「『Vampire Survivors』風ゲームにぴったりなジャンル名」を決める投票活動が開始。“なんて呼べばいいかわからない問題”決着なるか

Awesome Games Studioは11月27日、いわゆる『Vampire Survivors』ライクな作品に対して、Steamにおける適切なタグ決めるためのユーザー投票受付を開始した。

インディーチームのAwesome Games Studioは11月27日、いわゆる『Vampire Survivors』ライクな作品に対して、Steamにおける適切なタグ決めるためのユーザー投票受付を開始した。あくまでValveとは無関係の非公式活動ながら、投票結果は同社に提出予定だという。

『Vampire Survivors』は、ローグライク要素のある見下ろし視点アクションゲームだ。プレイヤーは四方八方から迫り来る多数の敵を自動攻撃で倒し、経験値を拾い集めて装備やアップグレードを入手しながら、敵の波状攻撃からの生き残りを目指す。本作は2021年に早期アクセスとして配信され、2022年に正式リリース。中毒性のあるゲームプレイが人気を博し、本作に影響を受けたフォロワー作品も多数登場している。

一方でそうしたフォロワー作品に対して、2025年現在においても適切なジャンル名が存在しておらず、Steamにおいてもジャンルを表すタグは用意されていない。それにより、類似作品の検索が困難な状況が生まれており、また一定規模のジャンルながら呼び名がまちまちといった問題にもなっている。ちなみに『Vampire Survivors』については開発元のponcleが、Android向けアクションゲーム『Magic Survival』、および『悪魔城ドラキュラ』にインスパイアされたローグライクゲーム『CvRL: Serenade of Chaos』に大きく影響を受けたことを公言している(関連記事)。この経緯もあってか、各社が公式にジャンル名を定めづらい状況もあるのかもしれない。一方で今回はそうした状況を打開するために、Awesome Games Studioは統一したジャンル名を決めるユーザー投票受付を開始した。


ジャンル名を決めることのメリット

今回の投票は、Awesome Games Studioおよび、「弾幕天国フェス」の主催者であるHuman Qube GamesとErabitの協力によるものだ。弾幕天国フェスは2023年から毎年開催されており、今年は12月4日から12月11日にかけて開催される。450以上の開発者が参加を予定しており、いわゆる『Vampire Survivors』ライクな作品も多数参加しているのが特徴となっている。

こうした『Vampire Survivors』ライクな作品に対してジャンル名が存在しないため、Steam上のタグも作品によってさまざま。たとえば『Vampire Survivors』のストアページでは、「ローグライクアクション」、「弾幕」、「ローグライト」といったタグが設定されている。それぞれのタグをクリックすると同じタグの作品を検索できるが、これらのタグでは『Vampire Survivors』のような作品を絞り込んでは検索できないわけだ。ユーザーだけではなく開発者にとっても、ジャンルのファンに検索されにくく埋もれやすいという問題も抱えている。

今回の投票では、「サバイバーライク」や「弾幕天国(Bullet Heaven)」といった複数の呼称から一つに統一し、Steamにおける検索性や可視性を高めることが目的だという。ジャンルが統一され、専用のタグができれば、Steamのアルゴリズムによって類似作品がおすすめされる可能性も高くなるだろう。投票結果は12月11日以降に集計され、Steamを運営するValveへの提出が予定されているそうだ。


主要なジャンル名の候補

今回の投票はGoogleフォームで実施されている。設問は「どのSteamタグ(ジャンル名)候補を好むか」と「これらの作品をどうやって見つけているか」という2つのみだ。1つ目のタグについては、第一候補と第二候補の選択も可能となっている。主要なジャンル(タグ)名の候補は以下の通りである。

「サバイバーライク(survivors-like)」は、ジャンルの火付け役となった『Vampire Survivors』のタイトルを冠した名称だ。「ローグライク」「メトロイドヴァニア」「ソウルライク」のように、ゲーム名に由来するジャンル名と言えるだろう。なお、日本国内においては「ヴァンサバライク」という名称も見受けられるが、今回の候補には挙がっていない。海外においてタイトルの一部をつなげる略称が一般的ではないためと思われる。

「弾幕天国(Bullet Heaven)」は、プレイヤーから大量の弾幕を発射できるゲームプレイに着目した名称だ。弾幕天国フェスが3年目となり、参加している開発者も多いことから、少なくとも海外においては比較的浸透しているジャンル名と言える。なお、大量の敵が押し寄せるという特徴から、「逆弾幕地獄(reverse bullet hell)」という名称も候補に挙がっている。

「オートシューター(Auto-shooter)」は、プレイヤーの攻撃が自動的に行われるというメカニクスに着目した名称だ。プレイヤーによる操作はキャラクターを動かすのみ、という『Vampire Survivors』のシステムを端的に表したジャンル名と言える。ただし、プレイヤーが攻撃操作をおこなう類似作品や近接アクションによる類似作品も多数登場しており、もしこのジャンル名に決まった場合にそうした作品にもこのジャンル名を使うのかどうかは課題かもしれない。

そのほかには、「ウェーブファイター(wave fighter)」、「大群サバイバル(horde survival)」、「多方向シューター(multi-directional shooter)」が候補に挙がっている。


Steamタグの仕組み

なお、Steamにおけるタグはユーザーが自由に入力することができる(Steam)。そうして多くの入力があったタグはSteamに承認され、作品のストアページにタグとして反映される仕組みだ。つまり、タグはユーザーから自然発生しているものが多いわけだ。承認されたタグは各国向けに翻訳もおこなわれる。

また、開発者がストアページを公開する際には、最低5個のタグが必須であり、最大20個のタグを設定可能(Steamworks)。その際、人気のタグもしくはSteamworks内の全タグリストから選ぶこととなる。タグリストを見てみると先述した候補となるジャンル名は現状一つも見当たらない。おそらくユーザーからのタグ付けが分散してしまい、Steamから承認されたタグがないものと思われる。今回の投票結果がValveに送信され、Steamが新たなタグ(ジャンル名)として採用するのかどうかは注目されるところだろう。

ジャンル名の投票はGoogleフォームにて、12月11日まで受付中だ。

Haruki Maeda
Haruki Maeda

3DアクションRPGと犬をこよなく愛するPCゲーマー。『フォールガイズ』のようなわちゃわちゃ系も大好きです。

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