FuturLabが手がけた高圧洗浄シミュレーションゲーム『パワーウォッシュシミュレーター（PowerWash Simulator）』について、「メンタル改善に効果がある」との傾向を示唆する研究結果が報告されている。オックスフォード大学の研究によれば、本作のプレイによって気分が前向きになるプレイヤーが72％の割合に上ったとするデータが得られたという。海外メディアGamesIndustry.bizなどが報じている。
『パワーウォッシュシミュレーター』は、高圧洗浄シミュレーションゲームだ。PC（Steam/Microsoft Store）/Nintendo Switch/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けにリリースされている。
本作ではソロプレイに加え、最大6人での協力マルチプレイにも対応。プレイヤーは、高圧洗浄機を使って汚れを落とすプロの掃除屋となり、車から機関車、一軒家、遊園地まで大小さまざまなオブジェクトを、綺麗さっぱり洗浄する依頼をこなす。高圧洗浄機には豊富なカスタマイズ部品やアップグレードが用意されており、依頼の報酬によって購入し、汚れの種類や範囲などによってツールを使い分けられる。
そんな本作について、オックスフォード大学の研究員などによって研究がおこなわれたようだ。ゲームなどについての研究、議論をおこなった論文をまとめた「Games: Research and Practice」に記載された論文では、「ビデオゲームはプレイヤーの幸福度にどう影響を与えるのか」を明らかにするためとして、『パワーウォッシュシミュレーター』を用い、最終的には欧米在住のプレイヤー約9000人のプレイと反応のデータが取りまとめられたとのこと。
調査に関しては、FuturLabと協力し、ゲーム内にポップアップを出すかたちで回答ができるようにしたようだ。また幸福度、つまり気分が良くなったかを確認するにあたっては、気分の良し悪しについて、どの程度かを数直線上に示してもらう方式を取っている。この数直線は1000個の値を記録するようになっており、示した点を数値として取り扱えるようにしているとのこと。
そうして得た回答結果では、約72％のプレイヤーについて、プレイ前からプレイ中にかけて、若干の気分の上昇が認められたという。またプレイ前の気分が悪ければ悪いほど、より大きく気分が改善することも判明した。
さらに、プレイ時間と気分の改善の関係について、平均的に、『パワーウォッシュシミュレーター』をプレイしてから15分間はずっと気分が良くなり続ける、といったデータが得られたようだ。とはいってもグラフを確認する限りでは、その後気分が落ち込んでいくということはなく、プレイ前に比べ“前向きになった”気分がそのまま継続している様子がうかがえる。
『パワーウォッシュシミュレーター』をプレイしたことによる気分の変化は、数値にしておよそ3.5％の改善となったという。これは具体的には、テレビを見ることや、読書、買い物をするといった気分転換よりもわずかに大きな影響を与えているようだ。一方で、音楽を聴くこと、食事または料理、散歩や運動と比較すると、気分の改善度合いは小さめの模様。
この結果を受け、論文では『パワーウォッシュシミュレーター』のようなゲームや、カジュアルなゲームについては、日中や余暇の時間に少しプレイすることによって、継続的にメンタルが改善できるのではないか、との推察を示している。
なお今回の研究結果について、本論文の共著者であり、オックスフォード・インターネット研究所にて教授を務めるAndrew Przybylski氏は、あくまでこの研究は一つのゲームに絞ったものであり、かつ本作は近頃もっとも一般的にプレイされているようなゲームではないとして、過度な一般化への注意を促している。そして今後の研究については、ほかのゲームをプレイした結果やほかのレジャー活動なども加えた、ランダム化比較試験による評価が必要だとしている。
今回はあくまで『パワーウォッシュシミュレーター』に限った研究ではあるものの、実際にデータの裏付けによって、ゲームが気分の改善に役立っていたことが明らかになったというのは興味深い。また15分程度でも気分が良くなったとのことで、隙間時間のプレイでもその効果は享受できそうだ。日々の疲れや気分の落ち込みを感じた人も、気分転換のために『パワーウォッシュシミュレーター』をプレイしてみるというのもいいだろう。
『パワーウォッシュシミュレーター（PowerWash Simulator）』は、PC（Steam/Microsoft Store）/Nintendo Switch/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けに配信中。ゲーム本編はXbox/PC Game Pass向けにも提供されている。
