『Slay the Spire 2』にて、「HP上限値を999999999にする」アプデ配信。“無限ループコンボ”でオスティの体力がオーバーフローしちゃうので

Mega Critは3月13日、『Slay the Spire 2』に向けてパッチ v0.99を配信した。

デベロッパーのMega Critは3月13日、『Slay the Spire 2』に向けてパッチ v0.99を配信した。そのアップデート内容の中で、キャラクターのHPの上限が9億9999万9999となったことがネット上で注目を集めている。この一風変わった調整にはどうやら、本作の新キャラクター・ネクロバインダーとオスティが関係しているようだ。

『Slay the Spire 2』は3月6日に発売されたデッキ構築型ローグライクゲームだ。前作『Slay the Spire』は2017年にSteamで早期アクセスの配信を開始したのち2019年に正式リリース。その高い中毒性と戦略性は後続の作品に多大な影響を与えている。

本作では、プレイヤーは三層に重なる塔をモンスターとの戦闘を挟みつつ登っていく。戦闘では毎ターン、デッキから引かれる5枚のカードの中から行動を選択して展開していく仕組みだ。カードは戦闘の報酬等として1枚ずつ獲得でき、塔を登るたびにデッキ構成が変化していく。ローグライク要素による予測不能なプレイ体験が本作の最大の特色となっている。

そんな『Slay the Spire 2』では、発売から1週間を経た3月13日にパッチv0.99が配信された。特定の状況で発生していたクラッシュの修正をはじめ、各種バグへの対応やレリックの意図しない挙動の調整などが主に実施されている。

そんな中、唯一バランス面に関わる調整として加えられたのが、プレイヤー・敵・ペットの体力上限を9億9999万9999にするという制限だ。『Slay the Spire 2』のプレイアブルキャラクターの初期体力がおよそ80HP前後であることを考えると、この数値は現実味がないほど巨大といえる。どうやら今回のバランス調整には、熟練プレイヤーの間で流行しているネクロバインダーの戦術が背景にあるようだ。

ネクロバインダーは本作から登場する新しいプレイアブルキャラクターだ。オスティと呼ばれるペットを使役して戦う点が特徴となっている。オスティは戦闘開始時は1HPしか持たないものの、プレイヤーの代わりにダメージを引き受け、死亡しても次ターンには復活する性能を持つ。そのため、ネクロバインダーは「召喚」と呼ばれるギミックでオスティの最大HPを増幅し、敵からの攻撃を肩代わりさせることで、高い耐久性を得ることができる。

このオスティについて熟練プレイヤーのあいだでは「不死身化」させる戦法が広まりつつあるようだ。Redditではすでに、この戦術を実際に用いたプレイ動画が複数投稿されており、コミュニティ内で注目を集めている。

オスティを「不死身化」させる戦法はいくつか考案されているようだが、その中核となるのはXエナジーを持つスキルカード「葬送歌」だ。「葬送歌」は「召喚3をX回行う。ソウルをX枚山札に加える。」という効果を持つ。このカードを大量のエナジーとともに発動することで、召喚ギミックでオスティの最大HPを底上げしつつ、「ソウル」カードをデッキへ大量に追加する。

これによりオスティは敵の攻撃を防ぐ頑強なブロッカーとなり、それに加えてデッキには0エナジーのドローカードである「ソウル」が大量に挿入されている状態になる。次のターンでは、その「ソウル」を次々と消費して再び「葬送歌」を手札に加え、同様の流れを繰り返すわけだ。プレイヤーによっては手札の破棄能力のあるカードを活用して、キーカードだけ残して効率よくループコンボを成立させる方法もあるようだ。

なおコンボに必要なエナジーを大量発生させる方法は複数確認でき、たとえば次のターンに2エナジーを生成するスキルカード「祈祷」を使うほか、レリックでエナジーを増大させたり、リプレイ・エンチャントをカードに付与させて効果を倍加させるなどさまざまなパターンがあるようだ。共通しているのは「ソウル」による大量ドローによってキーカードを手札に呼び込むこと、そして大量に貯めたエナジーで一気呵成にオスティの体力を増幅させることだ。

このサイクルを繰り返すことで、オスティの最大HPは常に敵の攻撃数値を上回る状態となり、実質的に「不死身」の状態が完成する。本来はこの不死身化を完成させた時点で攻撃に転じ、戦闘を終了させるのがゲームの趣旨ではあるものの、なかにはオスティのHPをどこまで増やせるかという点にやり込み要素を見出しているプレイヤーもいるようだ。実際にReddit上では、オスティのHPを1万以上にまで引き上げたプレイヤーの存在も確認されている。

今回配信されたパッチは、こうしたオスティの“体力無限化”に対して開発側が対策を施したものだ。本作のリードプラグラマーを務めるJake Card氏がRedditに登場し、その意図を説明している。Card氏によるとオスティに関わるいくつかの召喚コンボによって体力が想定以上に増加し、ゲームのHP管理に用いられている32bit整数の上限を超えてしまうケースが発生していたという。その結果オーバーフローによるクラッシュレポートが寄せられていたとのこと。そのため、32bit整数が表現できる最大値である21億4748万3647に収まる範囲で、9億9999万9999という上限が設定されたというわけだ。

ちなみにCard氏によれば、より大きな数値を扱うことができるlong型にするかたちで問題を修正した場合、HPに応じて変化するすべての効果もlong型に変更しなければならなかったといい、コードベース全体に及ぶ変更を避けるために今回の対応方法が選ばれたことが説明されている。

Comment
byu/charlesatan from discussion
inslaythespire

ちなみに開発陣は過去にゲームを「破壊」するような遊び方は大歓迎だと語っており、それは意図されていないシナジーを見つけて自身を最強にしてしまうのがカードゲームの楽しさだからだと説明していた。そのうえで、もしバランスが壊れるほどのシナジーを見つけ出してしまった場合にはナーフを実施すると語っていた(関連記事)。

しかしながら、今回の素早い対応はカード性能のバランス調整というよりも、ゲームシステム側の限界に起因しておこなわれた少し珍しいケースといえる。オスティのHPを9億9999万9999を超えてまで引き上げてしまうプレイヤーの出現は、開発側にとっても想定外だった模様。ループコンボで無限にも思える膨大な体力を得たオスティだったが、そこには“システム上の限界”があったようだ。

『Slay the Spire 2』はPC(Steam)向けに早期アクセス配信中だ。なお、本作は日本語表示に対応している。

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Kousetsu Taguchi
Kousetsu Taguchi

レトロゲームショップに入ると真っ先にセガサターンのコーナを確認するタイプです。

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