戦時下過酷生活ゲーム『This War of Mine』新DLC発表、本編発売後10年経っても戦火やまぬ世界への新たなメッセージとして。収益はすべて寄付へ
デベロッパーの11 bit studiosは11月15日、『This War of Mine』の新DLC「Forget Celebrations」を発表した。チャリティーDLCになっており、収益はすべて慈善団体などに寄付されるという。
『This War of Mine』は2014年11月15日に発売された、民間人として戦時下を生き抜くサバイバルゲームだ。現在はアップデートによる内容などを含めた『This War of Mine: Final Cut』として発売されている。本作の舞台となるのは、戦争下で敵に包囲された架空の都市ポゴレン。プレイヤーは食料と医薬品の不足に苦しむことになるが、狙撃手や敵対するスカベンジャーに常に狙われているなど、過酷な状況にある。
本作にてプレイヤーは、昼間は隠れ家にてモノを作り、交換し、生存者のケアをする。夜には仲間を引き連れて物資を集め、生存率を高めるのだ。そしてときには避難場所の全員を守るか、誰かを犠牲にして生き残る者を増やすかといった、難しい判断を迫られることとなる。民間人の目線で戦争の厳しさが描かれる作品であり、スタジオにとって反戦の思いを込めた作品であるという。
発売から10周年を迎えた本日、本作に向けた新DLC「Forget Celebrations」が発表された。DLCでは引き続き包囲下のポゴレンが舞台となり、戦争特派員カティアを主人公とする新たなストーリーが描かれるという。カティアは紛争に巻き込まれた人々の悲劇を伝える書籍の執筆を手がけていたものの、ミサイル攻撃により住居が崩壊。重傷を負うなか、戦火の街で生き延びつつ執筆に必要な資料も集めていくことになる。
「Forget Celebrations」はチャリティーDLCとされており、収益はすべて寄付されるとのこと。寄付はチャリティーパートナーであるWar Child、Liberty Ukraineといった慈善団体のほか、国際人権擁護組織Amnesty Internationalや、ポーランドのインディーゲーム業界の成長促進を目指す非営利財団Indie Games Polandに向けておこなわれるそうだ。
なお本DLCのSteamストアページでは、開発の経緯も説明されている。本作は今年10月、Amnesty Internationalの「Special Recognition Award」を受賞したという。一方でスタジオとしてはこの受賞を、発売から10年が経過する中でも世界が平和に向かって前進してこなかった証左であると認識しているそうだ。そのため本作の受賞は祝い事ではなく、発売後10周年の節目に正しいことをするタイミングであると考え、チャリティーDLCの発売に至ったという。
ゲームとして好評を得つつ、反戦のメッセージ性が込められている点も評価されている本作。ロシアによるウクライナ侵攻が開始された2022年2月には、本作の収益がすべてウクライナ赤十字に寄付されるなど、本作を起点にした慈善活動もおこなわれてきた(関連記事)。とはいえ現在のウクライナの状況も含めて、発売から10年が経過するなかでも依然として世界情勢は不安定といえる。そうした状況を受け、今回はさらなる反戦の思いを込めた新しいDLCが展開される格好だ。
『This War of Mine: Final Cut』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com)/PS5/Xbox Series X|SおよびiOS/Android向けに発売中だ。Xbox Game Pass向けにも提供されている。DLC「Forget Celebrations」は近日配信予定。