「Game of the Year」でお馴染みThe Game Awardsに、「DLCやリメイクもノミネートする」との選出基準が“土壇場で”追記されざわつく。『エルデンリング』のDLC意識か
毎年恒例であるゲームの祭典「The Game Awards」(以下、TGA)。今年は12月12日に受賞作品が発表される予定であり、各部門へのノミネート作品は日本時間11月19日午前2時に公開される見込みだ。そんなTGAだが、FAQが突如更新され、一部ユーザー間では「『エルデンリング』のDLCがノミネートされているのではないか」といった憶測などで賑わっている。
TGAは、話題や人気を博したさまざまな珠玉のゲームたちに栄誉として賞を贈るイベントだ。ジャンル・音楽・アートなどの枠組みのなかで各賞が存在し、その年のもっとも優れたゲームに贈られる「Game of the Year」に何が選ばれるかは、ゲーマーコミュニティの大きな話題になるといっても過言ではないだろう。また、ゲームの新情報や新作発表の場としてもゲーマーたちの多大な注目を浴びるイベントとなっている。同イベントを主催するのは、数多くのゲームイベントに携わり、司会進行なども務めるGeoff Keighly氏だ。
突然の更新
2024年のTGAは12月12日にアメリカ・ロサンゼルスにて開催され、受賞作品が発表される。そのノミネート作品が日本時間の11月19日午前2時に公開される流れとなっている。それに先駆けて、突如TGAの公式サイトにおけるFAQの項目が更新されたと話題になったのだ。
本稿執筆時点でのTGA公式サイトにおけるFAQでは、「Are DLCs, expansion packs and remakes/remasters eligible?(DLC、拡張パック、リメイク/リマスターは対象となりますか)」という項目が存在。回答としては、リリース形態に関わらず、DLCやリメイク、リマスターでも審査員がふさわしいと判断した場合にはノミネート対象となるとのこと。一方で、コンテンツの新しさや価値/価格といった要素も考慮されるべきである、としている。
しかしその項目はもともと存在していたわけではない。インターネットアーカイブによるサービス「Wayback Machine」上にアーカイブされている、今年11月13日時点での同ページでは、「Are Game Companies Made Aware of Nominees/Winners in Advance?(ゲーム会社は事前にノミネートや受賞を知らされるのでしょうか)」の質問以降は特に何もない状態だ。またそれ以前のアーカイブを遡っても先述の「Are DLCs ……」の項目は見つからない。つまり少なくとも同項目は11月13日以降に追加されたことになる。
具体的な更新日時は不明で、TGA公式からもこうした選出基準などについての情報が明かされたわけではない。海外メディアPolygonによれば本日この更新を確認したとしており、SNS上でもWario64氏が本日言及したことをきっかけに大きな話題となっている様子であり、おそらく本日更新がおこなわれたのかもしれない。
「SHADOW OF THE ERDTREE」意識?
このいきなりの更新については、『エルデンリング』のDLC「SHADOW OF THE ERDTREE」を意識しているのではないか、といった憶測も上がっている。「SHADOW OF THE ERDTREE」はフロム・ソフトウェアが手がけるアクションRPG『エルデンリング』の大型DLC。本編とは異なる舞台「影の地」にて、神人ミケラにまつわる物語が描かれた。
同DLCは発売後3日で世界累計売上が500万本を突破(関連記事)。レビュー集積サイトMetacriticのメタスコアではすべてのプラットフォームで90点以上を記録しており、ユーザースコアも2700件ほど寄せられたうえで10点満点中8.1点と、メディアおよびユーザー双方から高く評価されていることがうかがえる。人気や評価面では、TGAにノミネートされるのに十分といえるだろう。
とはいえ、ノミネート作品は残り2日ほどで公開。ノミネート作品の選出には100以上のメディアが参加し、部門ごとの専門の審査員の投票によって選考される。この時期にFAQが変更された理由は明かされていないものの、ひっそりと“対象外”ではないことをアピールしたのかもしれない。
というのも、TGAは2014年より開催されているが、「Game of the Year」にDLCやリメイク、リマスターが選ばれた例はない。しかし「Game of the Year」の候補としては2020年にリメイク作の『ファイナルファンタジーVII リメイク』がノミネート、昨年には『バイオハザード RE:4』がノミネートされていた。別の部門でも、大型拡張パック『サイバーパンク2077 仮初めの自由』が2023年にBest Narrative部門にてノミネート、『The Witcher 3: Wild Hunt』のDLCである『The Witcher 3: Wild Hunt – Blood and Wine』は2016年にBest Role Playing Gameを受賞している。
そうしてDLCやリメイク、リマスター作品がノミネート作品として発表されるなかでは、完全新作と同じ土俵でアワードを競う点に一部懐疑的な意見もあった。そのような背景もあってか、今回は発表前に、TGAではDLCやリメイク、リマスター作品が変わらずノミネート対象であることを明確化する意図もあるのかもしれない。さらになかでも「SHADOW OF THE ERDTREE」が発売された『エルデンリング』は、2022年の「Game of the Year」としてすでに受賞歴のある作品であり、珍しい対応がとられた可能性はある。いずれにせよ、ノミネート作品発表直前の選出基準の明記により、コミュニティでは話題を呼んでいる。
なお先述したように『サイバーパンク2077 仮初めの自由』などの前例もあるため、「SHADOW OF THE ERDTREE」がTGAのいずれかの部門にノミネートされる可能性は十分にありうる。DLCながらも今年を代表する一作であり、TGA初の「Game of the Year」になる可能性もゼロではないだろう。
また別の人気作に目を向けても、今年11月までにリリースされたDLCには、『Factorio』の大型DLC「Space Age」などが粒ぞろい。リメイク/リマスターでも『ファイナルファンタジーVII リバース』『ペルソナ3 リロード』『スーパーマリオRPG』『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』と数多くの人気作が連なっている。そうした作品も含め、どんなタイトルがノミネートされるのか、発表を心待ちにしたいところだ。
【UPDATE 2024/11/16 17:20】
『The Witcher 3: Wild Hunt – Blood and Wine』についての記述を追加