ゲームエンジンUnity、「ゲームまるごと制作できるAI機能」を出すと表明。ノーコードで使えるAIツールで、“誰でもゲーム開発者時代”をアピール
Unity Technologiesは2月11日、Unity AIの新たなバージョンをベータ版として発表予定であると明かした。

ゲームエンジンUnityを開発するUnity Technologiesは2月11日、3月に開催予定の「GDC Festival of Gaming」にて、Unity AIの新たなバージョンをベータ版として発表予定であると明かした。海外メディアGame Developerが伝えている。
Unityは無料から利用可能なゲーム開発環境およびゲームエンジンだ。インディー・大規模開発問わずさまざまなタイトルにて採用されていることでも知られる。膨大なアセットやツールが販売されている公式マーケットプレイス「Unity Asset Store」をはじめ、充実したエコシステムもメリットの1つ。Epic Gamesが開発するUnreal Engineと並んで、業界で大きな知名度とシェアを誇っている。
Unity Technologiesの第4四半期および通年の業績発表に、同社CEOのMatthew Bromberg氏が出席。現地時間3月9日からアメリカ・サンフランシスコで開催予定の「GDC Festival of Gaming」にて、「Unity AI」の新たなベータバージョンをベータ版として発表予定であると明かした。

Unity AIは、2025年8月にリリースされたUnity 6.2よりベータ版として提供開始されたツールだ。Unity Muse・Unity Sentisなどの従来の生成AIサービスを統合するかたちで開発が進められてきた。ユーザーはUnity AIを利用することで、自然言語を用いた指示により、アセットの生成やデバッグなどを含むオーサリング作業をおこなうことができる。直近では1月13日に「Unity AI Beta 2026」としてアップデートが実施され、機能が大幅に拡充された。なお現時点では商用・非商用を問わず、本番プロジェクトでは利用できない。
Bromberg氏によれば、Unity AIの新たなベータ版では、開発者は自然言語のみを使い、Unityネイティブなカジュアルゲームをまるごと制作できるようになるという。また同氏はUnityが提供する諸AIサービスを踏まえ、ゲーム開発への参入障壁を下げ、既存ユーザーの生産性を向上させるだけでなく、コーディングをおこなわないユーザーにとっての「ゲーム開発の民主化」に繋がるとの展望を述べた。同氏は質疑応答の中で、インタラクティブなエンターテインメントの制作に携わる人が何千万人規模で増えると予測しているとも答えている。
ちなみに、業績発表ではUnity Technologiesでは2026年の目標として、上述した「AIオーサリング」のほかに「コラボレーション」を掲げている。これは、Unityの開発環境をWebブラウザ向けに移行することで、クリエイティブチーム全体のメンバーがシームレスに連携できるようにするというものだ。現在ベータとして提供されているWebベースのエディターである「Unity Studio」はその第一歩になるという。こうした方針に共通する理念としては、これまで技術者のみが扱っていたUnityを、あらゆる人の手で使えるようにするといった狙いがあるとも見受けられる。

ところで、ゲーム開発に生成AIツールを用いる上では、権利面でのリスクも気になるところ。Unity AIではサービスの中で使用されるモデルが明記されている。タスクをこなす「AI Assistant」機能では、Azure OpenAI Serviceで提供される「GPT」シリーズおよびMetaの「Llama」シリーズを採用。またアセット生成をおこなう「AI Generators」機能では、「Layer AI」や「Scenario」のほか、Unityの独自モデルを含む複数のモデルが使用されているという。昨今では、他者の著作物を学習データとして無断で利用することについては世界各国で議論がおこっている。現状本番プロジェクトでは利用できないこともあってか、Unity AIでは学習データの詳細までは開示されていないものの、サービスの基盤についての透明性を確保することも意識されているのだろう。
ちなみに先月には、Google DeepMindによって発表された生成AIアプリケーション「Project Genie」によって、人気ゲームに似通った“実際に操作可能”な映像が次々と生成され話題に(関連記事)。この発表を受けて、ゲーム関連銘柄が次々と一時的な暴落を見せ、Unity Technologiesは1月30日の終値で前日比-24.21%という数値を記録していた(Game*Spark)。とはいえゲーム業界人からは、あくまでインタラクティブな映像にとどまり、ゲームとは異なるといった実用性に懐疑的な意見も寄せられていた。

Image Credit: The Verge
今回の業績発表に出席した投資銀行からもProject Genieに関する質疑が多数寄せられていたが、Bromberg氏はAIが業界に対して、時間とともに非常にポジティブな影響を与えていくだろうと語っている。AIがゲームの分野でも目覚ましい進化を遂げる中で、AIを活用した新機能を積極的に導入するUnityの動向を注視したい。
この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。



