『PAYDAY 3』開発元、2024年は前年比で70%も売上が落ちていた。評価の巻きなおし図るも、苦境は続く

Starbreeze Studiosは2月18日、2024年第4四半期および2024年通期の財務報告書を公開。報告の中では2023年通期と比較し大幅に売り上げが減少した旨が伝えられている。また海外報道にて、フランス・パリのスタジオが閉鎖寸前との報道もなされている。

Starbreeze Studiosは2月18日、2024年第4四半期および2024年通期の財務報告書を公開した。2024年通期は、2023年通期と比べ7割ほど売上高が減少したとの報告がされている。また海外メディア80 Levelによれば、売上不振を背景に、フランス・パリのスタジオが閉鎖寸前であるという関係者証言も伝えられている。

Starbreeze Studiosはスウェーデンのストックホルムを拠点とするデベロッパー兼パブリッシャーだ。傘下にクライムCo-opアクションゲームである『PAYDAY』シリーズを開発したOVERKILL Softwareなどをもつ。

また『PAYDAY』シリーズの最新作としては2023年9月に『PAYDAY 3』がリリースされている。対応プラットフォームはPC(Steam/Epic Gamesストア/Microsoft Store)/PS5/Xbox Series X|S。本作では前作『PAYDAY 2』から数年後のニューヨークを舞台として、犯罪集団Payday Gangが新たな強盗計画に挑む。

前作『PAYDAY 2』はSteamにて25万人の同時接続プレイヤー数を集め、レビューも9割が好評を投じる人気作であった。しかし『PAYDAY 3』は、発売当初にはマッチングエラーの多発をはじめ、システムの変更による不満や指摘も相次ぎ、Steamユーザーレビューでは好評率が40%を切る「やや不評」ステータスを獲得するという苦しい立ち上がりとなっていた(関連記事)。なおその後はソロモードやポーズ機能の実装、コンテンツの追加、バグ修正などのアップデートがおこなわれ評価も少しずつ改善(関連記事)。本稿執筆時点では約4万3000件のレビューのうち42%が好評とする「賛否両論」ステータスまで持ち直している。

今回の財務報告では、そんな『PAYDAY 3』の2024年通期の売上が明かされた。2024年通期では、全プラットフォームにおける全エディション、全DLCを合算した同作の売上は8290万スウェーデンクローナ(約11億7000万円・現在のレート)を記録。ローンチした年であることも考慮する必要があるが、2023年通期の売上金額4億7700万スウェーデンクローナ(約67億6000万円)と比較すると、大幅に減少していることがうかがえる。なお前作『PAYDAY 2』は2024年度が4180万スウェーデンクローナ(約5億9200万円)、2023年度が1億3910万スウェーデンクローナ(約19億7000万円)となっており、主力タイトルの売上高は下落傾向にあるようだ。

また全体のオンライン上での売上高については、2024年では1億8585万スウェーデンクローナ(約26億3340万円)を計上。2023年の売上高は6億3351万スウェーデンクローナ(約89億7640万円)となっており、2023年から2024年にかけて、売上高の7割減を記録。2024年と2023年の第4四半期売上高を比較しても3割程度の減収となっている。

なお80 LevelがStarbreeze Studiosの元スタッフの証言として伝えるところによれば、同スタジオではここ3か月にわたり従業員がレイオフされてきたという。財務報告における人員は2023年度から2024年度にかけて7名の減少と報告されているものの、スタッフの証言として伝えられるところでは30人ほどがレイオフの影響を受けたのではないかと報じられている。さらに同社フランス・パリスタジオの社内向けメッセージのやり取りでは、パリスタジオ全従業員の約12%にあたる、23人のレイオフが実施される可能性も示されているとのこと。

いずれにせよ、財務報告では『PAYDAY 2』『PAYDAY 3』の大幅な売上高減少が公開され、Starbreeze Studiosの苦戦がうかがえる。Starbreeze Entertainmentの暫定CEOを務めるMats Juhl氏は、『PAYDAY 3』の今後について、PS Plus会員向けの2月のフリープレイに登場することで収益に貢献してくれるだろうという見方を示した。またオンラインプラットフォーム『Roblox』にて『PAYDAY』シリーズのオマージュとして生まれた『Notoriety』とのライセンス契約や(関連記事)、『PUBG』との戦略的提携の発表によって、ファンを獲得できる機会が増えると見込んでいるようだ。そうした施策が実を結ぶかどうかは注目されるところだろう。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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