北欧神話サバイバル『Valheim』開発元いわく、アプデが遅いのは“小規模スタジオ”のままでいたいから。遅い自覚はある

『Valheim』の“開発の遅さ”には理由があるという。

デベロッパーのIron Gateの幹部は、同スタジオが手がける『Valheim』について、開発の遅さを自覚しつつも、それには理由があるとの発言をおこなった。海外メディアPCGamesNが報じている。

『Valheim』はPC(Steam/Microsoft Store)およびXbox One/Xbox Series X|S向けに早期アクセス配信中の、北欧神話やバイキングをテーマにしたサバイバルゲームだ。主神オーディンのため宿敵を倒しつつ、混沌とした世界に秩序をもたらすことが目的である。自動生成される広大な世界で、狩りによる食料の確保や建築を通じて生活基盤を確立。伝説の生き物と戦ったりしつつ、世界の探索を進めることとなる。

本作は2021年2月から早期アクセスで配信されている。ピーク時には50万人を超えるSteam同時接続プレイヤー数を記録(SteamDB)。近年ではプレイヤー人口はやや落ち着きを見せているものの、それでもSteamだけで連日ピーク時には数万人のプレイヤーが集う人気作だ。しかし、実に4年半もの期間早期アクセスが続いていることや、ロードマップの変更もおこなわれたことなどから、“開発の遅さ”はたびたび話題となっている。

そんな本作のプロデューサーであるAndreas Tomasson氏とクリエイティブリードのRobin Eyre氏が、今年8月にドイツ・ケルンでおこなわれたgamescom 2025にて、海外メディアPCGamesNの取材に応じている。開発や情報公開のスケジュールについて問われた両氏は、「我々が遅いのはご存じの通り(they know we’re slow)」として、申し訳なく思っていると回答。対応の遅さに指摘があることも自覚しているようだ。一方で、どれほど情報を開示するかいつもバランスに悩んでいるのだという。サプライズ感がなくならないようにネタバレを避けたい気持ちもあり、板挟みになっているそうだ。

続けてEyre氏は、開発ペースが遅い理由としてスタジオが小規模であることを挙げつつ、「スタジオを大きく成長させすぎたくない」との考えを明らかにした。同氏いわく、ゲームのメカニクス、たとえば新しい防具を実装したい場合、その素材となる何かを落とすモンスターがいなくてはならないということを考える必要があるとのこと。そして、1体のモンスターを追加することにより、手を加えなくてはならない箇所はたくさん連なるように発生するそうだ。スタジオが小規模である場合、一つひとつの機能の実装には時間がかかってしまうが、その分ゲーム全体の構想を維持するのは簡単だという。連鎖的に無数のてこ入れが必要となるような事態を避けつつ、着実にゲームを進化させていきたいということだろう。

なお、『Valheim』ではバージョン1.0アップデート、すなわち正式リリースを2026年にすることを現在の大きな目標として掲げているとのこと。コミュニティからのフィードバックも参考に、まずは1.0で素晴らしい「キャンバス」を作り、それを永遠に拡張し続けたいとしている。またEyre氏は、「正式リリースの暁には以前に本作を遊んでいたプレイヤーにも、はじめからプレイしてもらいたい」としつつ、プレイヤーの時間を尊重し、プレイヤーがすでに構築したワールドを壊したくないという方針から、一度離れたプレイヤーが多数のアップデートを経ても問題なく途中から再開できるように精一杯取り組んできたという。正式リリースに向けた期待も高まるが、小規模スタジオであるメリットを重視するスタジオの意向も大事にし、気長に待つのがよさそうだ。

『Valheim』はPC(Steam/Microsoft Store)およびXbox One/Xbox Series X|S向けに早期アクセス配信中。Xbox/PC Game Pass向けにも提供されている。

Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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