『ARC Raiders』新アプデで“ドア抜けグリッチ”悪用者を「絶対許さない対策」実装。ズルしたら燃やす

Embark Studios は11月27日、『ARC Raiders』に向けてパッチ1.4.0を配信した。パッチノートで 「ベリーホットフィックス」 と記された一風変わった対策が、大きな反響を呼んでいる。

Embark Studios は11月27日、『ARC Raiders』に向けて新たなパッチ1.4.0を配信した。さまざまな修正があるなかでもロックルームへの不正侵入に対しては、パッチノートでも 「ベリーホットフィックス(a very hot fix)」 と記された一風変わった対策が施され、コミュニティで大きな反響を呼んでいる。

『ARC Raiders』はPvPvE形式の脱出型シューターだ。ソロプレイまたは最大3人でのチームプレイに対応。本作の舞台はARCと呼ばれる謎の機械によって荒廃した未来の地球。プレイヤーは「レイダー」と呼ばれるならず者のガンマンとなり、ARCや敵対するほかのレイダーなどと地表で戦う。戦闘や探索を通じて手にした貴重な物資を、地下居住区「スペランザ」へと持ち帰ることを目指す。

本作は10月30日にリリースされてから高い人気を博しており11月11日には世界累計販売本数が400万本を突破したことも報告された(関連記事)。発売から1か月たった現在でもSteamだけで15万人~35万人の同時接続プレイヤー数を維持している(SteamDB)。

今回のアップデートでは、武器クイックスワップによる高速射撃バグが解消。テクスチャ・ライティングの異常、プレイヤーを押し合えてしまう挙動、ボイス設定の不具合などに修正が施された。そして、スペースポートの制御タワー外部からの侵入ルートも遮断。さらに修正では、長らく問題となっていた“ドア抜けグリッチ”に対し、開発が極めてユニークかつ強烈な対策を実施した。

本作においては通常は専用キーで解錠するロックルームに、本来の方法を使わずに侵入できるドア抜けグリッチがコミュニティ内で報告。バランスを揺るがしかねないとして議論の的になっていた。今回はそんなドア抜けグリッチに「a very hot fix(かなり火急の修正)」として対策が実施。これがただドアの当たり判定を厳しくする、といった一般的な修正ではない点が注目を浴びている。

というのも今回の修正では、ドア抜けグリッチ自体は健在。ロックルームに入ることはできるものの、“不正に入られたその部屋を炎上エリアに変える”という変更がおこなわれている。パッチ適用後、プレイヤーがグリッチを利用してロックルームへ侵入すると、内部は視界一面の炎に包まれ、ダメージ判定によって即座に焼死する。コミュニティでは、この仕様変更が開発のパッチノートにおける「a very hot fix」という表現と直結したユーモアのある調整としてユーザーの笑いを誘っている(Reddit)。

元々このグリッチは、レイダー同士の交戦やARCの脅威を避けながら鍵を探すといったリスクなしで貴重な戦利品の多いロックルームを漁り放題になるものであり、常習的に使うユーザーも一部存在していた。リスク・報酬のバランスが大きく崩れており、鍵の価値が完全に失われていることを嘆く声も目立っていた。

そんな中で実施された“焼却型ホットフィックス”は、単なる早急なバグ修正ではなく、悪用者を懲らしめる意図もあるのかもしれない。炎による即死は視覚的・体感的なインパクトが強く、SNS上では試しに突っ込んだプレイヤーが一瞬で灰になったクリップが既に多数共有されており、「想像以上にえげつない」といった声が並んでいる。

興味深いのは、Embark Studios がこの種の“制裁型修正”を行うのは今回が初めてではないという点だ。以前にも、ダム戦場に存在する「管制塔の鍵で入る部屋」への不正侵入が可能になる方法が問題となったとき、同スタジオは塔内部の構造を手直しし、正規ルート以外で侵入しようとしたプレイヤーが「部屋に入れず落下死するしかない」ように仕様を変更したことがある。唯一脱出できそうな梯子があるのだがなぜか途切れており、気づかず降りてくれば落下死するか、うまく降りられたとしても、また捕まるのが非常に難しい作りになっているため、多くのプレイヤーがそのまま奈落へ落ちていく様子がコミュニティで投稿されて話題になった(Reddit)。

対人要素のある本作では、バランスを崩しかねないグリッチは今後も修正されていくことになるだろう。とはいえ特に悪名高いグリッチには単なる修正ではなく、悪用者を懲らしめるような対応がとられる点は本作の特徴といえるかもしれない。今後のアップデートでも、この“Embark流の遊び心のある修正”がどのような形で続いていくのかは注目点となりそうだ。

『ARC Raiders』はPC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S向けに発売中だ。

Motoharu Ono
Motoharu Ono

隠れた名作に目がない一方で、話題作にもすぐ手を伸ばすミーハー気質のゲーマー。『ゴースト・オブ・ツシマ』では本編よりもマルチプレイにハマり、アーマードコアの新作を心待ちにしている。

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