『サイレントヒル2』リメイク開発元Bloober Team、“クソゲー”を生み出したこともあるけどスタジオは進化したと自信示す
Bloober Teamは10月18日、『Cronos: The New Dawn(クロノス:新たなる夜明け)』を発表した。対応プラットフォームはPC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S向けで、2025年発売予定。同作の開発者が海外メディアに対してスタジオの近年の動向を紹介し、興味深いエピソードも語られている。
Bloober Teamは、ポーランドに拠点を置くスタジオだ。『Layers of Fear』シリーズや『The Medium』など、近年ではさまざまなホラーゲームを手がけてきたことで知られる。直近ではコナミにより10月8日にリリースされた『SILENT HILL 2(サイレントヒル2)』リメイク版の開発を担当。高い評価を獲得し、発売後3日間で全世界累計出荷本数が100万本を突破したことも報告されている(関連記事)。
そんなBloober Teamは10月18日に、新作『Cronos: The New Dawn(クロノス:新たなる夜明け)』(以下、Cronos)を発表した。PC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S向けに、2025年発売予定。過去と未来を行き来する三人称視点サバイバルホラーゲームになるという。
同作の発表に際して、海外メディアGameSpotはゲームディレクター兼デザイナーを務めるWojciech Piejko氏、およびディレクター兼プロデューサーのJacek Zieba氏にインタビューを実施。このなかでは、近年のBloober Teamの内情も明かされている。
まずZieba氏によれば、今のBloober Teamには「ホラーを作る会社になりたい」という方針が明確にあるそうだ。というのもBloober Teamはかつて、スマートフォンやコンソール向けのゲームなどを主体に、ホラーゲームに限らないゲーム開発を手がけていた。Zieba氏によれば、そうして業界の中でのニッチなポジションを見つけようとしていたという。
かつてのBloober Teamはたとえば『A-Men』シリーズなどの横スクロールアクションゲームを開発したほか、2014年にはPS4向けにボンバーマン風の対戦アクションゲーム『Basement Crawl』をリリース。しかし同作はコンテンツ不足や品質面などからメディアやユーザーから酷評を受け、ゲームエンジンを刷新して1から再開発され『BRAWL』と名を変えて“再リリース”される結果となった。
過去のBloober Teamはさまざまなジャンルの作品を手がけつつも定評を得られず、苦戦していた様子も見える。一方でその後2016年にリリースされた『Layers of Fear』は高い評価を獲得し、以降Bloober Teamはさまざまなホラーゲームを手がけるスタジオとなった。Zieba氏によると2016年の『Layers of Fear』リリース時には、スタジオの皆が「自分たちはクソゲー(shitty games)も作ってきたけど、進化できるんだ」といった手応えを感じているようだったという。Zieba氏は、そうしてホラーゲームの開発元というポジションを見出したと考えているそうで、今後はホラー会社としてさらに進化していきたいとのこと。またPiejko氏は、今やホラーが大好きなスタッフが集まっていることもあり、ほかのジャンルに切り替えるのは困難で、切り替えたいとも思わないそうだ。
『Cronos』はそんな同スタジオにとってのオリジナル新作のサバイバルホラーゲームとなる。Zieba氏によると、スタジオでは『Cronos』が、『SILENT HILL 2』リメイク版に続く「2発目のヒット作」になることが期待されているという。『SILENT HILL 2』リメイク版は同スタジオが手がけたゲームのなかで最高の評価を得たゲームであり、“Bloober Team 3.0”の始まりと見なされているとのこと。また『Cronos』と『SILENT HILL 2』リメイク版の開発チームは大きく異なるものの、『SILENT HILL 2』リメイク版における射撃戦などを開発する際のノウハウは、三人称視点型のサバイバルホラーゲームとなる『Cronos』の基礎を形作るのにも活用されたという。
なおインタビューによれば、『SILENT HILL 2』リメイク版リリースまでの数年間は大変な道のりだったそうだ。Bloober Teamがこれまで手がけてきた『Layers of Fear』シリーズや『Observer』シリーズなどは、基本的にはリソース管理や戦闘といった要素がない一人称視点のホラーゲームであった。三人称視点ホラーゲームである『The Medium -霊- 』を手がけた実績はあったものの、そんな同スタジオが傑作と名高い『SILENT HILL 2』のリメイクを手がけることが明かされた後、発売前にはインターネット上で「Bloober Teamではリメイク版の開発元として力不足ではないのか」といった批判的な意見も見られた。開発チームもそうした風潮を認識しており、大きなプレッシャーの中で開発が進められたという。
一方で先述のとおり、『SILENT HILL 2』リメイク版はリリース後に高い評価を獲得。発売前の批判や懸念をはねのけることとなった。今スタジオ内は非常に良い雰囲気だという。オリジナルの新作『Cronos』では、Bloober Team自身で何ができるか、そしてアイデアをどのように昇華させられるかを示したいという意気込みも明かされている。
今やホラーゲームの開発元としてのイメージが強いBloober Team。さまざまなジャンルのゲームを手がけつつ、模索を経てたどり着いたポジションだったようだ。ちなみにBloober TeamのCEO・Piotr Babieno氏は過去に、コナミとBloober Teamの協力関係が『SILENT HILL 2』リメイク版で終わりではないことも示唆していた(関連記事)。また先述のPiejko氏は米IGNに対してスタジオがあらゆるチャンスに対してオープンであるとも語っており、オリジナル新作やリメイクなど、今後もさまざまな方面でホラーゲームの名手として活動していく方針なのだろう。
『Cronos: The New Dawn(クロノス:新たなる夜明け)』は、PC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S向けに2025年発売予定。また『サイレントヒル2』リメイク版は、PS5/PC(Steam)向けに発売中だ。