『ウマ娘』Steam版さっそく人気集まるも、「2バージョン」方式でそれぞれ好評率が異なって面白い。国内版・国外版でやや違う反応

『ウマ娘』Steam版がリリースされた。さっそく人気を博しているが、「2バージョン」方式であり、それぞれ好評率が異なっている。

Cygamesは6月26日、『ウマ娘 プリティーダービー』のSteam版を配信した。早速多くのユーザーが集まり好評を博している。一方でSteam版は、日本語版と英語版が別々のタイトルとして配信されており、それぞれの評価傾向も異なっているようだ。

『ウマ娘 プリティーダービー』は、実在する競走馬の名前や魂を継承したウマ娘たちが織りなす、クロスメディアコンテンツだ。ゲームではプレイヤーがトレーナーとなり、ウマ娘たちを育成。彼女たちの夢や目標に向かって駆け抜ける3年間などが、育成シミュレーションゲームとして表現されている。レースシーンは3Dグラフィックによる縦横の画面で描かれるほか、レースに勝利した際のウイニングライブなどライブシーンも搭載。育成したウマ娘を編成してプレイヤー同士が競い合うPvPも用意されている。

本作は2021年2月にiOS/Android版、2021年3月にPC(DMM GAMES)版が配信開始。Android版はPC上の仮想環境で動作するGoogle Play Games(ベータ)でもプレイ可能であり、これらは日本国内のみの展開となっている。その後、クロスメディアコンテンツでもあるアニメ版のファンの要望に応えるかたちで、2022年6月に韓国語版および香港・台湾・マカオ向けの繁体字版、2023年8月に中国本土向けの簡体字版が配信されていた。日本の競走馬という海外では馴染みの薄い題材ながら、事前登録者100万人突破やセールスランキングでも上位を獲得するなど強い人気を見せている。

そして、6月26日にはSteam版が配信開始。DMM  GAMES版と異なり、横長画面の右側に配置されたUIや、いつでウマうたジュークボックスが楽しめる機能、4Kフルスクリーン対応などSteam版ならではの調整がなされている。スマートフォンなどでプレイ中のデータと連携することも可能だ。そんなSteam版のストアページにアクセスすると、対応言語が日本語のみかつ、投稿されているレビューも日本語のみとなっている。つまり本作は日本語版であり、また本作は同日に英語版もリリースされているのだ。

本作はこれまで英語版は展開されておらず、6月26日にPC(Steam)/iOS/Androidへ英語版が配信された。英語版のストアページへアクセスすると、「お住いの地域ではご利用いただけません」とされるアクセス制限方式。4年分のコンテンツが段階的に追加されていくために、日本語版とデータ連携できないことが要因の一つとして想定される。課金体系も異なるのかもしれない。

とはいえ、英語版のSteamコミュニティハブや非公式データベースSteamDBにはアクセスすることが可能。英語版のSteam同時接続ユーザー数はピーク時に約2万5500人を記録しており、ユーザーレビューは約2100件のうち95%以上が好評としている。日本語版から4年間待ちわびたアニメファンからのものと思われるレビューが殺到しており、ライスシャワーやゴールドシップなどキャラクターへの愛を伝えるレビューが多いことが印象的だ。大絶賛と表現しても差し支えないだろう。なお、SteamDBでは独自レーティングが採用されており、Steam上のレビューステータスとわずかに異なることには注意が必要だ。

一方で日本語版は様相が異なっている。まず、非公式データベースSteamDBによるとSteam同時接続ユーザー数はピーク時に約8300人を記録。5月のSteamユーザー言語比率が英語38.24%、日本語2.68%であることを考慮すると驚異的なユーザー数と言えるだろう。そしてユーザーレビューは約140件のうち80%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得。基本的な評価は高いものの英語版に対して英語よりは少し落ちる印象だ。

というのも、本作においては先行していた DMM GAMES版の仕様が影響しているようだ。DMM GAMES版ではインストールフォルダとして、Cドライブ以外を指定可能。しかしながら、指定したドライブにインストールされるのはプログラムとしてのゲーム本体のみであり、ダウンロードする各種データ類は強制的にCドライブへとインストールされる。DMM GAMESでは多くのゲームがこの仕様となっており、数十GBのデータによりCドライブが圧迫されてしまうわけだ。

一方でSteamではほとんどのゲームにおいて、インストール先にCドライブ以外を指定すると、ゲーム本体も各種データも指定したドライブへインストールされる。しかしながら、本作のSteam版でも DMM GAMES版と同じく、データ類が強制的にCドライブへインストールされてしまうのだ。Steam版においてCドライブ強制仕様の改善を期待していたユーザーからの不満が表れており、不評レビューのほとんどで指摘されているほか、好評とするレビューにおいても指摘されている状況となっている。日本語版の評価が英語版よりも低くなっている大きな理由と言えるだろう。ちなみに、英語版でもCドライブ強制仕様についてわずかに指摘されているが、そこには注目が集まっていないようだ。

こうした指摘を受けて公式より6月27日に、インストールフォルダと同じフォルダにデータファイルが保存されるよう変更予定であることがアナウンスされた。詳細は後日お知らせとなっているものの、Cドライブが圧迫されてしまう状況は避けることができるようになりそうだ。今後の対応に注目される。

ウマ娘 プリティーダービー』は、PC(Steam/DMM GAMES)/iOS/Android向けに配信中だ。

Haruki Maeda
Haruki Maeda

3DアクションRPGと犬をこよなく愛するPCゲーマー。『フォールガイズ』のようなわちゃわちゃ系も大好きです。

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