『スーパーマリオ64』には「秒速わずか2マイクロメートルで丸太をズラす」謎テクニックがある。使い道はまだない
『スーパーマリオ64』において、「わずかに位置をずらせる丸太が存在する」ことが紹介され、実用が難しそうなテクニックとして注目を集めている。動かせる限界まで到達するのに36日以上操作し続ける必要があるという。
『スーパーマリオ64』は、1996年にリリースされたNINTENDO 64向けアクションゲームだ。「Wii/Wii Uバーチャルコンソール」(以下、Wii/Wii U VC)や「NINTENDO 64 Nintendo Switch Online」(NSO)向けにも展開されており、現行機で遊ぶことも可能。オリジナル版の発売当時から現在に至るまで多大な人気を博し、スピードランやゲーム内部の研究も根強くおこなわれるなど、今でも活発なファンコミュニティをもつ。
そんな同作について1月14日、『スーパーマリオ』シリーズの話題を扱う海外ブログSupper Mario Brothがとある“テクニック”を紹介。SNSなどで話題を呼んでいる。今回紹介されたのは、「たかいたかいマウンテン」に存在する丸太の挙動についてだ。同ステージの丸太はマリオが上に乗って回転させることで移動する仕組みとなっているが、とある手順で回転させることで、ごくごく遅いスピードで正規の位置からずれていくというのだ。
同現象を紹介しているSjmhrp氏のYouTube動画を観ると、確かにマリオが丸太の上で奇妙な動きを続けることで、丸太が壁にめり込んで移動していくことがわかる。動画の説明によると、この現象は浮動小数点の誤差によって生じているとのこと。34フレームの間、マリオを所定の手順で動かして丸太を左右に回転させ、挙動をループさせ続けることで、丸太が少しずつズレるそうだ。手順は複数あり逆方向に動かすことも可能だが、動画で実演しているものが「一番速く」動かせる方法だという。
ちなみに丸太がズレる速度は、およそ毎秒2マイクロメートルとのこと。1マイクロメートルは1000分の1ミリであるため、1ミリ動かすのに約500秒かかるようだ。丸太を限界までズラすには約280万回操作を繰り返す必要があり、休みなしで操作し続けたと仮定した場合、36日超で達成できるそうである。
ちなみに動画では「たかいたかいマウンテン」の丸太で実演されているが、Sjmhrp氏いわく「ファイアバブルランド」に登場する同様の丸太でもおそらく可能で、またほかのオブジェクトでも再現できる可能性があるという。なお同現象を紹介しているSupper Mario Brothによると、この現象の使い道はまだ見つかっていないそうだ。
『スーパーマリオ64』における浮動小数点の誤差がもたらす現象としては、「ほのおのうみのクッパ」におけるものが知られている。Wii/Wii U VC版の同作において、同ステージ内の浮き沈みする足場が、時間とともに少しずつ上昇していくという現象だ。2018年に報告されたこの現象は「Aボタン縛り」なる縛りプレイにおいて活用され、2024年についに達成された「Aボタンを一度も押さずにクリアする」というスーパープレイに一役買っている(関連記事1、関連記事2)。
今回「特に使い道がない」と紹介された丸太の位置がズレていく現象も、将来的になんらかの活用法が発見される日が来るかもしれない。RTAアタックや目隠しクリアなど、さまざまな挑戦がおこなわれ続けている『スーパーマリオ64』。そのスーパープレイは、本現象のような一見役に立たない発見の積み重ねによって達成されているのかもしれない。