開発者のmslivoが手がける“砂テトリス”こと『Sandtrix』が、現在国内の動画サイトやSNSなどで大きな注目を浴びている。多くの人々が本作について話題にしているものの、本作PC(Steam)版は思いのほか遊ばれていないようだ。本作は無料(itch.ioではName your own price方式)でPC(Steam/itch.io)およびCrazyGamesにてブラウザ向けに配信中。有料拡張版の『Sandtrix+』も、PC(Steam/itch.io)向けに発売中だ。
『Sandtrix』国内コミュニティで“砂テトリス”とも呼ばれるパズルゲーム。本作では、縦長のフィールドの上からテトリミノ風のブロックが降ってきて、それらを積んでプレイする。ここまでは『テトリス』と同じだが、接地したブロックは砂のようにサラサラと崩れることが大きな特徴だ。ブロックは形状ごとに色分けされており、同じ色の砂でフィールドの左右が繋がると、ラインが揃ったとしてその砂が消える仕組み。
オリジナル版である『Sandtrix』は2023年5月より無料で公開されており、定番パズルゲーム『テトリス』風のシステムと、“砂”の要素を組み合わせたユニークなゲームプレイにより注目を集めSNS上などでも話題となった。もともと『Setris』という名前だったものの、『テトリス』版権元からの異議申し立てにより改題するなどの一幕を経て、2023年8月には有料拡張版『Sandtrix+』がリリース(関連記事)。本稿執筆時点で100件のSteamユーザーレビューを集め、うち93%が好評とする「非常に好評」ステータスを得ている。
『Sandtrix』が話題となってから約1年が経つ現在、なぜかふたたび本作に急速に注目が寄せられているようだ。たとえば、X(旧Twitter)上では「砂テトリス」を含むポストが頻繁に投稿されており、プレイの様子を伝える動画なども散見される。また、実況配信者やVTuberなどによるプレイ動画への反響も多く見られる状況だ。
こうして本作がふたたび脚光を浴びたきっかけは定かではない。しかし、今年7月25日ごろから、チャンネル登録者数約40万人をもつP-P氏といった、複数の配信者が本作プレイの様子を公開。P-P氏の配信の場合には、37万再生を集めるといった盛り上がりが見られる。その後も、配信者のにら氏が実況プレイ動画にて120万再生を記録。8月16日には、「テトリスの神」の異名をもつ『テトリス』プロゲーマーのあめみやたいよう氏が、本作の実況プレイを配信するに至っている。
こうして脚光を浴びた『Sandtrix』ながら、どうやらSteamでの同時接続プレイヤー数は思いのほか伸びていないようだ。もちろん、実況プレイが人気を博した7月25日以降、人口増の傾向は見られる。無料版の『Sandtrix』については、ピーク時同時接続者数178人を記録(SteamDB)。有料の『Sandtrix+』については、最大42人を記録している(SteamDB)。いずれのバージョンも、それ以前には毎日最大10人前後の同時接続者数で推移しており、プレイ人口の盛り上がりは明らかだろう。
しかしながら、SNSや実況配信での盛り上がりぶりからすると、Steamでの人気上昇具合はやや物足りない印象も受ける。単純には比較できないものの、過去にはアクションゲームの『Halls of Torment』が人気配信者の紹介でバイラルヒットとなり、いきなり一日の最大同時接続プレイヤー数が2万3000人ほど伸びた事例もあった(関連記事)。単純には比較できないものの、『Sandtrix』のSteam版プレイヤー人口増が控えめなのは、本作が“遊びやすすぎる”点がありそうだ。
というのも、『Sandtrix』のitch.io版については、ブラウザで開けばそのままプレイできる。Steamで本作をダウンロードせずとも、直接本作に触れられるわけだ。また、本作はブラウザゲーム配信サイトのCrazyGamesでも公開中。Steam版を利用せずとも、端末を選ばずに手軽に遊べるがゆえに、Steam版は数字上いまひとつの伸びとなっていると考えられそうだ。
なお、本作の有料拡張版『Sandtrix+』では、「ブロックが砂になると色が消える高難度モード」や、別テーマ/エフェクトといったさまざまな要素が追加。動画などで本作の魅力に惹かれた方は、ぜひ本作に触れ、拡張版の購入も考えてみるとよいだろう。
『Sandtrix』はPC(Steam/itch.io)およびCrazyGamesにてブラウザ向けに無料配信中。『Sandtrix+』はPC(Steam/itch.io)向けに発売中だ。価格はSteam版が920円、itch.io版が7.99ドル(約1179円)となっている。