが、この方針によりいずれ日本国内でも同様の手続きを踏む必要が出てくる可能性はあるだろう。
なおOSAなどに基づいてルールが厳格化される例はNexus Modsなどでも見られており、同サイトではアダルトコンテンツの棲み分けや違法コンテンツの規制強化を実施すると表明。一部コンテンツを閲覧する際に必要が年齢確認などについてもポリシーの調整などをおこなうとしていた(関連記事)。またDiscordでも英国向けに「年齢確認システム」が実装されるなど、各サービスで対応に追われているかたちだ(関連記事)。プラットフォーマーではまずマイクロソフトが導入に踏み切ったとみられ、ほかのメーカーの対応も注目されるところだ。
ただこうした年齢確認については、たとえば現在日本国内で見られるような、生年月日を入力したり、チェックボックスを選択するような方式ではなく、顔認証やクレジットカード、写真付き身分証明書などによる本人確認が必要となるケースが多い。そのためプライバシー面のリスクを懸念する声も根強いほか、アカウントと個人情報が紐付けられることによる“監視”を恐れ、ユーザー活動が萎縮するといった見方も存在している。
また法の実効性を問題視する意見も見られる。年齢確認を突破するために、VPNの利用者が急増しているのだ。スイスのVPNサービス「Proton VPN」によれば、英国での利用者数は7月25日以降、実に1400%のユーザー数増加を確認したという。各プラットフォームでの年齢確認が実際に子供を保護する手段として有効か、そしてプライバシー監視という懸念がどのように払拭されていくのか。各企業や英国政府などの対応も見守りたい。