『古銭プッシャーフレンズ』開発元、同社のゲームのスクショは「自由にX(Twitter)投稿してもいいよ」と表明。Grokはまだ学習できていない様子

『古銭プッシャーフレンズ参』

デベロッパーのSTP WORKSは11月14日、公式Xアカウントにて同社のゲーム画像を自由に(X上で)投稿して問題ないことを表明した。Xでは以前変更された利用規約が本日11月15日より発効されており、変更点を踏まえて、ユーザーの投稿したコンテンツがX社の機械学習や人工知能モデルの学習データとして利用されうる点への懸念が改めて噴出している。そうした状況でも、STP WORKSとしては引き続き気兼ねなくゲームのスクリーンショットなどをシェアしてほしいようだ。

STP WORKSは『古銭プッシャーフレンズ』シリーズなどを手がける国内の開発元だ。同シリーズは、江戸時代を舞台にしたコインプッシャーゲーム。メダル落としとも呼ばれる、ゲームセンターなどでおなじみのゲームをアレンジした作品だ。これまでPC(Steam)/Nintendo Switch向けにシリーズ1作目および2作目がリリース、そして今年7月にはシリーズ3作目となる『古銭プッシャーフレンズ参』が発売され、いずれも好評を得ている。


STP WORKSによれば、『古銭プッシャーフレンズ』シリーズを含め同社のゲームの画像はこれからもX上で自由に投稿してほしいそうだ。あえてこうした声明を投じた背景には、本日11月15日より発効されているXの利用規約の変更があるだろう。

X社は先月10月に利用規約を変更。なかでも、Xユーザーが同サービスを介して自ら送信、投稿、または表示するあらゆるコンテンツ(以下、ユーザーのコンテンツ)に対する権利を留保することを求める「ユーザーの権利およびコンテンツに対する権利の許諾」における変更は物議を醸している。変更後の規約では、ユーザーのコンテンツをX社の機械学習や人工知能モデルのトレーニングなどに利用する権利を同社が有すると明記されたためだ。

また、サービス利用規約の変更とあわせて、プライバシーポリシーも一部変更され、「第三者の協力会社」とする項目が追加。ユーザーの設定に応じて、またはユーザーがデータを共有している場合、X社はユーザーの情報を、第三者と共有したり第三者に開示したりすることがあるとされる。

そしてユーザー側が設定でオフする、いわゆるオプトアウトをおこなわない場合、生成型か他のタイプかを問わず人工知能モデルのトレーニングなどの目的のために情報を使用する場合があるとのこと。これらの規約変更には、たとえばアーティストがコンテンツを投稿する場合に、機械学習・人工知能モデルの学習に用いられうるのではないかといった懸念が寄せられている(関連記事)。学習データに用いられた作品が、AIが画像生成する際に自身の意図に反した形で利用されうる点などが懸念されている格好だ。


ちなみに規約変更前にもユーザーのコンテンツは、設定でオプトアウトしないかぎりは、Xのプレミアム/プレミアムプラス加入者向け機械学習・人工知能モデル「Grok」の機械学習に利用されていた。規約変更の発効後となる本稿執筆時点でも、「Grok」の機械学習については設定でオプトアウトが可能。つまり規約変更の前後で、ユーザーのコンテンツのX社の機械学習や人工知能モデルのトレーニングなどへの利用について実態としては変化がない可能性もある点には留意したい。とはいえ大きな混乱が生じており、X社には説明が求められている状況はあるだろう。

いずれにせよそうした状況で、プレイヤーがゲームのスクリーンショットをシェアするときのように、権利者以外が投稿したコンテンツが機械学習・人工知能モデルのトレーニングに利用される可能性がある点が明示されたことも、物議を醸している様子。ゲームのスクリーンショットの投稿は控えた方がいいのではないか、といった意見も一部見られる。また権利者以外がコンテンツを投稿する場合では、ユーザーごとのオプトアウト設定の有無も関わるため、コントロールが難しいといえる。


一方で今回STP WORKSが改めて今後もスクリーンショットの投稿を続けてほしいと表明したのは、そうした状況でも遠慮せず作品についてシェアしてほしいという想いがあるのだろう。ちなみに同社はAI「Grok」にて「『古銭プッシャーフレンズ』の画像」をキーワードにして画像生成をおこなった様子をスクリーンショットして添付。同作のゲーム内スクリーンショットが生成……されるかと思いきや、貫禄のある中世風の3人の老貴族たちが、硬貨がたんまりと入った入れ物を前にした画像が生成されている。あくまで「古銭」「フレンズ」といったキーワードから画像が生成されているようで、『古銭プッシャーフレンズ』とは無関係な画像といえる。少なくとも現時点のGrokが、本作のゲーム画面に似た画像を生成することはないようだ。

『古銭プッシャーフレンズ』はPC(Steam)/Nintendo Switch向けに配信されており、『古銭プッシャーフレンズ弐』も同じくPC(Steam)/Nintendo Switch向けに発売中。また『古銭プッシャーフレンズ参』がPC(Steam)向けに発売中だ。同作もNintendo Switch向けの展開も予定されている。