Steamは「流行ジャンルなら成功ハードル低めな“黄金時代”を迎えている」とのアナリスト見解。粗削りでも遊んでもらいやすい、流行りの力
人気を集めるジャンルにおいては、ユーザーのポジティブな反応を得られやすい環境が築かれているようだ。

ゲーム市場コンサルタントのChris Zukowski氏は、PCゲームプラットフォームのSteamを「黄金時代(golden age)」にあると表現し注目を集めている。人気を集めるジャンルにおいては、ユーザーのポジティブな反応を得られやすい環境が築かれているようだ。海外メディアGamesRadar+がインタビューの内容をもとに伝えている。
Zukowski氏はインディーゲームを中心に扱うゲーム市場アナリストだ。自身のブログ「How To Market A Game」を運営していることでも知られる。ゲーム開発者向け会議であるGDC(Game Developers Conference)には毎年登壇しており、今月開催された「GDC Festival of Gaming」においても講演をおこなっていた。それに際して、GamesRadar+がZukowski氏へのインタビューを実施した。
この中でZukowski氏は、今年のSteamを指して「黄金時代」にあると発言している。同氏はまず例として、過去に『Vampire Survivors』の登場後に起きたムーブメントに言及。『Vampire Survivors』といえば、Steamで2021年12月に早期アクセス配信開始され、2022年10月に正式リリースされたタイトル。早期アクセス配信時から国内外で熱狂的な人気を誇ったインディーゲームだ。のちに「Survivors Like(ヴァンサバ系)」などと呼ばれる独自のジャンルを形成するに至った。

同氏は当時のプレイヤーを「お酒を飲んで自制心が低下しているようだった」と表現。というのも、ヴァンサバ系というだけでプレイしてもらいやすく、たとえ面白くなくとも他の作品を次々と求めるユーザーがいるような状況にあったようだ。同氏はこうした状況に身を置くことができたらさぞかし良かっただろうと語っている。
Zukowski氏が今日のSteamを黄金時代と呼ぶ背景には、多くのプレイヤーの自制心が弱まり、さまざまなタイプのゲームを試してみようとするといった同様の現象が、他のジャンルでも起きているからだという。たとえば、『R.E.P.O.』や『PEAK』に代表される「Friendslop(フレンドスロップ)」と呼ばれる協力マルチプレイ型の作品群も近年では人気のジャンルとして注目を集めているが、類似のスタイルをもった作品がヒットを掴み取る様子も実際にここ最近ではよく見受けられる。いわば人気の作品と同じ括りとして人気に相乗りすることが可能になっているといえるわけだ。

ただし、そうした傾向は初期の寛容さ(early forgiveness)によるものだとZukowski氏は指摘している。たとえば2025年には『Megabonk』『Deep Rock Galactic: Survivor』などの人気作品が登場するなど、ヴァンサバ系のゲームは以前として大きな影響力がある一方で、同ジャンルの作品数が増加するに従って、品質の基準はどんどん上昇しているのだという。逆に、流行して間もない他のジャンルではまだプレイヤーが作品の数を求めている段階にあり、多少の粗削りは許容されうるとの考えを説明。同氏はそういう点でPCゲームが好きだと述べている。比較的審査が厳しいコンソールよりもリリースしやすく、それゆえに人気のジャンルにあやかったヒットを手繰り寄せやすい環境が築かれているのだろう。
ちなみに、Zukowski氏は今日の状況はあくまで「黄金時代」であって、「ゴールドラッシュ」ではないと強調。つまり、金の出る土地に自ら赴かなくてはチャンスを得られないようなものではなく、参入障壁が下がり、能力に関わらず誰もが混ざれるムーブメントであるというわけだ。

PCゲームやインディーゲームを取り巻く情勢を長年分析するZukowski氏が、「黄金時代」との大胆な表現をおこなったというのは興味深いところだ。ところで、2025年のホリデーシーズンのSteamでは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる巣ごもり需要で大きな成長が報告された2020年の同期を超え、過去最大の収益になったという推計が報告されていた(関連記事)。またSteamは今年に入ってからも同時接続ユーザー数を更新し続けている。新作数の膨大さから競争率が高い側面もあるとみられるが、開発者にとって成功を掴み取りやすい土壌も着実に形成されているのだろう。
とはいえ、もしZukowski氏の述べるような傾向があるとすれば、質が求められるように変化していったというヴァンサバ系のように、他のジャンルでも作品数が増加するにつれて、ヒットするために要求されるレベルは上がっていくものと考えられる。また新たな流行ジャンルが途切れることなく次々に現れ続けるとも限らず、“Steamの黄金時代”はいつまで続くのだろうか。
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