売上130万本のサバイバルホラー『Alan Wake 2』、まだ開発費回収できてないとの報告。売れ行き好調もコストはそれ以上、開発元は“ジワ売れ”に期待


Remedy Entertainment(以下、Remedy)は8月9日、2024年上半期の業績報告をおこなった。公開された資料では、昨年10月に発売された『Alan Wake 2』の売り上げについて言及。開発費の大部分を回収はしたものの、まだ黒字化には至っていないという。海外メディアTheGamerなどが報じている。

『Alan Wake 2』はサバイバルホラーTPSだ。2010年に発売され高い評価を得た『Alan Wake』の続編となる。Epic Gamesがパブリッシャーを務め、Remedyが開発を手がけた。対応プラットフォームはPC(Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S。


『Alan Wake 2』の舞台となるのは前作から引き続き、アメリカ北西部の田舎町・ブライトフォールズだ。前作の主人公である人気サスペンス作家アラン・ウェイクに加え、新たにFBI捜査官のサーガ・アンダーソンがプレイアブルキャラクターとして登場。闇の世界に囚われたアランと、現実の連続殺人事件を調査するサーガをそれぞれ操作し、相互に干渉する物語を追っていく。

同作は2023年10月に配信が開始された。レビュー集積サイトMetacriticでは本稿執筆時点でメタスコア89、ユーザースコア8.6と高いスコアを獲得。The Game Awards 2023では、Best Game Directionなど3部門で受賞を果たすなど、高い評価を受けている作品だ。また開発元のRemedyによると、同社が開発したゲームとして過去最速ペースで売り上げを伸ばしているといい、今年の2月時点で売り上げが130万本を突破したことが発表。売れ行きの方も好調なことが報告されていた。

しかしながら今回の発表によると、同作はまだ開発費を回収できていないようだ。報告によると『Alan Wake 2』は「マーケティング費用を含む開発コストの大部分はすでに回収できている(Alan Wake 2 has recouped most of its development and marketing expenses.)」ものの、まだ利益をあげるには至っていないという。


一方で報告では、中長期的には『Alan Wake 2』を黒字化する公算があるとしている。同作の売り上げを上積みするための施策として、当初はダウンロード版のみの展開だったところ、パッケージ版を今年の10月22日に発売予定。さらにアートブックなど特典が付けられたコレクターズエディションが12月に発売され、また拡張DLC「レイクハウス」もリリース予定となっている。

また今年2月のRemedyの発表によると、同社が過去に開発した作品『Control』の初動は『Alan Wake 2』より鈍かったという。しかしながら『Control』はプレイヤーなどから好評を博したことで長期的に売れ続け、現在までに売上本数は400万本を突破。約1億ユーロの収益をあげているという。同報告では「素晴らしいゲームは長いあいだ売れ続ける(A great game can generate excellent long tail sales)」としており、すでに高評価を得ている『Alan Wake 2』も、将来的には大きな利益を生むことを期待しているという。

近年のゲーム業界では開発費が高騰し、コストの回収が難しくなっているとされる(関連記事)。『Alan Wake 2』の開発費用について公式に発表はされていないものの、グラフィック面でも高い品質の作品であり、やはり相応に開発コストがかかっているだろう。高評価を得ている同作が今後さらに売り上げを伸ばし、商業的にも成功を遂げた作品となるのか注目されるところだ。

『Alan Wake 2』はPC(Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S向けに配信中だ。