ながら農業放置ゲーム『Rusty’s Retirement』30万本以上売れていた。“デスクトップ下半分”を使うユニークなコンセプトがSNS上でバズり、現代ユーザーのニーズも満たす


デベロッパーのMister Morris Gamesが開発した“画面の下半分しか使わない”放置系農業シミュレーション『Rusty’s Retirement』。4月26日の発売以降、本作は8月時点で30万本以上の売り上げをすでに達成したという。海外メディアGameDiscoverCoが報じている。

『Rusty’s Retirement』は2024年4月26日に発売された放置系農業シミュレーションゲームだ。対応プラットフォームはPC(Steam)。本作の大きな特徴は、PC画面の下部分しか使用しないため別の作業と並行してプレイできる点だ。プレイヤーは主人公のラスティやお手伝いロボットたちに指示を出しつつ、農場の発展を見守っていく。

本作は高評価を得ており、Steamユーザーレビューにおいても本稿執筆時点で7300件中96%が好評とする「圧倒的に好評」ステータスを獲得。ピクセルアートで描かれたかわいらしいグラフィックに加え、PC画面の下部分しか使わず、他の作業をしながらもマルチタスクで行えるユニークな農業シム体験などに多くの好評の声が上がっているようだ。

そんな本作において、海外メディアGameDiscoverCoは開発を手がけたJordan Morris氏に対しインタビューを実施。その中でJordan氏は、本作のSteamにおける詳細な売上データを公開している。それによると、8月時点で本作はすでにSteamにて売上本数が30万本を突破していたという。

そしてJordan氏は本作のSteamにおけるプレイヤーの国別割合のデータも公開している。最も多いのが中国ユーザーで割合は約26%。そしてアメリカの約22%に次いで、日本は3位の約10%となっている。日本ユーザーからの高い人気もさることながら、韓国が約6%、台湾が約4%という数字で上位に位置しており、本作はどうやらアジア圏で大きな人気を博しているようだ。

こうした本作の売上について、同氏は『Rusty’s Retirement』が画面の下半分しか使わないという点で他の放置系シミュレーションと差別化を図れたからではないかと分析。同氏自身も「もうゲームをする時間があまりない」と述べた上で、気軽に放置しながらプレイするのが好きだという。そういったゲームを好むプレイヤーに対して、本作のコンセプトをアピールするためにXやInstagramリールでプロモーションをおこない、それが多くの人に刺さったのだろうとしている。実際、本作は発売前のSNSプロモーションでそのユニークなコンセプトが多くのSNSユーザー間で話題にのぼっていた(関連記事)。


さらに同氏は、そういったコンセプトだけでなく、ゲームの核となるアクションを「種を植えること」「農作業を自動化するものを置くこと」の2つに単純化することで、カジュアルな農業シムプレイヤーと、効率化を最大限まで求めるプレイヤーの両方に対応したかったと語っている。そういった幅広いプレイスタイルに対応する本作の奥深さも、好評の理由のひとつなのだろう。

そして本作の価格設定も肝だという。同氏によれば、Steamにおける放置系ゲーム (無料~5米ドル) と 農業シム(10~15米ドル) の中央値および平均価格に基づいて本作の価格を選んだとのこと。本作は「通常の放置系ゲームよりはコンテンツが多いが、本格的な農業シムとしては物足りない」という理由で、Steamにおける7米ドル(日本向けには税込750円)に決定したという。そうしたお手頃な価格感が、よりユーザーの購入を促進したという点もあるのかもしれない。

本作のような「ゲームであるが、積極的にプレイする必要がない」といったジャンルにおいては、作業集中ツールである『Spirit City: Lo-Fi Sessions』のようなタイトルもSteamにて好評を博している。そういったゲームの人気の背景には、ゲームにプレイヤーが割ける時間が多くなくなっているといった傾向も関係しているのだろう(GamesIndustry.biz)。その他にもJordan氏は、本作におけるDLCの販売本数や売り上げチャート、ウィッシュリストチャートにいたるまで極めてオープンに本作の情報をGameDiscoverCo(英語)に明かしている。興味のある方はチェックしてみるとよいだろう。

『Rusty’s Retirement』はPC(Steam)向けに発売中。価格は税込750円。